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企業と年度予算

2009年3月26日

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 ほとんどの企業が年度ごとに経常予算を作る。いわば年間事業計画である。4月に新年度が始まる多くの企業で、年度経常予算を機関決定するのが今の時期である。株主総会では決算と合わせて年度予算を開示する。金融機関は貸付先の予算の中身を審査する。予算の達成度を組織や社員の業績評価に使っている企業もある。だが、それほど重要な位置付けにある予算が、今年は多くの企業でまともに作れていないようだ。事業環境がどうなるのか。この先が全く見通せないのである。

 製造業においては自動車、家電、機械などあらゆる業界で、企業が一斉に過剰在庫削減に動いた。実需が落ちているところに皆が在庫を減らそうとするのだからどの業種も急激かつ大幅な減産となった。一部の自動車メーカーでは既に在庫調整が終わりに近づいたという話のようだが、多くの業界でいまだにめどは立っていない。ドミノ倒しのしんがりを担うように、すべての在庫圧縮のつけがまわってくる素材メーカーなどは、まだ減産を強化している。在庫調整がいつ一段落するのか。在庫が正常化してもその先の需要はどうなるのか。世界的にも我が国においても消費は戻らないのではないか。先が見通せない中で大企業、中小企業を問わず多くの経営者が今焦燥感と不安感にとらわれている。

 もちろん座して死を待つわけにはいかない。自身の知恵と汗で何とかしのぎきりたい。これは経営者の思うところである。だが今の状況が続くならどんな施策もいわば焼け石に水である。借り増しした運転資金もあっという間に赤字にのみ込まれていく。とても予算作成どころではない、これが経営者の率直なところだろう。(啄木鳥)

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