コラム

2009年03月26日号

【ここが問題】
起訴された公設第一秘書と小沢代表の続投、東京地検幹部の説明と小沢氏の説明のズレ


●小沢氏は続投
 東京地検特捜部は24日、西松建設の巨額献金事件で小沢一郎民主党代表の公設第1秘書らを政治資金規正法違反罪で起訴した。これに対し小沢氏は代表続投を表明し、党側もこの表明を了承した。

●東京地権の説明
 東京地検は谷川宏太次席検事と佐久間達哉特捜部長が、記者会見、谷川次席は冒頭、書面を読み上げる形で、政治資金規正法について「政治資金をめぐる癒着や腐敗の防止のため、政治団体の収支の公開を通じて、『政治とカネ』の問題を国民の不断の監視と批判のもとに置くことを目的とした、議会制民主主義の根幹をなすべき法律」、「国会議員の政治団体が特定の建設業者から長年、多額の金銭提供を受けた事実を国民の目から覆い隠しており、政治資金規正法の趣旨に照らし、重大、悪質と判断した」などと説明した。
 佐久間部長が、この時期の強制捜査に着手したことについて「重大性、悪質性を考えると、衆院選が秋までにあると考えても放置することはできないと判断した」「われわれが政治的意図をもって捜査することはありえない」と言い切った。

●小沢氏の弁明 
 一方、小沢氏はTV会見て「私どもとしては、献金をうけた事実はそのまま報告しているし、献金の相手方をそのまま記載するのが(政治資金)規正法の趣旨だと理解しており、その認識の差が今日の起訴ということになったのだと思う。過去、この種の問題で逮捕、起訴という事例は記憶にない。そういう意味で規正法の趣旨からいっても合点がいかない。」と説明している。

●朝日新聞の解説
 25日付朝日新聞朝刊は「捜査の端緒は、東京地検特捜部が6月から手掛けてきた西松建設の裏金事件だ。その中でダミー団体を隠れみのにした同社の巧妙な違法献金に注目。その最大の献金先である小沢代表側に対し、同社が、東北地方での工事の受注調整で便宜を図ってもらう見返りなどとして献金を続けていた実態をつかんだ。
 だが、代表側の談合への関与を立件するには、公訴時効(3年)が成立、この「賄賂性の濃い献金」(検察幹部)を摘発するために適用されたのが政治資金規正法だ」
 あるゼネコン幹部は「政治家は自分で規正法を作っておきながら、ゼネコンに「(献金の)抜け穴を探せと要求してくる」と供述したという。政治家側が法の網の目をくぐる行為をさせていたことは見逃せない。「微罪」批判もあめが、禁固5年以下、公民権停止5年の罰則がある虚偽記載罪を微罪とは呼べない」

 と1面で解説している。
 検察批判をする人は2人の東京地検幹部の説明と。この記事を読んでから批判すべきだ。
 東京地検幹部の説明と小沢氏の説明は噛み合っていない。ここが問題なのである・

●続投了承から1夜明けたら
 民主党の小沢続投了承から一夜明けた25日、NIKKEI NETは0700、「小沢氏秘書、虚偽記載を大筋認める供述 東京地検」という見出しで次の要旨の記事を配信した。
「捜査関係者によると、大久保秘書は「西松建設からの献金と認識していた」と虚偽記載を大筋で認める供述をしているという。」

 この記事が事実とすれば由々しき事態と指摘せざるをえない。
 民主党内から「小沢氏続投に異論」が出始めた。当然である。
 読売社説「公設秘書起訴 小沢代表続投後のイバラの道」「西松献金事件―小沢代表は身を引くべきだ」(朝日)「小沢氏秘書起訴 代表続投は説得力に欠ける」(毎日)「小沢氏続投は有権者の理解得られるか」(日経)、「公設秘書起訴 小沢氏続投は通らない」(産経)といずれも小沢氏に厳しい。

 小沢不信、検察不信の声が上がっているが、国民は小沢不信、検察不信のいずれが是でいずれが非なのか、情報不足で判断ができないのではないか。いずれにしても公設秘書は起訴されたのだから。裁判では全てが明らかになるであろうが、それまでには時間がかかる。情報が必要なのは今なのだ。
 朝日も指摘していることだが、検察ももっと説明が必要だし、小沢氏は続投するのなら、思い込みを語るのではなく、検察と噛み合わないズレのある説明ではなく、客観的事実と符合する説明が肝要ではないか。

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