一夜明けの会見場を、最初に笑いの渦に引き込んだのは、イチローだった。打撃不振に苦しみながら、最後に決勝適時打を放ったことに触れ、「個人的には最後まで足をひっぱり、韓国やキューバのユニホームを着たりしたが、最後にジャパンのユニホームを着て、おいしいところだけいただきました。ごちそうさまでした!」
[フォト]「侍ジャパン」と記されたウイニングボール
決勝のホームを踏んだ内川が「イチローさんのおかげでテレビにたくさん映った。ありがとうございました」と続く。亀井も「出番は少なかったけど、ベンチで一生懸命、声を出した。金メダル、ごちそうさまでした」。戦いを終えた選手たちの表情はとても晴れやかで、一夜明け会見は笑いが交じる和やかな雰囲気に終始した。
結成から約一カ月。イチローは「侍ジャパンというネーミングがハードルになった」と打ち明けた。「『私、アイドルなの』と言いながら、かわいくないと困るのと同じで、侍と言いながら勝てないのはまずい。最終的に勝って、侍になれて、ほっとしている」
前回大会の優勝を経験し、大リーガーとして米国でも突出した実力を持つ。背番号51にはチームリーダーの役割も期待されたが、「チームにはリーダーが必要という安易な発想があるが、このチームには全く必要なかった。それぞれが向上心を持って集まったチームは強いし、そういうもの(チームリーダー)はいらない」と言い切った。それでも、会見中の選手からは口々にイチローに対する感謝の言葉が飛び出した。
WBCは終わった。舞台はすぐにMLBに移る。日米通算安打数が、張本勲氏(東映、巨人など)の日本プロ野球最多記録の3085安打に、あと2本に迫り、今季は大リーグ新記録となる9年連続200安打がかかる。笑顔の旅立ちの先に、次なる戦いが始まる。(田中充)
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