2009年3月25日 21時35分 更新:3月26日 2時58分
北朝鮮が長距離弾道ミサイルを4月4~8日に「人工衛星」の名目で打ち上げることを通告している問題で、政府は27日に安全保障会議を開いたうえで、ミサイルが日本に落下する場合に備え、浜田靖一防衛相が自衛隊法82条2の第3項に基づく初の「破壊措置命令」を発令することになった。河村建夫官房長官、中曽根弘文外相、浜田防衛相が25日、首相官邸で協議し、初の命令を出す方針が固まった。
命令を受け、海上自衛隊が海上配備型迎撃ミサイル(SM3)搭載のイージス艦2隻を日本海などに、航空自衛隊は地上配備型迎撃ミサイル(PAC3)を、秋田、岩手両県に展開。政府は国民への情報提供の態勢なども含め、対処方針を記者会見で説明する。迎撃に踏み切れば、03年に整備が始まったミサイル防衛(MD)システムの初運用となる。
安保会議の内容は通常公表されず、同3項による命令も非公表が原則。しかし北朝鮮は既にミサイル発射を通告しているため、首相が主宰する安保会議で決定した対処方針を明らかにすることで、国民の不安解消と政権浮揚につなげる狙いだ。
北朝鮮が通告した危険水域に基づけば、ミサイルは秋田、岩手両県の上空を通過する公算になる。河村長官は協議後の会見で「通告通りなら日本への落下のがい然性は非常に低い」と述べた。
ただ、故障したミサイルの部品やロケットブースターなどが日本領土・領海に落ちるおそれもあるため、防衛省は浜松基地(静岡県)のPAC3を両県に移動させ、迎撃に備える。【松尾良、坂口裕彦】