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アキハバラを占拠せよ!

革オタ同、革萌同、革非同による解放デモ呼びかけ

渋井 哲也(2007-06-26 13:15)
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 「団結して共に闘おう!」

 こうしたスローガンを見かけると、旧来の政治運動や労働組合運動などをイメージする人も多いだろう。しかし、このスローガンの下で、呼びかけを行っているのは、そんなイメージを壊す若者たちだ。

 革命的オタク主義者同盟(革オタ同)と革命的萌え主義者同盟(革萌同)、革命的非モテ同盟(革非同)の3派合同主催の「アキハバラ解放デモ」が6月30日、東京・秋葉原で行われる。

 この3派は、エロゲーマーやアニメファン、鉄道オタク、軍事ヲタク、コスプレマニアなど「あらゆるアキバ系オタク諸君」に、「好きに生きるか、それとも縛られて生きるかを選択する時だ!」と、団結を呼びかけている。実行委員長の一人で、「革非同」の古澤克大さん(26)=ゲバ名、法政大学4年生=によると、その3派は社会的弱者であり、割を食っている人々だという。

解放デモを呼びかける古澤さん(撮影:渋井哲也)

 「(3派に含まれる人たちは)これまで社会的弱者とは思われていなかった。どのように割を食っているかというと、オタク(ヲタク)は『電車男』で一時注目を浴びましたが、今でもキモイと言われたりしているように、それは決して好意的な注目ではありません。また、(アニメ、漫画、ゲーム等では)表現規制の問題もあります。商業主義的な恋愛からも排除されています。そして、少子化対策の中で『独身税』という発想まであります」

 こうした「割を食う人々」が集まり、デモをすることで、政治的な意見表明をすることが今回の「解放デモ」の呼びかけの趣旨だ、という。

 ただ、こうしたデモに人を集めるのは簡単なことではない。政治やデモは「ダサイ」「うさんくさい」と思われる風潮の中で苦労をし続けた。

 「(ほとんどの人は)当事者意識は低いですからね。僕がやろうと思ったのは、確信があったからです。『僕がやらなきゃと誰がやるんだ』って。ただ、自分がやっていることが正しいと思わないとやらないです。こうして集まることで政治家たちも、少なくとも気にせざるを得なくなります。まあ、僕がやらなくても誰かがやるんでしょうが(笑)。単に僕は音頭取りです」

 そんな古澤さんが「非モテ」であることの確信を持った出来事があった。

 06年10月末、1年以上好きだった女性がいた。それまで友達のような関係だったが、「付き合いたい。ラブラブの恋人のようにイチャイチャしたい」という感情が芽生え、告白したのだ。

 「『ごめんなさい』と言われて、失恋し、深酒したんです。そして家に帰ってみると、そこにはマルクスの『共産党宣言』がありました。(『万国の労働者よ!団結せよ!』という部分等をみて)『非モテよ!団結せよ!』と行間に書いてあったような気がしたんです。行間を読むのは左翼の基本ですからね(笑)」

 古澤さんは、「非モテ」というカテゴリーに自分の生きる道を見いだした。「非モテ」というのは、恋人がいない人をさすが、恋人がいたり、結婚をしていても「非モテメンタリティー」(「どうせ、オレはモテないんだ」と考えていること)を持っている人も含まれる。やはり、「どうせ」という感覚の中に、社会的弱者とという感覚が暗に含まれるのだろうか。

 「コミュニケーション能力が低かったり、クラスにうまく話題にのれない人がいますよね。その一方で勉強ができたり、スポーツが上手かったりしてクラスで目立っている人がいる。そうしたヒエラルキーの中で、非モテは下に置かれるんです。そして好きな人を作らなくなるんです。『どうせ僕が好きになっても、その人にとってはデメリットだ』って思ったりする」

デモを呼びかけるビラ(撮影:実行委の公式サイトより)

 『萌える男』(ちくま新書)の著者・本田透氏の考え方も影響を受けているという。

 本田氏の考え方には「恋愛資本主義ピラミッド」がある。同書によれば、「すべての人間が、恋愛偏差値によって階層化され、ヒエラルキーの中に押し込まれる」「そして、一定の偏差値基準に満たない人間は、ピラミッドの外部へと排除される」という構図をさす。

 「モテない男(キモメン)」から「女」へ金が流れるのが「第1の搾取構造」であり、「女」から「モテる男」へと金が流れるのが「第2の搾取構造」、としている。そしてそれは金だけでなく、「男性的・女性的魅力」がヒエラルキーを決めている(もちろん、女性にも階層がある)。こうして一握りの男性が女性を独占する、というのだ。

 「恋愛が自由になれば、必ず負け組が出ます。経済活動が自由になって勝ち組と負け組の格差が生まれるのと同じです。そんな中で、本田さんは(リアルな女性を好きになるというよりは)『萌え』(脳内恋愛、2次元恋愛)によって解決しました。でも、できない人もいるんです」(古澤さん)

 こうして、「非モテ」を社会問題として位置づけた古澤さんは社会運動をすることで「恋愛しなくてもよい社会」を目指そうとしている。

 その運動方法として、60年代に流行して、学生たちを巻き込んだ政治運動「全学連」にヒントを得たのはなぜなのか。古澤さんは、

 「人を集めるには面白くないとダメですよね。そこで、(全学連の)パロディを思いついたのです。法政は中核派の拠点ですからね(笑)。従来の左翼には、人を集めるにしても、デモをするにしても警察への申請の仕方、ビラを撒くにしてもノウハウがありますから、勉強させてもらいました」

 と話す。そして「非モテ」たちにはこう呼びかける。

 「万国のフラレタリアートよ!団結せよ!」



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