第171回国会 本会議 第5号
平成二十一年一月三十日(金曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第五号
平成二十一年一月三十日
午前十時開議
第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
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○本日の会議に付した案件
議事日程のとおり
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○議長(江田五月君) これより会議を開きます。
日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
去る二十八日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。輿石東君。
〔輿石東君登壇、拍手〕
○輿石東君 民主党・新緑風会・国民新・日本の輿石東です。政府四演説に対し、会派を代表し、質問をいたします。
麻生総理、あなたの施政方針演説と与謝野大臣の経済演説を要約すると、私は決して逃げません、今こそ政治の責任を果たすとき、そして不安と萎縮の連鎖を断ち切り、明るく強い日本を取り戻すというものでした。したがって、明るく強い日本を取り戻すための総理の政治責任は、ただ一つ、一日も早く国民に信を問うことだと改めて確信いたしました。
そこで、まず、麻生総理、あなたの政治姿勢についてお尋ねをいたします。
私は、あなたが総理に就任した前国会の代表質問で、自民党本部前に張られた、麻生がやりぬく、まずは景気だと書かれたポスターについて触れ、あなたのやることはただ一つ、補正予算を成立させたら、さっさと衆議院を解散し民意を問え、私たちはいたずらに審議の引き延ばしはしないと申し上げました。現に、第一次補正予算は三日間の審議で私たちも賛成し成立しました。ところが、あなたは金融危機への対応を理由に解散を先送りし、今もって総理の座にしがみついたままであります。景気対策の柱としている第二次補正予算の必要性を強調し、ポイントはスピードと言いながら、税収の正確な把握や民主党の抵抗を理由に臨時国会に提出せず、年を越せるかどうか苦しんでいる国民に救いの手を差し伸べようとはしませんでした。それが現在政権を担っている責任政党のやること、賢明なる国家指導者のやることでしょうか。
政府の責任というものをどのように理解しておられるのか、とりわけ国家の最高責任者の責務と出処進退をどのように考えておられるのか、本日、私が麻生総理にお伺いする最大のテーマはそのことであります。
次に、緊急の課題についてお聞きをいたします。
まずは、景気対策についてであります。
麻生総理は、現実の社会に生きていないように見受けられます。所得の低下や雇用の危機に苦しんでいる国民の実感に目をつぶり、国民の悲鳴に耳をふさぎ、国民の要請に何もこたえようとしない。まるで、見ざる聞かざる言わざるを決め込んでいるかのようであります。現実から逃避して、自分の無理が通る仮想現実の社会に生きているように見えるのであります。しかも、政府・与党までもがこの仮想現実の社会で暮らすようになってしまいました。
例えば、焦点の定額給付金であります。これを含む第二次補正予算は、参議院で修正、否決されたものの、両院協議会を経て、衆議院の優越によって火曜日に成立をいたしました。
言うまでもなく、両院協議会は、予算の議決が衆参で異なるとき、必ず開くよう憲法で義務付けられているのであります。私たちは、形だけのセレモニーに終わることなく、実質的な合意を得ようと二日間にわたって審議を行いました。今回は、成案こそ得るに至りませんでしたが、相当な時間、互いに真摯に意見交換を行うなど、ねじれ現象の中で両院の調整弁的な働きをした画期的な両院協議会であったことを評価したいと思います。
あのように時間が掛かったその一番の原因は、自民党が記録を取ることも否定をし、公開をも否定したからであります。
それにもかかわらず、昨日の衆議院本会議の代表質問で自民党の細田幹事長は、民主党はこの両院協議会の場を政局に利用し、引き延ばしと混乱の演出を図ったものでありますと発言しました。これは、まさに二院制を否定し、議会制民主主義をも否定する暴言で、断じて許すわけにはいきません。このような発言を許す総理の責任を問いたいと思います。
さて、この定額給付金について、報道各社の世論調査によれば、国民の七、八割もの人たちが反対をしており、共同通信社の調査結果では、二兆円の財源を何に優先的に使うべきかとの質問に対し、四二%の人が年金、医療、二六%が雇用対策と回答し、定額給付金と回答した人はわずかたったの三・三%なのであります。それにもかかわらず、与党は衆議院で強行採決を行ったのであります。
また、その後に開かれた財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会では、定額給付金は見直すべきという意見が相次ぎ、西室会長から財務大臣に対し、定額給付金を撤回し、二兆円の使途を見直すよう注文が付いたと報道されております。政府がいったん決めた政策について諮問機関が反対するのは極めて異例でありますが、政府内の諮問機関から反対されるような制度をどうして強行するのですか。今からでも遅くありません。法案を廃案とすべきです。総理の真意をお聞かせいただきたいと思います。
また、麻生内閣の支持率は軒並み二〇%を割り込み、調査によっては一〇%前半にまで落ち込み、逆に、支持しない不支持率は八〇%にも達しようとしています。こうした中で、保守王国と言われる山形県で、去る日曜日に行われた知事選挙で、民主党が推す吉村さんが自民党が支援する現職候補を破り初当選をいたしました。
にもかかわらず、総理も与党もそれらを国民からの退陣要求だとは全く思っていないようであります。支持率低下の原因を聞かれた総理は、国民にこういう政策なんだと説明しないといけないが、国際金融の説明はかなり難しくなると述べるなど、国民の理解力不足が支持率低下の原因だと言わんばかりの態度であります。
麻生総理、あなたは、衆議院の解散・総選挙の時期、定額給付金の枠組み、道路特定財源の在り方など、就任早々から迷走を続けてきました。
昨年来の世界同時不況についても、あなたは、日本が世界で最初に不況から脱出すると繰り返し宣言してきました。ところが、株価の下落率は昨年、ニューヨーク市場が三四%ダウンだったのに対し、東京市場は何とそれをはるかに上回る四二%ダウンだったのであります。あなたは、米国発の金融危機について、欧米に比べて日本の被害は軽いとの認識を示していましたが、日本が震源地である米国より深刻なダメージを受けたのは一体なぜだったのでしょう。総理は、政局より政策と言いながら、効果的な景気対策を打ち出さず、無為無策のうちに第二次補正予算の提出まで先送りをしました。東京市場の株価の急落は、総理、あなたが第二次補正予算の提出を先送りした昨年十二月のことであります。これが不況を深刻化させた一因となったのではないでしょうか。
こうした状況下で、野村証券金融経済研究所は、個人投資家を対象にアンケート調査を行い、今月六日にその結果を発表しました。
それによると、今年の日本株式市場においてマイナス要因になるのは何かとの質問に対し、最も多かった回答は何と麻生政権であり、全体の五三%にも上りました。二七%の国内景気、二三%の為替動向をはるかに上回る圧倒的な一位であります。逆にプラス要因になるものとしては、三六%が国内景気、二四%が日銀金融政策、二三%の為替動向に続いて衆議院選挙が二二%と四位であります。
内閣支持率の低下に歯止めが掛からず、反対に支持しない人が増え続けていることについて、また、個人投資家の過半数が麻生政権の存在そのものを景気回復の障害と評価していることについて、あなたはどう受け止めていますか。市場は麻生政権を真っ向から否定し、総理への引退勧告をしているのです。御自分がお辞めになることが一番の景気対策になるのだとはお考えになりませんか、お伺いいたします。
今回の世界的な金融経済危機の契機となった米国での金融経済の行き詰まりは、多くの教訓を含んでおります。消費者のクレジットカードと銀行ローンによる過剰消費体質、その裏側の低い貯蓄率、高度な金融技術を用いた金融商品、巨額な国際収支の赤字といったものが米国の金融バブルの発生、崩壊を招き、世界中に拡散させました。四月に再び開かれる金融サミットでは、問題の本質をしっかりと議論すべきであり、米国に向かって言いにくいことでも言うべきであると考えますが、いかがでしょう。この問題は中川財務大臣に伺いたいと思います。
平成十四年から始まった景気の回復も一昨年十月以降、後退局面に入っていったのではないかと言われていますが、この間の戦後最長と言われる景気回復は、専ら世界経済の好調に支えられた輸出頼み、外需頼みの回復でありました。しかし、世界経済が一転して急速に縮む状況になると、頼みの輸出が急減し、それが我が国経済の足を引っ張る構図になっております。輸出頼みの経済構造を許し、国内産業の発展をおろそかにしてきた政府の経済政策の無策のツケがここに来て回ってきているのではないでしょうか。与謝野大臣に見解を伺います。
総理、あなたは内閣記者会とのインタビューで、来年度予算成立後に経済状況を見て追加の経済対策もあり得ると新年度予算の補正に含みを持たせていますけれども、新年度予算の審議も始まっていない段階から補正に言及するとは不謹慎と言わざるを得ません。それは取りも直さず、総理自身が新年度予算案は不十分なものであると認識しているからではないでしょうか。明確にお答えください。
去る二十日、米大統領に就任したオバマ氏はその就任演説で、現在を新たな責任の時代と位置付けた上で、私たちは危機に瀕している、元気を出してアメリカを再生する仕事を始めなければならないと述べ、米国民から熱狂のうちに迎え入れられました。米国民は市場原理主義と金融バブルで生じたゆがみを是正する役目をオバマ新大統領に託し、肩を組み、手を携えて危機を乗り切ろうとしています。七十三兆円とも言われるオバマ大統領の景気刺激策で米国と世界が不況脱出のきっかけをつかめるかは予断を許しませんが、その強烈なリーダーシップで米国民を引き付け、潜在力を引き出そうとしています。
一方、我が国はといえば、経済危機を脱出する資金もあれば経験や知恵もあるにもかかわらず、明快なビジョンと強いリーダーシップを持つ国家リーダーがいないため、更に混迷を深めております。このことを率直にどうお考えですか。お答えいただきたいと思います。
国会召集日の一月五日、新聞各社に民主党の全面広告が掲載をされました。我が民主党の広告は、国民は家族ですとして、私たちの新しい国づくりの理念を国民の皆さんに訴える内容であります。
国民は家族です。うつむいている人は、顔を上げてください。私たちの手で、この国の仕組みを変え、新しい生活をつくり始めるときです。それは、まじめに働く人が報われる社会。年金、医療、子育て、雇用、地域が、立て直された社会。暮らしの安定が希望を生み、積極的になった心が、この国全体を押し上げていくのです。その担い手は、私だけでも、あなただけでもない。私たちです。いよいよ、動くときでありますというものであります。
これは、小沢代表自身のメッセージですけれども、私たち民主党議員全員の決意でもあります。国民は家族ですとは、そういう思いですべての国民を見捨てないとの覚悟にほかなりません。地方を切り捨て、弱者を切り捨て、非正規労働者を切り捨てる自公政権をこのまま続けていけば、日本の社会は崩れ、日本は滅んでしまいます。この国を立て直すには、だれも見捨てないという覚悟から出発することこそが必要なのであります。
すべての国民がそれぞれの役割を担い、十分に能力を発揮し、共に生きていく、それが私たちが目指す公正な共生社会であります。そして、それは、だれも見捨てないと覚悟している私たち民主党が中心となって新しい政権をつくることで初めてスタートすることができるのであります。その思いを国民の皆さんにお伝えしていくのであります。御意見があればお伺いをいたします。
緊急の課題の第二は雇用対策です。
民主党が中心になって新しい政権をつくり、共に生きる社会を実現する政策が昨年十月に発表した新しい生活をつくる五つの約束であります。すなわち、税金の無駄遣いの根絶、年金、医療の改革、子育てへの支援、働き方の改革、農林漁業と中小企業の再生の五つであります。
ただ、その後、米国発の金融危機に麻生内閣が的確な対応ができず、無為無策の結果、日本経済が急速に悪化したことから、雇用の確保を中心とする経済の立て直しに本格的に取り組まなくてはならないこととなりました。
日本経済の立て直しは、自公政権が第二次補正予算や新年度予算に盛り込んだような単なるばらまき的な景気刺激策では実現することは不可能であります。何となれば、日本社会に崩壊の危機をもたらしたのは、ほかでもない小泉構造改革以来の市場原理主義、弱肉強食政治の結果であるからであります。もうけるためには何をしても構わない、富める人はますます富み、貧しい人はますます貧しくなっても仕方がないという格差容認の風潮が蔓延してしまいました。そこにメスを入れない限り、社会、経済の再生はできません。
したがって、企業の経営者は、企業の社会的責任を自覚し、社員、従業員とともに生きる経営を最優先しなければなりません。経営環境が厳しくなると、役員報酬をカットすることも株式配当を引き下げることもせず、真っ先に首切りや賃金引下げに走るというやり方は、真っ当な経営者のすることではありません。雇用を確保し、働く人たちの暮らしを守ることで、景気の回復に地道に貢献している企業が正当に評価される仕組みをつくり上げなければなりません。見解を伺いたいと思います。
また、小泉改革以来の失敗を踏まえて、雇用の仕組みを根本的に見直すべきであります。実力主義の導入という美名の下に破壊された終身雇用制は、実は日本人が生み出した優れた知恵であると思います。働けるうちは働き、生きがいを持って暮らす、その国民共通の願いとして確立したのが終身雇用制ではないでしょうか。
そのように再評価した上で、雇用制度全般を見直し、終身雇用制をベースにした新しい雇用政策を確立すべきだと考えます。それは、働く人の選択として非正規雇用も認めるが、その待遇は正規雇用と均等にする仕組みであります。
麻生総理、雇用制度の見直しについてどう考えておられるか、お伺いをいたします。
さらに、急速に悪化する企業マインド及び実体経済の影響を最も強く受けているのが労働者、殊に非正規雇用労働者であります。派遣切りと言われる解雇が急速に広がっていますが、多くの労働者が突然解雇され、会社の寮からの即時退去を迫られているこの事態に、多くのNPOやボランティアが年末年始に仮の宿泊所を設けたり炊き出しを行うなど温かい手を差し伸べましたが、政府は一体何をしたのでしょうか。
これまで政府が進めてきた市場経済化と弾力的な労働市場は、景気が後退局面を迎えたことで一気に問題が噴出いたしました。行き過ぎた市場経済化を見直す考えはありませんか。特に、規制緩和を進めてきた労働法制の見直しが必要ではないでしょうか。製造業に派遣労働を認めることは問題が多いのではないでしょうか。御見解を伺います。
さて、内政の諸問題に移ります。
麻生総理、あなたは積極的に公務員の天下りを進めようとしているのではありませんか。そう疑われても仕方ありません。一昨年の通常国会で、省庁の天下りあっせんを官民人材交流センターに一元化する改正国家公務員法が成立しました。同法では、センターが機能するまで三年間は従来どおり省庁によるあっせんを認め、再就職等監視委員会が承認することとされておりますが、私たちの反対で監視委員会は宙に浮いたままであります。
ところが、驚いたことにあなたは、政令で天下りあっせんを首相権限で承認できることとし、天下りを繰り返すわたりまでその対象としました。首相承認は暫定措置と弁解していますが、法律には委員会に委任すると明記されており、首相に権限はありません。立法府が決めた法律を行政府が政令で覆すなど、許されるはずはありません。麻生総理は天下りの弊害に目をつぶっていると言わざるを得ません。どう考えておいででしょう。
さて、政府は昨年末に、公明党との間ですったもんだの挙げ句に、景気回復を前提に三年後の消費税増税の時期を明記した中期プログラムを決定しました。これはまた増税プログラムそのものであります。しかし、景気が回復したかどうかはどうやって判断するのか。また、回復と判断した場合には回復直後でも増税に踏み切る考えなのでしょうか。これについては与謝野大臣に伺います。
さらに先週、政府は、その内容を附則に盛り込んだ税制改正関連法案を閣議決定しました。しかし、党内の強い反対を考慮して、一応消費税引上げのための法律を三年以内に作るものの、焦点の増税の実施時期は決定を先送りすることもできるというまさに玉虫色の内容となりました。
総理は、これまで繰り返し消費税の引上げ時期について三年後という期日を明言しており、何としても三年後という期日だけは附則に書き込みたかったのでしょう。しかし、これがぶれでなくて何でしょう。実施期日を先送りする無責任な法案など見たことがありません。
今や自民党内はばらばらで、総理のリーダーシップはもはやどこにも見当たりません。かつて、小泉元総理は自民党をぶっ壊すと叫びましたが、総理、衆議院を解散できないのであれば、最後のリーダーシップを発揮して自民党を解散したらいかがでしょうか。
次に、財政について伺います。
政府も徹底した行政の無駄の排除を表明しております。しかし、今回の補正予算及び二十一年度予算を見ても、まだまだ多くの無駄が、隠された金や、すなわち埋蔵金が眠っていることが明らかになりました。典型的な例は、財政投融資特別会計の金利変動準備金の取崩しであります。政府はこれまで、埋蔵金などそんなものはないと言い張り、特別会計の積立金の取崩しをかたくなに拒んできましたが、今回は政府自らが予算の財源として持ち出してきました。こうした隠された埋蔵金はすべて表に出し、無駄を完全になくしてからでなければ増税の話など国民にすべきではないと思いますが、いかがでしょうか。この問題については中川財務大臣に伺います。
政府が掲げてきた二〇一一年度基礎的財政収支の黒字化目標は完全に破綻しております。この上は、一刻も早く国民に対し目標未達成の報告とおわびをして、新たな目標の設定の検討を急ぐべきであると考えます。この問題についても中川財務大臣に伺います。
次に、強い批判を受けてきた骨太二〇〇六に基づく毎年二千二百億円に上る社会保障費の伸びの抑制についてであります。
政府は来年度予算で、その建前は維持しながらも、いわゆる埋蔵金を活用するなどして抑制幅を実質二百三十億円に圧縮しています。できもしない目標や方針を掲げ格好だけ付けるやり方は、国民への背信行為であり裏切りであります。削減方針は明確に撤回すべきであると考えますが、総理、いかがでしょう。
こうした福祉切捨て方針の結果、去年の一月から十月までに年金記録の訂正が行われた九十三万六千件のうち、正しい年金額を確定できたのはたったの二割にとどまっています。社会保険庁職員による標準報酬月額の改ざんについて、政府のコンピューター調査では延べにして百四十四万件も疑わしい事例があったにもかかわらず、現在、政府が個別調査の対象にしているのはたった二万件にすぎません。年金記録確認第三者委員会にはこれまでに八万七千件の申立てがありましたが、年金記録の回復が認められた一万五千件に対し、二万六千件が却下されております。
また、現在のうば捨て山とも言われる後期高齢者医療制度について、政府・与党は、余りに国民の批判が強いため、これに代わる制度を一年掛けて検討することを打ち出しました。これは後期高齢者医療制度は間違いだったと認めているようなものであります。一体いつ結論が出るのか。直ちに廃止し、いったんは元の制度に戻すべきであります。医師不足、介護労働者の待遇問題なども、根本的解決はすべて先送りであります。
国民の皆さんは、もはやこれらの問題の解決を与党に求めるのは無駄だと考えておられるようであります。一刻も早く政権交代をして解決を私たちにゆだねるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
次に、外交の諸問題です。
麻生総理は、日本を世界の秩序をつくる国にすると唱え、また自由と繁栄の弧との理念を掲げて外交を展開してきましたが、今までいかなる成果を上げたと言えるでしょう。
拉致問題が何ら進展を見せない中、アメリカのブッシュ前政権は北朝鮮のテロ支援国家指定を解除し、世界の中の日米同盟が空事にすぎないことを内外に印象付けました。国際金融危機に対処するため、サミット議長国として金融サミットの日本開催を探ったものの、米国がワシントンでの開催を主導すると、なすすべがありませんでした。麻生外交は花火を打ち上げるだけで、何の意味もないのではないでしょうか。
米国一国優位に陰りが見え、欧州諸国はもとより、中国、インド、ロシア、ブラジルの台頭など多極的な世界が現れている中、今の我が国は、ジャパン・ナッシングと無視されたり、ジャパン・ミッシングと行方不明扱いされているのではないでしょうか。外交が立ち行かない根底には、自民党政治の迷走による我が国の存在感のなさがあります。麻生総理は事あるごとに日本の底力を強調されますが、底力を発揮するには、速やかな衆議院の解散・総選挙により民意を反映した新たな政権を樹立することが何よりも大切ではないでしょうか。自らの外交をどう評価されるのか、麻生総理の認識を伺います。
オバマ新政権は、日米同盟は米国のアジア政策の礎と位置付けております。米新政権の関心が中国に傾いているとの観測も根強いものがあります。また、オバマ新政権は、多国間外交を重視し、同盟国にも実質的な負担を求める姿勢を強めると見られております。
米国の政権交代を契機に、対米追随と評された従来の日本外交の姿勢を転換し、米国に言うべきことは言う対等の関係を構築すべきではないでしょうか。麻生総理の考えを伺いたい。
オバマ大統領は、経済政策の柱の一つにグリーン・ニューディールを提唱しています。環境問題への対処、地球温暖化対策は喫緊の国際的課題でありますが、この面でも日本の顔が見えないとの強い指摘があります。ポスト京都議定書をめぐる国際交渉への取組、国際再生可能エネルギー機関への対応を始め、環境外交をどのように進めるお考えか、この問題は中曽根外務大臣に伺いたい。
オバマ新政権は国際テロとの闘いの軸足をアフガニスタンに置く方針を示しておりますが、自衛隊の派遣を求めてきた場合にはどのように対処する所存か、お聞かせいただきたいと思います。我が国が自衛隊の派遣に応じない場合、米新政権は相当の財政負担を求めてくるのではないかとの見方もあります。日本は治安の安定を図るために、ODAを軸に復興支援、民生部門での援助に力を発揮すべきではありませんか。今後、アフガニスタン問題にいかに取り組むか、総理の御見解を伺いたいと思います。
また、麻生総理は、ソマリア沖の海賊対策のため、現行自衛隊法に基づく海上警備行動を発令し、海上自衛隊艦船の派遣を進めようとしています。しかし、武器使用基準をめぐり、政府部内、与党内でも意見が分かれていると聞きます。麻生総理は、オバマ新政権に対し日本の国際貢献をアピールしようと考えているのか、また、中国の海軍派遣決定に押され焦っているのか。外交・防衛政策で対処方針が迷走すれば、国益を損なうことは甚だしいものがあります。麻生総理は、慎重な対応を取るべきだと思いますが、所見をお伺いいたします。
そして、世界同時不況に対処する中で、中国、韓国、東南アジア諸国との緊密な協力、アジア外交の展開が不可欠であります。他方、麻生総理に関係の深い旧麻生鉱業がさきの大戦中に朝鮮半島出身者を使用していたことは、総理自身も認めておられます。アジア外交を展開するには、このような歴史的事実を踏まえ、きちんとした歴史認識を表明して当たらねばなりません。麻生総理は、どのようにアジア外交の地平を切り開いていく所存か、お伺いをいたします。
田母神前航空幕僚長の論文問題は、制服組最高幹部の発表した論文の内容が政府の方針に全く反するというもので、自衛隊に対する文民統制に重大な懸念を抱かせました。専門家の指摘によれば、田母神論文の主張は独善的なものであり、国際的な視野、適切な歴史認識に欠けるものです。田母神氏が幹部自衛官の教育に当たる要職を経験していることから、自衛官の中に田母神氏と同じような意識が蔓延しているとしたならば看過し得ない事態であります。何よりも、田母神氏の言動は、空幕長に昇進する以前から一貫していたもので、このような言動を許容し最高幹部の要職に就けた防衛省・自衛隊の人事管理の甘さは厳しく指摘せざるを得ません。麻生総理は、文民統制をいかに貫徹し、自衛隊の隊員教育の改善を求めていくのか、認識をお伺いいたします。
ODAは、我が国の国際社会への貢献の重要な手段の一つであります。参議院はODA特別委員会を設置し、ODA案件の海外調査を進めてまいりました。ODAをめぐり、我が国企業が外国政府関係者に賄賂を贈るなどの不祥事も後を絶ちません。厳しい経済財政状況の中、国民の税金によるODAは、限られた予算を有効に活用し、事業量を増やすとともに、援助の質の改善が求められております。ODAに関する参議院の取組に対する考えを伺うとともに、我が国のODAを再生させるための方針を中曽根外務大臣に伺います。
さて、麻生総理、あなたは今年の年頭所感でも、また一昨日の施政方針演説でも、私は決して逃げませんと繰り返し言っています。これだけ解散・総選挙から逃げ回っていて恥ずかしくはありませんか。国民の皆さんはもう既に、総理、あなたにはとてもこの日本を任せられないと見限っています。二〇%を切る内閣支持率と七〇%を超す内閣不支持率が、それを如実に物語っているのであります。
今、私たちが直面しているのは、世界的な金融システムの行き詰まりと様々な矛盾を抱えて立ち往生している国内の経済財政システムの行き詰まりが重なった複合的な危機であります。これを克服するためには、もう一度日本を立ち上げるくらいの大仕事となるでしょう。小手先の雇用・景気対策ではなく、大胆なビジョンを持って実行する政治の力が必要であります。将来を見据えた国づくりに集中して資源を投下し、雇用も創出する、そうしたたくましい政治が今求められております。それは、このような危機を引き起こした自公政権にできるはずはありません。
子供たちに夢のあるあしたを取り戻すため、一刻も早く総辞職し、野党に政権を譲るか、解散・総選挙で民意を問う以外に道はないことを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 輿石議員より、二十四問ちょうだいしました。
まず、国家指導者の責務についてであります。
現在の日本は、百年に一度と言われる金融危機に襲われております。日本政府の責任者として私がなさなきゃならないことは、それはこの経済危機から国民生活を守ることであります。国会におかれても、一日も早く予算と関連法案を成立させていただくようお願いを申し上げます。
次に、両院協議会に関する細田幹事長の質問について御質問がありました。
御存じのように、憲法第六十条は、予算について衆参両院の議決が異なった場合、両院協議会を開いても意見が一致しないとき、衆議院の議決を国会法の議決とする旨定めてありますのは御存じのとおりであります。細田幹事長の発言は、この規定に基づき、両院協議会において速やかに結論を出すべきことを主張されたものと理解をいたしております。
次に、定額給付金についてのお尋ねがありました。
定額給付金は、家計への緊急支援であり、あわせて、消費を増やす経済効果もあり、生活における重要な施策と考えております。給付を待っているという声も多くあり、早急に実施すべきものと考えております。そのため、関連法案につきまして一日も早い成立をお願いしたいと考えております。
次に、山形県知事選挙結果と支持率低下の原因についてのお尋ねがありました。
県知事選挙の結果が私の内閣への評価と結び付いたものとは考えておりません。内閣支持率の低下の原因の一つは、政策の説明不足であると申し上げてきております。今後も、丁寧に私の政策を国民の皆さんに説明してまいりたいと存じます。
株価下落の要因と景気対策についてのお尋ねがありました。
市場の動向につきまして、政府として断定的なコメントを申し上げるということは差し控えたいと存じます。ただし、市場関係者によれば、日本の株価の下落率が米国に比べより大きかった要因として、外需への依存の高い我が国主力企業の収益が世界景気や為替相場の動向に大きく左右される場面があったこと、また、我が国で売買シェアの約六割を占める外国人投資家による換金売りが膨らんだことなどが指摘されていると承知をいたしております。
二次補正予算では、こうした金融経済情勢を踏まえ、国民生活と日本経済を守るため、生活者の暮らしの安心、金融経済の安定強化、地方の底力の発揮の三つの重点分野として必要な施策を取りまとめたものであります。
なお、二次補正予算の成立前にも、中小企業の資金繰り対策や解雇された方々のための雇用促進住宅の活用などの雇用対策など、対応可能な対策については既に実施をしてまいってきたところでもあります。
政府・与党といたしましては、こうした経済対策を切れ目なく実行していくことが最大の景気対策であるとも考えております。
次に、私の内閣の支持率と景気対策についての御指摘がありました。
内閣支持率につきましては、私に対する評価であると厳しく受け止めております。的確な政策を打ち、景気回復の道筋を付けることが私に課せられた使命だと考えております。
新年度予算についてお尋ねがありました。
二十一年度予算は、世界的な経済金融危機にあって、国民生活と日本経済を守るための施策を大胆に実行する、いわゆる生活防衛のための大胆な実行予算として極めて重要な予算であります。
国民生活を守るための施策としては、雇用対策、医師確保、救急医療対策、出産支援、防災対策などを実行することとしております。また、経済緊急対応予備費など日本経済を守るためのセーフティーネットや地域の底力の発揮、成長力の強化などの施策を盛り込んでおりますのも御存じのとおりです。
このように、平成二十一年度予算につきましては景気対策に十分なものであると考えております。国会でできるだけ早く成立をさせていただき、新年度初めから速やかに執行できることが重要だと考えております。
次に、経済危機を脱出するためには国家リーダーが必要であるとの御指摘がありました。
まさしく御指摘のとおりと存じます。混乱のときに明確な道筋を示すことがリーダーの役割であります。私は、異常な経済には異例な対応が必要と申し上げてきております。そして、短期は経済対策、中期は財政再建、そして中長期は改革による経済成長と国民の皆様に訴えております。経済対策も、公共事業中心の従来型のものではなく、生活者、中小企業、地方を重点に置いた明確なものとしております。施政方針演説でも、明確に私の考え方をお話ししたところでもあります。
次に、民主党の政策について私の意見が求められました。
すべての国民がそれぞれの役割を担い、十分に能力を発揮し、共に生きていくという民主党の御主張には私も共感をいたします。私の主張している安心と活力ある社会と方向は同じものと推測いたします。
問題は、そのような社会をどのようにして実現するかという道筋であろうと存じます。例えば、中福祉を目指すなら中負担が必要であります。それを国民に問うことができるかどうかが私と民主党の違いの一つであろうと存じております。
企業の経営者の社会的責任と雇用の確保についてのお尋ねがありました。
企業は、従業員や消費者、地域社会といった関係者の密接な協力があって初めて持続的な活動が可能となります。人があって会社がある、この日本型経営の原点は経営者の皆さんには改めて認識し、経営をしていただく必要があると考えております。
こうした観点から、企業の社会的責任を自覚し、雇用の維持と生活の安定を図るよう産業界を要請するとともに、派遣労働者などを正規雇用をした事業主に対して支援する制度を創設いたします。
終身雇用制や正規、非正規の均衡待遇についてお尋ねがありました。
施政方針演説でも申し上げたように、日本は勤勉を価値とする国であります。この美徳が今日の繁栄を築き上げてまいったと存じます。こうした中で、長期雇用を中心とした日本的な雇用慣行が形成されてきたと考えております。
実際、企業も労働者も長期雇用を高く評価をしております。今後、明るく強い日本を取り戻すためにも、長期雇用の利点を生かしつつ、労働者それぞれの就業実態に応じて均衡の取れた待遇を確保することが重要であります。だれもが自らの能力を生かし、安定した仕事に就いて、将来に希望を持って暮らせる社会を実現したいものと考えております。
労働法制の見直しについてお尋ねがありました。
これまでの労働者派遣法の改正は、厳しい雇用情勢の中で雇用の場を確保することや労働者の多様な働き方やニーズに対応することを目的として行われてきたものであり、結果として、雇用の確保について一定の役割を果たしてきたものと認識をいたしております。
自由な市場原理に基づく競争は今後とも成長の基礎であり続けると考えておりますが、一方で、今般の金融市場における世界的な混乱を踏まえれば、一定の規律付けは必要であると考えております。
こうした背景で、政府としても、労働者の保護を強化する観点から労働者派遣法の見直しが必要と考えております。今回の改正法では、日雇派遣を原則禁止することなどを内容としており、まずはこれについて国会の場で御審議いただくことが最優先であると考えております。
なお、製造業派遣につきましては、現在約四十六万人もの方々が働いておられ、これを規制することによってかえって雇用の場が奪われるような事態は避けなければならないと考えております。
官僚の天下りについてお尋ねがありました。
国家公務員法の改正により、各府省における再就職のあっせんは全面的に禁止されました。ただし、法律において、施行後三年以内に限り、再就職等監視委員会の承認を得た場合には各府省による再就職あっせんが認められております。
しかしながら、野党は、法律が定める仕組みに反対との理由から委員人事に同意されないため、監視委員会が機能し得ない状況となったものであります。
このため、政令では、監視委員会が機能するまでの間、内閣総理大臣が調査、承認などの権限を行使する経過措置を設けております。この経過措置は、法が求める厳格な監視を実施し、再就職等規制の実効性を確保するという法律の誠実な執行のために必要とされたものであり、法律を覆すものではありません。野党におかれても、是非同意人事に御協力をいただきたいものと考えております。
また、わたりにつきましては、国民からの厳しい批判や国会における議論などを踏まえ、今後、あっせんの申請が出てきた場合においても、これを認める考えはありません。
消費税の引上げの実施時期についてお尋ねがありました。
私は、景気をきちんと立て直すことが消費税を含む税制抜本改革を行うための前提であると申し上げてきました。その立場にいささかの変化もございません。
一方、こうした前提抜きで、三年後の二〇一一年に消費税の増税を実施するかのように、殊更誤解を与えかねない形で取り上げられてきた印象があります。平成二十一年度税制改正法案の附則は、関係者の御議論を踏まえ、これまで私が申し上げてきた考えをきちんと明確にしたものであり、考え方は整合的で一貫しておると考えております。
次に、税制抜本改革に関して自民党内で議論があったことを問題にされておられます。
私ども自由民主党は開かれた国民政党であり、党内において十分な議論を尽くします。そうして、結論を得た場合はそれに従うことになっております。税制抜本改革につきましても、私が基本的方向を示し、政府と党内の議論を経て法案を閣議決定したものであります。政策決定のあるべき姿であったと考えております。
社会保障費についてのお尋ねがありました。
平成二十一年度予算におきましては、一定の財源を確保した上で、二千二百億円に足らざる部分につきましては、後発医療品の使用促進を行うこととしたところです。
今後とも、少子高齢化の進行に伴い、社会保障費の増大は確実であります。安定財源の確保と並行して、社会保障の機能強化を図るとともに、コスト削減、そして給付の重点化などの効率化を進めて、社会保障を安心なものにしてまいりたいと考えております。
年金記録問題や後期高齢者医療制度など、社会保障制度に関するお尋ねがありました。
年金記録問題につきましては、一日も早く年金記録を回復し、年金を正しくお支払いできるよう、ねんきん特別便による記録の確認など、ひたすら手間と暇を惜しまず全力を尽くしてまいります。
長寿医療制度につきましては、この制度をなくせば問題が解決できるものではありません。制度を廃止するのではなく、高齢者にも納得していただけるよう改めることが必要と考えており、政府・与党が一体となって速やかに議論を進めてまいります。
来る総選挙において、社会保障制度の在り方、財政責任の在り方、税制改正などを問うことで、国民生活に責任を持つのはいずれの党かを競いたいものと考えております。
本内閣が進めております外交に対する認識についてのお尋ねがありました。
百年に一度と言われる世界的な金融経済危機を始め、山積する諸課題に対し、積極的に外交を通じ国益を確保していくことは政府に与えられた喫緊の課題であります。
そのため、私は、昨年十一月、ワシントンでの金融サミットで、日本の経験を基に危機の克服方法に関する提言を行いました。その多くが首脳宣言に取り入れられ、現在、各国により着実な実施が図られているところであります。
また、十月の北京でのアジア欧州会議、十一月のリマでのAPEC首脳会議を始めとする機会に、G8各国や中国、韓国、インド、インドネシア、ブラジル、メキシコなどの主要国の首脳と会談し、緊密に協力していくことを確認をいたしております。
さらに、重要な隣国である中国、韓国とは、昨年十二月に、福岡で日中韓首脳会談を初めて独立した形で開催し、未来志向で包括的な協力を進める大きな一歩を踏み出すとともに、年初には韓国を訪問し、シャトル首脳外交の定着を確認し、また、両国の成熟したパートナーシップ関係の一層の強化を合意したところでもあります。
また、昨日朝、オバマ米国新大統領と電話で会談し、日米同盟を一層強化するとともに、金融・世界経済、テロ、拉致を含む北朝鮮問題、環境・気候変動などの諸課題に協力して対処していくことを確認したところです。
今後とも、日米同盟を基軸にしながら、アジア太平洋諸国との連携、国連などの場を通じた国際協調を重要な柱として積極的に外交を進めてまいりたいものだと考えております。
米国新政権との関係構築についてのお尋ねがありました。
オバマ大統領は、選挙期間中から日米同盟を重視するとの立場を表明しておられ、昨日の電話会談におきましても、日米同盟を一層強化することで一致をいたしております。
この電話会談におきまして、今後、世界第一、第二の経済規模を持つ日米両国間で、金融・世界経済、テロとの闘いや中東情勢、北朝鮮問題を始めとするアジア太平洋情勢、気候変動・エネルギー、アフリカ開発などの諸課題に緊密に連携していくことを確認したところであります。そのために、日米双方が言うべきこと言い、やるべきことをやっていく必要があり、あらゆるレベルで緊密に政策協調を行っていく考えであります。
米国のオバマ新政権発足を受けた我が国のアフガニスタン問題への取組についてのお尋ねがありました。
我が国は、治安・テロ対策及び人道復興支援を車の両輪としてアフガニスタン支援に取り組んでまいってきたところであります。これまで我が国が行った人道復興支援は約千七百億円に上り、これにより、例えば五百以上の学校修復、約一万人の教師の育成、延べ約四千万人へのワクチン供与といった成果が得られております。
今後、アフガニスタンの平和と復興のために更にいかなる協力を行うことができるか、引き続き様々な観点から主体的に検討をしてまいりたいと考えております。
海賊対策についてのお尋ねがありました。
ソマリア周辺などでの海賊の襲撃は、日本を含む国際社会への脅威であり、緊急に対応すべき課題であります。
この海域には年間約二千隻の日本関係船舶が運航しております。一日に直しますと約五、六隻となろうと存じます。こうした日本国民の人命、財産の保護は政府の最も重要な責務の一つであると考えております。この責務を果たすため、新法の整備までの応急措置として、自衛隊が海上警備行動によりソマリア沖における海賊へ対処するための準備を開始したところであります。
歴史認識とアジア外交の基本問題についてのお尋ねがありました。
さきの大戦に関する政府の認識は、平成七年八月及び同十七年八月の内閣総理大臣談話において示されたとおりであります。
我が国は、このような認識に立ちつつ、近隣諸国との近未来志向の関係の強化、朝鮮半島をめぐる問題の解決、地域協力の推進などに積極的に取り組み、豊かで安定したアジアの実現に引き続き努めてまいりたいと存じます。
田母神前航空幕僚長の論文に関し、文民統制と隊員教育についてのお尋ねがありました。
今回の事案につきましては、文民統制の観点や航空幕僚長という立場を考えれば不適切であったと認識をいたしております。
今後は、自衛隊の高級幹部の自覚の徹底、広い視野を養うことができる隊員の教育などの再発防止策を徹底してまいりたいと考えております。
最後に、解散・総選挙をするべきとの御指摘がありました。
今、国民が政治に望んでいるのは景気対策と雇用対策であります。総選挙につきましては、いずれしかるべき時期に野党との争点を明らかにして国民に信を問いたいと存じます。
残余の質問につきましては、関係大臣より答弁いたさせます。(拍手)
〔国務大臣中川昭一君登壇、拍手〕
○国務大臣(中川昭一君) 輿石議員の御質問にお答え申し上げます。
第二回金融・世界経済サミットについてのお尋ねでございます。
四月二日の第二回金融・世界経済サミットでは、第一回会合で合意された首脳宣言における原則と決定の実施をレビューするほか、世界経済の減速を受けた各国の政策対応や金融市場における信認を維持するための方策について議論されるものと見込まれます。
米国は、既に第二回会合への参加を表明しているオバマ大統領の下で、現下の金融市場の混乱と実体経済の減速を始めとする様々な経済分野の課題に対し率直に話し合い、国際社会と協調しつつ問題解決に取り組んでいきたいと考えております。
我が国といたしましては、バブル経済崩壊後の危機を自らの力で克服した経験も生かしながら、金融危機後の新しい世界経済・金融に対応した枠組みづくりの議論に積極的に参画するとともに、我が国の景気回復を図って世界経済に貢献してまいりたいと考えております。
次に、特別会計の積立金、無駄の排除等についてお尋ねでございます。
特別会計の積立金等は財務諸表等がすべて公開されているもので、埋蔵金と言われるようなものではないと考えております。
今回、基礎年金の二分の一を国庫が負担する財源等に充てるための臨時的、特例的な対応として財政投融資特別会計の金利変動準備金を活用することとしておりますが、これは一時的な財源にすぎません。
今後、中期的な財政責任を果たし、社会保障に対する国民の安心強化を図るため、昨年末に閣議決定された中期プログラムに従い、不断に行政改革を推進し、歳出の無駄の排除を徹底することに一段と注力しつつ、経済状況の好転を前提として消費税を含む税制抜本改正を行ってまいりたいと考えております。
続きまして、基礎的財政収支の黒字化目標についてのお尋ねでございます。
基礎的財政収支の黒字化は、景気の悪化に伴う税収の下振れ等により、目標の達成は困難になりつつあります。
しかしながら、基礎的財政収支の黒字化は、持続可能な財政に向けた一里塚であり、過去に前例のない不透明な内外の経済状況に弾力的に対応しつつも、できる限り早期に達成することが必要であると考えております。
経済状況が極めて流動的、不透明な中では、一定の確度を持って見通すことは困難であることから、当面、財政規律の観点から、現行の努力目標の下で、景気回復を最優先としつつ、財政健全化の取組を進めることが重要であると考えております。(拍手)
〔国務大臣与謝野馨君登壇、拍手〕
○国務大臣(与謝野馨君) 輿石議員の御質問にお答えいたします。
まず、外需主導の経済構造に関するお尋ねがありました。
二〇〇二年以降の景気回復局面は、世界経済の拡大を背景とした輸出に主導されたものでありました。政府・与党がこれまで取りまとめてきた経済対策においては、住宅減税による住宅投資の促進や、省エネ・新エネ設備投資の促進など、内需拡大に資する施策を盛り込んでいるところでございます。
さらに、中長期の経済成長を図るため、環境・エネルギー技術の力の発揮や医療・介護サービスの育成、農林水産業など多様な分野の特徴を生かした活力ある地方の実現等を目指した総合的な施策を講じてまいります。
消費税についてのお尋ねがありました。
税制抜本改革の実施時期については、景気循環の状況から見て最も適切な時期に着手する必要があると考えております。様々な指標によって、その時々の景気回復過程の状況や国際経済の動向などを見極めることとしております。最終的には、すぐれて総合的な判断が求められるものと考えております。(拍手)
〔国務大臣中曽根弘文君登壇、拍手〕
○国務大臣(中曽根弘文君) 環境外交についてのお尋ねがありました。
地球環境問題は喫緊の国際的な課題であり、地球環境の保全は未来に対する我が国の責任です。その観点から、我が国外交の重要課題の一つとして位置付け、国際的なルール作り及びODAを通じた環境分野での開発途上国支援を中心として、この問題の解決に取り組んでいます。
地球温暖化の問題につきましては、さきのG8北海道洞爺湖サミットで我が国は議長国として積極的に議論をリードし、二〇五〇年までに温暖化ガスを現状から半減する長期目標などについて成果を得ました。我が国としては、同問題の取組において、本年末の締約国会合、COP15における公平かつ実効性のある次期枠組みづくりを目指して引き続き国際的なリーダーシップを発揮していく考えであります。
また、我が国は、再生可能エネルギー分野の開発普及を重視し、クールアース・パートナーシップの下で、太陽光パネルの設置支援等、同分野を含め、気候変動に関する国際協力に積極的に取り組んでいます。
国際再生可能エネルギー機関との関係については、これらの実績を踏まえ、同分野で果たすべき役割、同機関の活動内容、性格、限られた資源の有効的活用といった観点から総合的に検討していきます。
ODAについてのお尋ねでございますが、ODAにかかわる政策や問題に対する参議院の積極的な取組を政府としては真摯に受け止め、ODAの一層効果的、効率的な実施に努め、援助効果の向上に努めてまいります。
また、引き続き、不正、腐敗の再発防止に徹底して取り組み、国民の皆様の御理解と御支持を得て、国際社会の安定と発展、我が国の国益増進に寄与する国際協力の実施に努めてまいります。(拍手)
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○議長(江田五月君) 尾辻秀久君。
〔尾辻秀久君登壇、拍手〕
○尾辻秀久君 一年前に、私は二日続けてこの壇上に立たせていただきました。最初の日は今日と同じ代表質問でありました。次の日は山本孝史先生の哀悼演説でありました。先生が尾辻に頼んでほしいと言っておられたとお聞きをいたしましたのでお引き受けしたのでありますが、お見苦しいところをお見せしてしまい、申し訳なく存じております。
先生の一年忌の質問でもありますので、型破りではありますけれども、山本先生が大変心配しておられたにもかかわらず、今日の状況が更に悪くなっている問題について、まず質問をさせていただきます。
山本先生を中心にして、私たちは自殺対策基本法を制定いたしました。今、日本では年間三万人の方が自殺で亡くなっておられます。総理が施政方針演説で述べられたとおりであります。三万人といいますと、東京マラソンの全出場者の数であります。この十年間で三十万人、毎日九十人もの方が自ら命を絶たざるを得ない状況に追い込まれています。
自殺する人の数が急に増えたのが平成十年の三月だったということを総理に是非知っておいていただきたいのであります。つまり、北海道拓殖銀行や山一証券が破綻した年の年度末、決算期に、月の自殺者の数が一・五倍に急増し、年間では八千人以上も増えたのです。
今日の状況は、平成十年よりもっと深刻であります。このことを大変心配いたしております。自殺実態白書によりますと、自殺は平均して四つの原因が重なって起きており、そのきっかけとして一番多いのは経済的な理由です。まず、私たちは人の命を救わなければなりません。自殺者統計の緊急公表など、万全の対策をお願いいたします。
総理、是非一度、自殺の多い東尋坊や秋田などで活動しているボランティアの方々の生の声をお聞きください。お聞きいただけますかというのが最初の質問であります。お聞きになれば、総理もじっとしてはおれなくなると存じます。
次に、最高の自殺対策であり、今日の緊急課題である雇用問題についてお尋ねをいたします。
私たち参議院は、一緒に頑張りましょうという思いを込めて、雇用と住居など国民生活の安定を確保する緊急決議を行いました。この機会に、全会一致となるべく努力をされた皆さんに敬意を表します。
今、早急に解決すべきは職を失った派遣社員の支援でありますが、雇用については後でお尋ねすることとして、まず、こういう派遣制度がつくられてきた経緯、背景を検証してみます。
政府は、規制改革を目指して平成六年十二月に行政改革委員会を発足させております。以来、会議は名称を変えつつ継続され、数度にわたって、派遣対象業務の原則自由化など、段階的に労働者派遣法を変えてきました。
私は、この間の会議の在り方に強い疑念を持っております。発足当時から委員として会議に参画し、数度の取りまとめに当たったのは、企業の一経営者であります。経営者の視点で規制改革が進められ、その結果、派遣の大量打切りとなり、多くの人を失業に追い込んだのであります。私たちの決議が、政府にだけでなく、企業にも注文を付けているゆえんであります。これほどの厳しい事態を招いたことについて、規制改革会議は少なくとも結果の責任を取らなければなりません。
さらに、規制改革会議には言っておかねばならないことがあります。それは、会議が自らの主張をするのは自由ですが、その主張が己の利権につながっているという疑惑を持たれてはいけないということです。小泉改革を利権にしたと言われてはいけません。規制改革会議でそのことを主張した人の関係会社が、真っ先に株式会社の病院を造ったと言われています。
規制改革会議に問いたい。医療を自らのビジネスチャンスにしていませんか。理容、美容や保育にも手を伸ばそうとしていませんか。介護の世界を利益追求の場としてむさぼり、自家用ジェット機を買った会長がいたことを忘れてはいませんか。バス、タクシーの事故が増えたことに対する反省はないのですか。
今、話題になっておりますかんぽの宿についても同じ疑惑が持たれています。鳩山総務大臣は李下に冠を正さずと言っておられます。ここまで申しましたことに対して、総務大臣の御所見をお聞かせください。
関連して、厚生労働大臣にお尋ねをいたします。
規制改革会議が主導して市販の薬の市場をなし崩しに開放してきました。これがインターネット販売にも及ぼうとしています。簡単に買える利点がないわけではありませんが、十分な知識のない未成年が催眠鎮静剤を大量購入し自殺を図るなど、多くの問題が生じております。処方の重要性が考慮されず、副作用の強い薬が個数制限なしに販売された結果であります。今後どのように対応なさるおつもりか、お尋ねをいたします。
経済財政諮問会議については、昨年の質問でも国会決議など無視すればいいのだと言い放ったその傲慢さに触れました。経済財政諮問会議は、新自由主義、市場原理主義を唱えてまいりました。平たく言えば、日本をアメリカのような国にすればいいのだと言ってきたのであります。それが間違いであったことは、今回の世界の不況が証明をいたしました。その責任は重く、私は経済財政諮問会議と規制改革会議を廃止すべきと考えますが、総理はどのような総括をしておられるのか、お尋ねをいたします。
また、このように審議会を隠れみのにするやり方を改めて、政治と政府が前面に出て責任を明確にすべきと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
次に、雇用問題について伺います。
国内失業者数は急増しております。本日、今朝でありますけれども、発表された厚労省の調査では、昨年十月から今年三月までの失職予定の非正規労働者は十二万五千人に及ぶ見込みであり、十一月の調査から初めて十万人を超えました。厳しい経営環境はあるにせよ、今まで企業を支えてきた労働者を簡単に切り捨てることは企業の社会的責任の放棄であります。企業には雇用維持確保に全力で努めるよう要請いたします。特に、ワークシェアリングの導入を前向きに検討していただきたい。
一方、政府は企業に対し雇用維持のための十分な支援を行うとともに、離職者の円滑な再就職、職業訓練の実施など必要な支援を行うべきであります。住居の確保など生活の安定に不可欠な支援措置も講じるべきであります。
先日、経団連と連合から、雇用安定・創出に向けた労使共同宣言がなされました。まさに労使一体の叫びであります。百年に一度の不況というなら、百年に一度の雇用対策を取るべきであります。私は、今こそ清水の舞台から飛び降りる覚悟が必要だと考えます。総理も施政方針演説で異例な対応が必要ですと述べられました。また、日雇派遣を原則禁止するなど労働者派遣制度を見直すとも言われました。更なる雇用対策をどのようにお取りになるおつもりか、お伺いをいたします。
今、清水の舞台から飛び降りる覚悟でと申しました。当然、財政はどうするという議論になります。財政について伺います。
政府は、経済財政の中長期方針と十年展望を閣議決定いたしました。その中で、財政健全化に向けて二〇一一年度までにプライマリーバランスを黒字化させるというのは困難になった、しかし目標はそのままにするとしました。これは分かりにくいです。はっきりと、二〇一一年の目標達成は無理になったので、新たに何年を目標にして黒字化を目指すと言うべきです。
そもそも総理は、当面は景気対策、中期的には財政再建と言っておられますし、日本経済全治三年とも言っておられます。そうであるならば、これからの三年間はひたすら病を治すことに集中する、その間はためていたへそくりも使うし、借金は少し増えるかもしれない、しかし三年後、病気が治ったらばりばり働いて稼ぐ、財政健全化はそのときの話とめり張りを付けてお話しになった方が国民にも分かりやすいですし、一体感を感じるのではないでしょうか。総理、どのようにお考えになりますか、お尋ねをいたします。
骨太の方針二〇〇六では、歳出歳入一体改革による財政健全化を標榜しながら税の自然増収と歳出削減を柱としただけで、税制抜本改革については具体的に述べていません。この度の中期プログラムで初めて、社会保障給付や少子化対策に要する費用の見通しを踏まえつつ、経済状況を好転させることを前提に、消費税を含む税制抜本改革を二〇一一年度より実施できるよう、必要な法制上の措置をあらかじめ講じ、二〇一〇年代半ばまでに持続可能な財政構造を確立すると明記されました。ここまで言われましたので、抜本的税制改革の中で消費税をどうなさるおつもりか伺います。
野に下ることは恥ずかしいことではありません。恥ずべきは、政権にあらんとしていたずらに迎合することです。総理、毅然としてお進みをください。御一緒に参ります。
関連して、社会保障費の二千二百億円削減についてお尋ねをいたします。
昨年の質問で、もはや乾いたタオルを絞っても水は出ないと申しました。しかし、政府は来年度予算でも乾いたタオルを絞ろうとしました。挙げ句、やっと二百三十億円は滴り落ちましたが、あとは出ませんでした。できませんでしたと素直に言えばいいのですが、つじつま合わせのために訳の分からないことを言っていますので、質問をいたします。
その話は、日本の年金が厚生年金しかなかったころにさかのぼります。そのときは、給付の二割を国が持つという約束になっておりました。ところが、年金会計は積立金などを持っていて余裕があるということで、国は支払を延ばして借金にしてきました。この借金がたまりにたまって平成元年時点で何千億円かになっていました。ここで政府は奇妙なことをしたのです。一兆五千億円持ってきて、借金を今返すのではない、これは今後の利息の分も入れてあるからそのまま置いておいて、国にまた貸してほしい、当然利息は払うと言ったのです。その利息で健康保険組合などに毎年約二百億円ずつを補助してきました。
ここで、本年度の二千二百億円削減についても理解しづらいことがあったことを指摘します。今年度の二千二百億円削減のうちの一千億円を、財政が厳しいという理由で二百億円の補助をしてきたその健保組合から出させることにしてあったのです。二百億円出して一千億円取り上げるというのは理解できません。よしよしとなでた後でぶん殴るのは禁じ手です。
来年度のつじつま合わせの話に戻します。
今お話ししました一兆五千億円をこの際清算することにしています。清算すれば一千三百七十億円出てきて、それに二百三十億円を足して一千六百億円、道路特定財源からの六百億円でちょうど二千二百億円になると説明しています。
ここまで申し上げたことを御理解いただけた方は少ないだろうと思います。分からないということを分かっていただくために申しました。無理なつじつま合わせはしない方がいいと思います。
総理、もう一度申し上げます。乾いたタオルを絞ってももう水は出ません。潔く社会保障費の二千二百億円のシーリングはなしと言われませんか。お尋ねをいたします。
次に、外交問題について伺います。
昨年末からイスラエルによるガザ空爆・侵攻などが行われ、双方合わせて千三百名以上の犠牲者が出ております。パレスチナ問題は宗教や民族の問題を根源に持つだけに、その解決は極めて難しい課題であります。当事者双方は各々停戦表明を行っておりますが、これ以上犠牲を拡大させないために、関係各国により一層働きかけを強めるよう要請いたします。
今後の国際情勢については、世界の多極化が進み、中国やインド、ロシアなどが力を増していく中、米国の影響力が低下するとの見方があります。こうした中、アメリカでは、大統領選挙でチェンジを掲げたオバマ氏が第四十四代アメリカ大統領に就任をいたしました。
今後の日米関係についてはまだ不透明でありますが、はっきりしていますのは、ヒラリー新国務長官が一昨年の外交論文の中で、二十一世紀における最も重要な二国間関係は米中関係と明記していることであります。加えて、オバマ新政権には中国重視の姿勢を示したクリントン大統領時代のメンバーが多く登用されています。こうしたことから、新政権が中国重視の姿勢に傾くと見る向きもあります。
拉致問題など様々な問題を抱える北朝鮮を隣国にする我が国として、オバマ政権が過度に対北朝鮮融和に傾かないよう、日本の立場を理解してもらう必要もあります。総理にオバマ新政権の米国との関係構築に向けた御所見について伺います。
また、オバマ大統領は、イラクからアフガニスタンへと兵力を移行する考えであります。我が国に対しても、アフガニスタン本土への自衛隊派遣を含む人的支援を積極的に求めてくると考えますが、この点についての御所見を伺います。
米国の優位性が低下していく中、軍事費が二十年連続で二けた増の伸びを示し、航空母艦の建造も検討している中国の軍事拡張の動きは、大きな脅威になりかねません。中国は、昨年の日中合意にもかかわらず樫ガス田の単独開発を継続するなど、東シナ海における海洋権益を拡大する姿勢も変わっておりません。
中国を始め近隣諸国と友好な関係の維持発展に努めることは重要でありますが、自由や民主主義といった価値観を共有するインドなどとの関係強化も同時に図っていかねばなりません。外務大臣時代、自由と繁栄の弧という極めて戦略的な外交方針を示された麻生総理の外交手腕に期待しております。総理、対アジア外交の基本方針を伺います。
私は、かつて防衛大学校に籍を置きました。大江健三郎氏に、防大生は日本の若い世代の恥辱だと言われたころであります。そのときに初代校長、槇校長は、もののふの道として服従の誇りを説きました。校長は軍人ではなく民間人から選ぶという時の吉田茂首相の方針で任命された校長でした。
その吉田首相は卒業式で、諸君は自衛隊在職中、決して国民から感謝されることも歓迎されることもなく自衛隊を去ることになるかもしれない。あるいは非難と誹謗ばかりの一生かもしれない。御苦労なことだと思う。しかし、自衛隊が国民から歓迎され、ちやほやされる事態とは、外国から攻撃されての国家存亡のときや災害派遣のときなど、国民が困窮し国家が混乱に直面するときだけである。言葉を換えれば、君たちが日陰者であるときの方が国民や日本が幸せなのだ。耐えてもらいたい。自衛隊の将来は君たちの双肩に懸かっている。しっかり頼むよと訓示をされました。
田母神論文が物議を醸し、シビリアンコントロールの在り方について改めて議論がなされる今日、吉田首相のお孫さんである総理が今、防大生に訓示をなさるとすれば、どのような訓示をされるか、是非お聞きをしてみたいと存じます。
次に、ソマリア海賊対策について伺います。
昨年のソマリア沖における海賊事件は百十一件起きており、前年比約二・五倍と急増しています。現在二十近くの国、機関が軍艦等を派遣して哨戒活動、護衛を実施しておりますが、国際社会に責任を有する我が国として、また自国の船を守るためにも手をこまねいているわけにはまいりません。
海上警備行動は、海上保安庁が対処できない危機の際に海上自衛隊に出動を命ずる措置であります。海上警備行動が発令された場合、自衛官の武器使用は警察官職務執行法の範囲内で行うとされています。人に危害を与えることが許される武器使用については正当防衛が求められるのですが、それで対応できるか心配をします。
海賊は自動小銃、機関銃、ロケット砲で重武装し、複数の高速艇で襲いかかっております。そこに行けというのであれば、国際基準に沿った適切な武器使用を認めるべきではないでしょうか。そうでなければ、国際社会の一員として他国と連携して頑張ってこいとは言えませんし、派遣される隊員の安全も確保されません。総理の御所見を伺います。
あわせて、集団的自衛権の行使について、これを禁じている内閣法制局の憲法解釈をこの際見直すお考えはないか、お尋ねいたします。
来年度の社会保障関係費は約二十四兆八千三百億円で、一般歳出の約半分を占めます。これだけ巨額の予算を差配する大臣は厚生労働大臣一人です。
ここ数年、国民に多大な不安を与えている年金問題に加え、昨年からは経済不況もあり、深刻な雇用問題が発生し、難問山積の中、社会保障全般に関する諸問題に対応するのには無理が生じています。国民の皆さんの生活不安を払拭するためにも、年金担当大臣を別に置かれたらいかがでしょうか。総理のお考えを伺います。
この際、社会保障番号に対する総理のお考えもお聞かせください。番号があれば年金問題の幾つかは発生しなかったと思いますので、お尋ねをいたします。
中期プログラムで、中福祉中負担の社会を目指すとされました。この中福祉中負担の具体的な姿をどう描いておられるのですか。総理は、国民に必要な負担を求めますと断言されました。現在の我が国は中福祉なのか、中負担の国民負担率を総理は何%とお考えなのか、お答えください。
総理は、「やねだん」と申し上げて、すぐお分かりになりますか。おととし、あしたのまち・くらしづくり活動、内閣総理大臣賞を受賞していますので御存じかもしれませんが、改めて紹介したいと思います。
「やねだん」とは、私のふるさと鹿児島県柳谷にある小さな集落の通称ですが、十年ほど前までは人口三百人、その四割が六十五歳以上という高齢化、過疎化した集落でした。しかし、新しい自治公民館長が就任したのを契機に、集落総出のサツマイモの栽培、土着菌を使った土づくり、オリジナルしょうちゅう造りなど、地元の特産品の開発を成功させました。その結果、平成十八年には全世帯に一万円のボーナスを支給できました。
また、空き家を整備してアーティストを募集し定住してもらうなど、様々な取組を成功させてきました。地域再生を文化活動にまで高めた結果、Uターンする人も出てきました。赤ちゃんも生まれました。まさにふるさとを再生させたのであります。
ここまで住民を動かした原動力は、中心になった方の強烈な自立意識であります。数々の感動的な言葉を述べておられます。
財源を外に頼っていたのでは、特に補助金に頼っていたのでは感動もありません。集落民の企画能力を発揮する場がなくなる。過疎地だから、高齢者の集落だからとあきらめるなんてやぼだよね。生きている以上魂を使わなきゃ。
暗い話ばかりが聞かれる昨今、勇気をもらう気持ちがいたします。総理、一度、「やねだん」に来られませんか。これはお誘いであります。
総理は、我が国の新たな成長戦略の一つに魅力ある地域の策定を挙げられました。地域活性化に向けての御所見を伺います。
昨年の質問で、私はNHKの大河ドラマ「篤姫」について触れました。篤姫の中でも登場します大久保利通は、参議に就任をいたしますときに、この難を逃げ候こと本懐にあらずとしたためました。国家のために命を投げ出すことを覚悟したのであります。そして、明治十一年、殺害の予告を受けていながら、いつもの道を護衛も付けずに従者だけを連れて通り、紀尾井町で果てました。西郷からの手紙を懐にした覚悟の最期であったと言われています。明治の志士たちの、国のためには金も名誉も要らない、命も要らないというひたむきな情熱に感動を覚えます。
この大久保の血を引いておられる総理の日本国に懸ける思いをお聞きして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 尾辻議員の質問にお答えをいたします。
まず最初に、自殺防止に取り組む民間ボランティアについてのお話がありました。
十年を通じて連続三万人以上というのは異常であります。政府におきまして自殺状況を深刻に受け止め、施政方針演説でも初めて自殺対策の重要性を申し上げたところであります。今後も、有識者会議など自殺防止に携わる民間の方々の声を伺いながら、アンテナを高くし、自殺対策を全力で推進してまいりたいと考えております。
経済諮問会議及び規制改革会議についてお尋ねがありました。
経済財政諮問会議及び規制改革会議におきましては、経済財政政策の重要事項や構造改革に必要な規制の在り方について精力的な調査、審議を行い、時々の内閣が抱える課題の解決に向け大きな貢献を果たしてきたものと認識をいたしております。今後とも、これらの会議において現在の我が国経済が直面する課題の克服に向け精力的な調査、審議を行いたいと考えております。
なお、これらの会議は内閣総理大臣の諮問に応じ、調査、審議を行う組織であります。内閣としての最終的な政策決定は、総理の下に関係閣僚も合意して閣議において行われるところであります。
雇用対策と労働者派遣制度の見直しについてのお尋ねがありました。
百年に一度とも言われております経済危機にあって、雇用の安定を確保することは何よりも重要な課題と考えております。そのため、雇用の維持に努力する企業を支援するため雇用調整助成金を拡充する、派遣労働者、内定を取り消された学生、年長フリーターなどを正規雇用した企業に対し助成を行う、雇用創出のため都道府県に過去最大四千億円の基金を創設することにより地域求職者などの雇用機会を創出する、地方交付税を一兆円増額することを通じて雇用創出を促進していくなど、これまでにない規模、内容の雇用対策を実施することといたしております。
また、労働者派遣法につきましては、派遣労働者の保護を図る観点から、日雇派遣を原則禁止することなどを内容とする法案を提出いたしております。これに加えて、派遣元、派遣先の責任を明確化するなど、この法案につきましては与党でも議論が進められていると承知をいたしており、国会の場でよく議論をしていただきたいものだと考えております。
基礎的財政収支の黒字化目標の見直しに関するお尋ねがありました。
基礎的財政収支の黒字化は、過去に前例のない不透明な内外の経済状況に弾力的に対応しつつも、できる限り早期に達成することが必要であると考えております。しかしながら、経済情勢が極めて流動的、不透明な中では、一定の確度を持って見通すことは困難と思われます。当面、財政規律の観点から、現行の努力目標の下で、景気回復を最優先としつつ、財政健全化の取組を進めてまいりたいと考えておるところであります。
消費税についてお尋ねがありました。
消費税を含む税制抜本改革は、社会保障を安心なものとし、子や孫に負担を先送りしないためにお願いするものでもあります。このため、経済状況を好転させることを前提として、遅滞なく、かつ段階的に消費税を含む税制抜本改革を行うため、二〇一一年度までに必要な法制上の措置を講じます。その際、消費税の全税収は、確立・制度化した年金、医療・介護の社会保障給付と少子化対策の費用に充てることにより、すべて国民に還元する方針であり、具体的な実施の在り方につきましては今後検討を行ってまいりたいと考えております。
社会保障費についてのお尋ねがありました。
平成二十一年度予算においては、一定の財源を確保した上で、二千二百億円に足らざる部分につきましては後発医薬品の使用促進を行うこととしたところであります。
今後とも、少子高齢化の進行に伴い、社会保障費の増大は確実であります。安定財源の確保と並行して、社会保障の機能強化を図るとともに、コスト削減、給付の重点化などの効率化を進めて、社会保障を安心なものにしてまいらねばならないと考えております。
米国との関係構築についてのお尋ねがありました。
オバマ大統領は、選挙期間中から日米同盟を重視するとの立場を表明しておられ、昨日、私との電話会談におきましても、日米同盟を一層強化することで一致をいたしております。また、クリントン国務長官は、十三日の上院公聴会の証言で、日米同盟は米国のアジア政策の礎であるとの認識を示しておられるのも御存じのとおりであります。
私としては、日米同盟を外交の基軸として国際社会が直面する諸課題に対処していく考えであり、北朝鮮や対中政策などにつきましても日米で緊密に連携し、アジア太平洋地域の平和と繁栄の確保を図ってまいりたいと考えております。
アフガニスタンの支援についてのお尋ねがあっております。
我が国としては、治安・テロ対策及び人道復興支援を車の両輪として引き続きアフガニスタン支援に取り組んでまいります。人的支援につきましては、現在、我が国の文民約百十名がアフガニスタンで活動しておりますのは御存じのとおりです。
今後、アフガニスタンの平和と復興のために更にいかなる協力を行うことができるのか、引き続き我が国として主体的に検討してまいりたいと考えております。
アジア外交の基本方針についてのお尋ねがありました。
豊かで安定したアジアの実現は日本の安全と繁栄のためにも不可欠です。そのため、中国、韓国を始め、近隣諸国との関係の強化、朝鮮半島をめぐります問題の解決、地域協力の推進などに積極的に取り組んでいく考えであります。また、自由や民主主義といった基本的価値を共有するインドなどとの関係強化にも努めてまいりたいと考えております。
防衛大学生への訓示についてのお尋ねがありました。
自衛隊の活動は、今日、日本国内だけでなく、国際社会からも高く評価をされるようになっている。これは、シビリアンコントロールを理解した上で、厳しい訓練に耐え、地道に実績を積み上げてきた成果である。この良き伝統を受け継ぎ、日本と世界の平和と安定のために汗を流し、もって国民の信頼にこたえてほしいといった内容の訓示を行えればと思っておるところであります。
海賊対策についてのお尋ねがありました。
現在、海賊行為を行った者の処罰に対する規定や海上保安庁及び自衛隊が海賊行為に対処するために必要となる措置を定める新たな法律の整備について、今国会への法案提出を目指して検討してまいります。自衛隊の武器使用につきましては、的確に海賊行為へ対処できるよう、御指摘の点も含めて十分に検討していく考えであります。
集団自衛権についてのお尋ねがありました。
従来から政府は、集団的自衛権の行使は憲法上許されないとの解釈を取ってきたところであり、現在、この立場に変わりはありません。ただ、本件は極めて重要な課題であり、これまで様々な議論があったことを踏まえまして、その解釈につきましては、今後十分な議論が行われるべきものだと考えております。
なお、海賊行為は、私的目的のために行う不法な犯罪行為でありますから、その対処において集団自衛権の行使が問題となることはないと考えております。
年金担当大臣を置いてはどうかとのお尋ねがありました。
現下の深刻な経済不況の中、雇用問題への対応など厚生労働大臣の職責はますます重くなっており、御提案の趣旨はよく理解できるところではあります。
一方、年金、医療、介護などの社会保障制度は国民生活の基盤を支えるものであり、その費用も国民の負担である税や保険料によって賄われるものであります。各制度が縦割りに陥ることなく、総合的、一体的に運営されることが重要と考えております。したがって、年金制度のみを他の社会保障制度と切り離すことなく、一人の担当大臣の下で一体的な政策判断をしていただくことが基本となるべきものだと考えておるところであります。
社会保障番号についてのお尋ねがありました。
年金記録問題が生じた理由の一つは、一人で複数の年金手帳記号番号を有する事例が多数存在をしていたという事情もありました。したがって、年金を始め社会保障制度の対象者を特定できることは、極めて重要なことだと考えております。
現在、社会保障に関する給付、サービスを国民がより利用しやすくするため、社会保障カードの検討を進めておるところであります。その検討の中で、年金、医療、介護など各制度共通の統一的な番号の導入に関しても、他の選択肢とともに議論を進めていくところであります。
中福祉中負担についてのお尋ねがありました。
日本の社会保障は、高福祉と称される北欧諸国に比べ給付水準は高くない、他方、全国民をカバーする医療制度を持たない米国などとは異なり、国民皆保険、皆年金、介護保険などを実現している、こうしたことから中福祉と表現をさせていただいたところです。
しかしながら、社会保障の現状を見ますと、医師不足、介護人材の不足など、国民が不安を抱く課題多くに直面をしており、必ずしも中福祉の社会保障レベルとは言い難い状況もあるのではないかと考えております。また、現段階で特定の水準の国民負担率を想定しているわけではありませんが、中福祉に見合う税制抜本改革の実現により、国民の皆様に中負担をお願いすることが必要であろうと考えております。
そのために、昨年末策定した中期プログラムでは、社会保障の安定財源につきましては消費税を主要な財源として確保する、また、安定財源の確保と並行して、社会保障の機能強化を図るとともに効率化を進めることといたしており、当面緊急に対応が必要な課題や中長期的な課題などを工程表としてお示ししたところであります。こうした取組により、堅固で持続可能な中福祉中負担の社会保障制度を構築してまいりたいと考えております。
地域の活性化についてお尋ねがありました。
議員から御紹介のあった「やねだん」の集落におけます取組は、住民が自らの手で厳しい条件というものを克服した最も良い例の一つでありまして、その努力に深く敬意を表するところでもあります。
地域活性化の活力は、そこに住む人のいわゆる工夫、知恵、そしてリーダーシップが重要であることと考えております。このような取組が全国に広まっていくことを期待をいたしておりますし、政府としてこうした地域の創意工夫による活性化対策をきめ細かく支援してまいりたいと考えております。
最後に、日本国に懸ける思いについての御質問がありました。
総理大臣の職務は、日本の発展と国民の幸せのために全身全霊をささげることと心得ております。国民の先頭に立って、その難局に立ち向かう所存であります。逃げることはありません。皆様方の御支援を切にお願いを申し上げさせていただきます。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣鳩山邦夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(鳩山邦夫君) かんぽの宿についてお尋ねがありましたが、基本的に尾辻先生と問題意識を共有していると思います。
私が申し上げたいのは、このかんぽの宿の問題でオリックス不動産株式会社への譲渡の契約ということですが、問題は、李下に冠を正さず、瓜田にくつを入れず、国民から疑われるようなことがあってはならないということであります。つまり、政治家が例えば法律を作って、その法律の内容を利用して金もうけをたくらんだら、これは大変なことになるわけでありますが、同様に、政府の審議会とか委員会のようなものに深くタッチされた方は、それらに関連する事業からは身を引くべきだと私は考えるわけでございます。
大新聞は私を批判をして、そんなことをすれば引き受ける財界人がいなくなると私を批判をしています。あるいは、官僚や族議員はねじ曲がっておって財界人はみんな真っすぐだなんというふうな論調で書かれる記事もありますが、それは違う。私は、政治家も真っすぐでなければいけないし、財界人もまさに疑われるような行動はしてほしくない、そう思うわけでございます。
また、オリックスの総帥の方が郵政民営化にノータッチであるということをよく言われますが、彼が率いておりました規制改革会議の前身である総合規制改革会議では、平成十五年十月七日の会議で、郵政民営化が経済財政諮問会議に一本化されるまでの間では郵政民営化についての議論が彼の総合規制改革会議で盛んになされておりまして、また、彼の率いる規制改革・民間開放推進会議は提言を出して、公的宿泊施設の早期の廃止とか民営化を提言をしているわけですから、自ら公的宿泊施設の民営化を提言した以上は、それらのことには絡むべきでないというのが私の考え方でございます。
今後、引き続き日本郵政からは説明を求めていくわけでありますが、問題は、日本郵政のトップの方たちは、自分たちの計算した価格は問題ないと。帳簿価格というんでしょうか、それを非常に低く見積もっているわけでございます。かんぽの宿七十施設は、土地代だけが大体三百億、上物二千百億、合わせて二千四百億で建てられた国民共有の財産、これを何で百九億でたたき売らなければならないのか、国民は絶対に理解できないはずでございます。
ラフレさいたまの件だけで具体例を示しますと、土地六十五・七億、建物二百二十億で、二百八十六億ででき上がったものが、なぜか今は十五・六億という評価になっている。この辺の問題点をただすことによって、今後少しでも高く売却できるように努力するのが私たちの務めだと考えております。(拍手)
〔国務大臣舛添要一君登壇、拍手〕
○国務大臣(舛添要一君) 市販薬のインターネット販売についてのお尋ねがございました。
この問題につきましては、国民の安全性の確保を最優先し、リスクの高い第一類及び第二類医薬品の販売に当たりましては、薬剤師等が対面で情報提供することが担保される仕組みを基本として取り組む所存でございます。(拍手)
○議長(江田五月君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十六分散会