関西広域機構の会合で発言する橋下徹大阪府知事(左から2人目)。右は嘉田由紀子滋賀県知事=26日午前10時34分、大阪市北区、飯塚晋一撮影
大阪、京都、兵庫、和歌山、徳島の5府県は26日、防災や医療、観光など広域的な行政課題に取り組む「関西広域連合」(仮称)に参加する方針を正式に表明した。広域連合は将来、「道州制」が実現した際の権限や財源移譲の近畿圏での受け皿を視野に入れており、11月ごろの設立を目指す。複数の都道府県が集まる広域連合は初めてで、地方発の分権に向けた具体的な動きが本格化する。
関西周辺の10府県や政令指定都市、経済団体などでつくる「関西広域機構」(会長=秋山喜久・関西電力相談役)の会合がこの日、大阪市内であり、5府県の知事らが広域連合への参加を表明した。
ただ、各自治体の対応には温度差があり、滋賀と奈良の両県は議会との調整を踏まえた上で改めて判断する意向を示した。福井、三重、鳥取の3県は「日程的に対応が難しい」などとして参加を留保した。京都、大阪、堺、神戸の4政令指定都市は設立時にはオブザーバー参加となる見通しだ。
広域連合で扱う行政課題としては、医療や防災、産業振興、資格試験・免許、観光・文化振興などがあがっており、順次拡大していく。府県は、事務ごとに参加か不参加かを決められる「部分参加」が可能だ。
象徴的な事業として、京都や兵庫の北部など北近畿で、救急専門医などを運ぶ「ドクターヘリ」の運航を始める。防災では関西広域の防災計画や相互応援体制作りなどに取り組む。このほか、調理師や製菓衛生師などの資格試験を共同で実施し、事務コストの削減を図る。
参加する5府県は今後、議会や地元住民への説明を進め、夏ごろをめどに共通の規約案を固める。9〜10月の議会で了承を得て、総務相に設立申請する方針だ。広域連合長は、参加する府県の知事から選ぶ見通し。参加を留保した自治体には、引き続き検討を促し、事務ごとの部分参加やオブザーバーとしての参加を促していく考えだ。