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【国際】

チベット僧ら数百人暴動 青海省自治州警察署など襲撃

2009年3月23日 朝刊

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 【北京=平岩勇司】新華社通信によると、中国青海省ゴログ・チベット族自治州で二十一日午後、チベット仏教の僧侶約百人を含む数百人が地元の警察署と政府庁舎を襲撃、政府職員数人が軽傷を負った。警察当局は二十二日、暴動に参加した六人を逮捕、ほかに八十九人が出頭し「秩序は回復された」としている。

 昨年三月のチベット暴動から一年を迎え、治安当局がチベット族居住地域で厳戒態勢を敷く中、大規模暴動が伝えられたのは初めて。力により抗議行動の封じ込めを図る当局に対しチベット民衆の不満が高まっている。

 新華社電によると、当局者は今回の暴動について「チベット独立を支持した疑いで取り調べ中の男が警察署を脱走、行方不明になったとのうわさが広まり、騒動に発展した」と説明。一方、インドのチベット亡命政府は「チベット旗の所持などで捜査中の若い僧侶が川に飛び込み、自殺を図った」と発表した。

 捜査が原因で僧侶が自殺に追いやられたという情報が広がり、民衆の怒りに火が付いたとみられる。

 昨年の暴動は、チベット自治区ラサでデモ行進をした僧侶らが拘束され、他の僧侶が釈放を求めたことから発生。周辺の青海省や四川省に広がった。今回の暴動も構図が似ており、各地に波及する可能性がある。

 共産党政権は、五十年前にチベット自治区の統治権を確立した日にあたる今月二十八日を「農奴解放記念日」と制定。メディアは「共産党がチベットを民主化した」とキャンペーンを繰り返し、逆にチベット民衆の反発を呼んでいる。

 

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