2009年3月の日記

2009.03.01.
単に新聞紙が欲しくて新聞を買いました。時の不定期連載。
 夜道を外れて、空き地に入っていく。空き地といっても瓦礫の集積場になっており、見通しは悪い。
 旧市街でも復旧の遅れているこの界隈には、人の気配は感じられない。そうでなくとも夜間の旧市街を出歩く者はそう多くないが――ここは難民居住区からも離れており、なおさらだ。
 明日の出航に備えて、港湾は連日、不眠不休の作業が続いているはずだ。キムラック難民らも慌ただしくしていることだろう。それらの手配は、もはや自分の仕事ではない。こいつは瓦礫の間から星空を見上げた。腰に手を当て、深呼吸する。
「ここから見上げる、最後の空かな」
 つぶやいた。独り言ではない。
 背後の物陰から、音を立てずに現れた人影に対して言ったものだ。
 その男は感情を交えずにこう聞き返してきた。
「それは、今夜死ぬと考えているからか?」
「どうかな。まあ、それでも最後になるには違いないか」
 こいつは苦笑して、後方に向き直った。
(さて、こいつは……誰だ?)
 かつての教室の仲間と言えるだろうか。
 貴族連盟の殺し屋は既に拳銃をこちらに向けており、引き金を四度絞った。
 銃声のたびに横に一歩ずつ。急ぐ必要もなくかわす。五歩目を踏み出す必要はなかった。弾が尽きたのか、殺し屋は拳銃をその場に放り捨てた。
 他になにか武器でも持ってきているだろうか。こいつは待ったが、殺し屋は無手のまま、拳も作らずに指先をこちらを向けた。目を細める。そいつが魔術の構成を編もうとしているのはすぐに察した――その構成が、まったく意味をなさない、でたらめなものであっても。


2009.03.02.
ミゼット完成。時の不定期連載。

 殺し屋は諦めて、腕を下ろした。つぶやく。
「あの日以来、俺は魔術を失った」
「そうか」
「お前が奪ったからだ」
「それは、違うな」
 こいつが告げると同時、殺し屋が飛び出した。
 速度はかつて見知ったものと遜色ない――魔術を失い、恐らくは体調も万全ではなかったろうが、殺人に関する技能はまったく変わっていないというのも皮肉な話だ。
 真っ直ぐに突進してくるようで、右にずれている。体勢からそう見せかけて、恐らく最後の一歩では左側の死角に入り込んでいるだろう。相手のフェイントに逆らわず、こいつは敵の姿を目で追うのをやめた。目を閉じていたとしても同じだったろう。その場からの離脱も最小限に、半歩にも満たない動作で身体を捻る。
 見えない位置から突き込まれてきた拳は、左手で受け流した。一瞬遅れて耳を狙ってきた指先は首を反らしてかわす。体勢を崩していれば、続けて放たれた蹴りに足首を払われ、転倒していただろう。が、こいつは留まることなく足の裏でそれを受け止め、逆に蹴り押した。
 敵の動きが僅かに澱むのを、気配というよりは道理で察する。
 即座に反撃に転じた。一瞬で身体を震わせ、地面を蹴る。その反動を拳に乗せて、真っ直ぐに敵の身体の中央へと注ぎ込む――拳の先端は空を切った。
 いるべき場所に、敵の姿はなかった。
(二手目か三手目か……そのあたりで読み違えたな)
 無視するつもりでいたにもかかわらず、フェイントにかかっていた。殺し屋は既に後方に飛び退き、じっとこちらを見据えている。


2009.03.03.
新しいPCモニターが横長過ぎて戸惑っている時の不定期連載。
 こいつは体勢を直しながら、相手と同じようには見つめ返せずにいた。左目が開いていない。痛みは大したことがなかったが、まぶたが動かなかった。手をやると、ちょうど眼球からずれたあたりに針が刺さっている。針は簡単に抜き取れたが、目は開かなかった。
(含み針か)
 最後に吹きつけていったのだろう。口に含んでいたのだから劇薬ということはないだろうが、まぶたが動かない。魔術で回復させることは難しくないだろうが、特殊な毒であれば分からない。
 狭まった視界で、殺し屋が再び動き出す。今度は正真正銘、真正面からだ。大きな動作で腕ごと叩きつけてくるような、そんな拳を放つ。
 右か左か後方か――本能が選び取った選択肢は、前進だった。打点から体をずらして回り込むと、拳、肘、肩、敵の身体と順番にすれ違う。入れ替わる寸前に手刀を放ったが、それはかわされた。
 逆に、左肘に痺れが走る。
 舌打ちして、こいつは腕を引っ込めた――ほんの一瞬だが関節を取られた。ダメージを負うほどではないが数秒は動かないままだろう。敵の意図が知れる。一撃必殺の撃ち合いでは相打ちになりかねないと見て、末端からじわじわと攻め、こちらの機能を狭めていくつもりだ。
 稼いだ何秒かを、敵が見過ごすつもりでないのは当然だった。すれ違う一瞬から身体を反転させ、追撃を仕掛けてくる。左目は塞がれ、左腕が麻痺している。狙いが重なったのは偶然ではないだろう。最初からこのプランを狙っていたはずだ。
 脇腹の急所への一撃は、腕を払ってなんとか防いだ。頭突きは防がずに、あえて上腕で受け止めた。
 本命はそこではなかった。左の足首に、火薬でも炸裂するような衝撃が走った。実際、地雷でも踏めばこんな感覚なのではないかと思える――が、威力は上側から加わっていた。踏み抜かれたのだ。


2009.03.04.
前に冗談で取った小型船舶操縦免許、1回もボートに乗らないままあと4日で失効することに気づいた時の不定期連載。
 今度は舌打ちどころでは済まず、転がるようにして退避する。倒れて起きあがれるかどうか、不安が胸をよぎったが、体勢を立て直してからまだ足が胴体に繋がっているのを見て安堵した。それほどの威力ではあった。
 なんにしろ挫傷は間違いない。左腕は回復しつつあったが、代わりに足の自由を持っていかれた。
 相手のとどめを警戒して、こいつは中腰のまま身構えた――が。
 殺し屋は動いていなかった。数歩の距離からこちらを見下ろし、声をあげた。
「あの時……」
 ごく単純な怒りに打ち震えて、そいつは声を荒らげた。
「やれば、俺が勝った! 俺は超人となり、この世界を救った」
「だからあの場にいた誰ひとりとして、俺たちを戦わせなかった」
 こいつは告げたが、そいつは一笑に付す。
「あいつの、短慮な裏切りに過ぎん」
「それが悔しいか?」
「なんだと?」
 うめく男に、こいつは囁いた。
「一番止められたくない相手に止められたのが」
 殺し屋の怒声が魔術の攻撃であったかのように――こいつは片足で立ち上がり、後方に跳躍した。幸いにも転倒はせず踏みとどまり、また敵の追撃もその時にはなかった。
 距離を開けて対峙する。
「あの時……」
 こいつは口にしてから、それが相手の言葉のおうむ返しだと気づいた。
 が、言い直しもしなかった。
「あいつが俺に言ったのは、どちらかを選べということだった」
「超人として戦い続けるか、逃げるかということだ。お前は――」
「いや、違うな。超人として逃げ続けるか、戦うかということをだ」
「詭弁だ」
「どうかな『サンクタム』」
 これが別離だ。
「それが、俺を殺すためのお前の名前か。サンクタム」
 この男とだけではない。もっと多くの者との別離になる。
 ゆっくりと、こいつはそれを口にした。刻み込む。この最後の夜に言い残すにはちょうどいい。
「多分こう思っていたのは俺だけだったろうが――あの時も、勝つのは俺だったよ。あの時だったら、俺は、お前を殺していただろうな」


2009.03.05.
冷え込み過ぎてたいやきを食べました。時の不定期連載。
 そいつが両腕を広げ、躍りかかってくるのを見ていた。
 怒りに我を忘れていようと、殺し屋の動きに隙はない。自身の制御も計算も必要としないほど練り込まれた、徹底した殺人技術だ。
 こいつは無事な右足に体重を乗せ、待ち受けた。左腕を前に、右肩を後ろに。
 左手はただ突き出しているわけではなく、突進してくるそいつの身体を掴もうと牽制している。が、指先が敵に触れるよりも先に腕ごと打ち払われた。そいつの動きは最大限の予想をも上回って素速い。
 が、こいつはそもそも予測を捨てていた――どうでもいいことだ。考えていたことはひとつ。今、腕の内側に敵がいる。
 己の身の丈で責任を果たす。手のとどかないところを、手のとどかないまま怒るのではなく。それだけだ。
 見ていたわけではないが、そいつの歓喜は感じ取っていた。敵は勝利を確信している。最も致命的な箇所に、最短で爪を突き立てようとしている。
(どこまで無視できるか)
 冷たい心地で、こいつは囁いた。一瞬でも遅いほうが死ぬ。
 自分を殺す致命の一撃が迫り来るのをきっぱりと無視して、自分の作業にだけ没頭する。そいつがどの急所を狙ってきているか。どれだけの苦痛か、衝撃か。自分が死ぬのはあと何秒後か。
 すべて忘れて、そいつの胴体に右拳を添える。心臓の上。
 無心で殺人打法を重ねる。
 同時に吹き飛ばされた。


2009.03.06.
この連載の書籍化についても、ぼちぼち固まってきました。連載のほうはとりあえず今回でまたしばらく小休止です。時の不定期連載。
 恐らく、互いにまったく同じことをした――寸打による心臓打ち。こいつは地面に転がって、その衝撃が体内で暴れ回るのを味わった。熱い。視界が白黒に瞬いて、呼吸をするどころか、息を止めることすらできないような苦痛。
 意識が遠のいても、地面から逃げ出せない。どれほどのたうっていたか、こいつはようやく一息、肺に空気を入れた。
 たちまち後悔した。意識が回復すると、激痛がまだ去っていないのが分かるだけだ。それでも息を呑み、唾を吐き捨て、毒づきながらこいつは身体を起こした。足も手も、身体を支えるすべてが覚束ない。が、なんとか重力に逆らって頭を上げる。
 見るとそいつが倒れていた。目を見開いて、やはり苦悶に喘いでいる。身動きできない殺し屋を後目に、こいつは立ち上がった。手近な瓦礫に手を突いて、転ぶのを防ぐ。
 めまいを押さえて、こいつはつぶやいた。
「どれだけ自信のある一撃だろうと、相打ちじゃあ、完全には決まらない。お互いにな。だが、しばらくは動けないだろう。一日か、二日か――まあお前の好きにしろ」
「同時……だったはず」
 ヒューヒューと隙間風を思わせる吐息の合間に、途切れ途切れだがそいつが言葉を挟もうとする。
「どうしてお前は――」
「どうして俺だけ動けるのかってことか? こんなことでお前は満足なんだろう。だが、俺は行かないとならない」
 口の中の苦味――アドレナリンか、もっと違うものか――を噛み締めて、こいつはかぶりを振った。
「たったそれだけのことなんだ。本当だよ……」
 そしてあとは振り返らず、その場を立ち去った。


2009.03.06.その2
編集の人に誕生日を祝われてきましたー。
でも原稿待たせてる相手だったので、どっちかというと謝り会でした。
帰ってきて2分でアップしたら、↑の一部変換ミスっちゃうし(直しました)。
まあそれはともかく祝っていただいたのでした。年男ですわたし。
で、プレゼントがヤバイくらい可愛い! これです。

猫もなか。浦安の猫実ってところにある、猫実珈琲店ってお店で売ってるそうです。
猫って言い過ぎですわたし。
今日は多分あともう1回くらい更新します。

2009.03.06.その3

今月号のザ・スニーカーでーす。
告知が載りました。
次号(4月30日発売)から連載開始です。
旅モノです。で、西部劇で戦車です。そんな感じ。
一応、全9話を予定しています。
本当は今日までに戦車のプラモとか作っておきたかったんですが、間に合いませんでした。
ていうかこれしかありません。

頭の皮だけだよ人間でいったら!

2009.03.06.その4
よく見たら他人様の名前が隠れてしまってたので……すみません。


2009.03.07.
さて、ネタ企画です(名称欲しいなー)。
先月募集した、書き下ろしのネタ。まじめに選びますよー、ってより、テキトーにやるくらいがいいかなと思ってます。
なので応募〆切とかもわりといい加減です。
内容的にかぶりそうなのはまとめて数えてみると、こんな感じでした。
A(多数ネタ)は予想通りというか、プレ編の勢揃いでした。主人公と、あと教室の連中7人。まあ一度も揃ったことないんですよね。
B(面白いかな、というネタ)は、要はわたしはそれ思いつかないわ、っていうものを選ぼうと思ってたんですが、本当にただ純然たる意味で「思いつきそうにないネタ」だと単に予想外なだけだし、選ぶさじ加減が自分でもよく分からなくなってしまいました。
ぱっと、直感で選んじゃいます。教師になる以前のチャイルドマンの話。Aほどじゃないけれど、実は多数ネタでもありました。
C(あり得ないネタ)はまあ、ぱっと見、やりたくねーってものを選びます。候補にそういうのもないとつまんないよね、と思ったんですが。
これも直感で。魔王オーフェン対キースかな。
他は、1回だけ出たマイナーなキャラのお話とかが多かったですね。コーゼンとかそのあたり、みんなよく覚えてるなあ……AもBも多数ネタから選んじゃったので、バラけた分、不利になっちゃいました。
あと、ページ数の都合もあるので、ボリューム多くなりそうなのは避けた(Aも避けたかったけどこれは仕方ない)っていうのもあります。
既に書き下ろしをいくつか準備しているんですが、このネタとかぶるのは自動で落選させていただきました。これが結構あることに驚いたですよ……
というわけで、この3つから投票いただこうと思います。
A:プレ編の勢揃い
B:教師になる以前のチャイルドマンのお話
C:魔王オーフェン対キース

ABCから1つを選んで、motsunabenohigan@akita.email.ne.jp 宛にどうぞ。
まあ大層なルールを設けるほどのものでもないですが、一応お一人様1票で。
期間は、たった今から1週間後、13日の金曜日23時59分までです。

2009.03.08.
企画の話続きですが。
打ち合わせをしまして、収録できる原稿がだいたい決まってきました。
ミニ文庫や、今まで雑誌にだけ発表したものなんかも収録してしまおうということになったんですが、収録タイトルはこんな感じになりそうです。
・ミニ文庫×2(『悪逆の森』『ゼロの交点』)
・ドラゴンマガジン増刊に掲載されたエンジェル・ハウリング短編
・ザ・スニーカーに掲載されたリングのカタマリ
・ドラゴンマガジン増刊に3話連載されたパノのみに冒険/1話、2話、3話
この7本ですが、以前お話ししたように、わたしの手元に本が残ってないんですよね。
それでみなさんに協力いただければ、と思っています。
御礼として、その7名に完成した本を献本させてくださいませという、そういう企画です。
とはいえ重複しても意味がないので、申し訳ないですがそれぞれ1名様ずつに限らせていただこうかと。
選ぶ方法ですが、日時を指定した上でメールを募って、先着で各1名、合計で7名様という感じで。
メールの内容には、どの原稿について応募するか、タイトル1つだけを書いてください(特に、連絡先等は書かないようにしてください)
一番早かったメールアドレスに出版社のほうから返信します。それで連絡がつきましたら当選です。
なので、返信して連絡のつくアドレスでお願いいたします。
なお、ミニ文庫については本を送っていただくことになると思いますが(もちろん返却します)、その他のものはコピーで大丈夫です。
で、日時ですが。
14日土曜日の14時から受付です。
今回のメールは、いつものアドレスではなくて、出版社さんのほうに送っていただくことになるので御注意ください。
その日までに、このサイトのトップページで募集用のアドレスを掲示します。
うーん。なんか分かりにくいかなー。

2009.03.09.
そんなわけで持っていた小型船舶操縦免許が失効しました。
まあ、なんか取ってみようかくらいの感じで取ったものなんですが。
取得後は1回も操縦しませんでした。
ちなみにこれくらいのボートで試験受けました。

多分乗るのは、もっと大きい船でもオーケイだった気がします。
「二級5トン」って資格です。
今ではこの区分はかなり変わっていて、もう5トンとかって区別はなくなってるようです。
画像は教習に来た時のものなんですが、実技の講習は試験前日に2、3時間乗る程度で終わりです。
でも試験の合格率は95%かそれ以上です。
正直、免許取るだけだったらまったくの素人とほぼ変わりません。
でも海の上をボートで走るのはスゲー気持ちよかったです。
ちょっと海を見る目が変わるくらい。
あとおまけ。

教習所に猫いました。人なつこかったです。

2009.03.10.
ネタ企画の中間報告。
ABCどれも意外と(?)変わらない感じです。
じわじわっとは差がありますけど。
なお、それぞれの最初の台詞は、
Aは「……なんで髭が?」
Bは「ブラディ・バース・リン。まったく悪いとは思っていないが、まあ、死んでもらう」
Cは「ところでさ、俺らもうじき、死ぬよな」
から始まります。なんとなく決めました。

2009.03.11.その1
そういえばそういう時期なのでデパ地下に行くわけでしょ。
いつも思うんですけど、なんか3月の品揃えって2月に負けてるんですよ。
お菓子屋の気合いが違うっていうか。
なんか、すっげー不利なルールで戦ってるって気がしません?
おのれぃ。負けるか。

2009.03.11.その2

オトレト人IIノオト……じゃなくて、韓国語版『カナスピカ』です。
意外に思うかもしれませんが(?)翻訳版って結構よくあるんですよね。
オーフェンとかエンジェル・ハウリングとかもなってたりします。
ハングルって本当に文字から分からないから、自分が書いたはずなのに見ても全然理解できないって不思議な気分です。
韓国語ができる人に聞くと、必ず「実はローマ字みたいな感じで覚えやすいよ」って言うんですよね。
外国語できる人ってマジうらやましいです。ていうか日本語できる人うらやましい。

2009.03.12.
収録の集め企画、募集用のメールアドレスが決まりましたー。
(株)ティーオー・エンターテイメントさん宛のものになります。
infoakita@toenta.co.jp
です。
メールの件名に
●ミニ文庫『悪逆の森』
●ミニ文庫『ゼロの交点』
●エンジェル・ハウリング短編
●リングのカタマリ
●パノのもっとみに冒険1話
●パノのもっとみに冒険2話
●パノのもっとみに冒険3話
のいずれかを記入して14日の14時以降にメールください(それ以前だと無効です)。
メールの本文はなくても構わないですが、この応募の件で提案などあれば、遠慮なく書いてください。
ただ、そちら様の連絡先等は書かないようにしてください。
14時以降に1番最初にとどいたメールから、編集の方が返信します(土曜だし、即ではないと思いますが)。
それでコンタクトが取れれば、編集者から交渉させていただく、という段取りのつもりでいます。
(なるべく情報を集めない形にと考えたら、こんな変な手順になってしまったんですが……一応書いておくと、ここで募集した情報はこの書籍の作成・販売以外の用途には使われません)
1番最初のメールが音信不通だったりした場合は2番目、みたいに繰り下がっていくと思いますが、その場合返信が結構遅くなるということもあり得ます。
どの話が決定したか分かり次第ここでご報告させていただきますので、未決定のタイトルに応募いただいた方は、それまでは気に掛けてメールをチェックしていただけるとありがたいです。
ミニ文庫の2冊だけは現物を送っていただくことになると思いますが、その他のものはコピーで大丈夫です。
送料は着払いにしていただいて問題ないですが、コピー代等は負担分を弁償する方法が思いつかないので、お客様の負担になってしまうかもしれません。
すみません(なんかいい手があればご提案ください)。
御協力いただいた方には、完成した書籍を献本させていただこうと考えています。
それでは、よろしくお願いいたしまーす。

追記:質問があったので補足します。
「複数のタイトルに応募しても良いですか?」とのことなんですが、それは我々としては特に問題はないです。
でもまあ、ひとりで複数に当選というのはしない方向で選ばさせていただこうかと思ってます……いいですよね?
メールの量が増えるのもアレですし、複数でという方はメールの件名に列挙してください。

2009.03.13.
今日はまたやけに冷え込むなーなんて思いながら歩いていたら。
久しぶりに目撃しました。半ズボンの小学生。
もう宇宙とかどんなことになろうといるんじゃないかな。半ズボンの小学生。

2009.03.14.
というわけで数えましたー。ネタの企画。
みんな、Aがいいですとか結局BにしましたとかCが一番ですとかふしだらですね!(言ってみたくて仕方がなかった)
引っ張るのもなんなので結果から申し上げますと。
最も多かったのはA(プレ編の勢揃い)でした。
10日の時点ではそれほど差がなかったんですが、試しに台詞とか出してみたらCが伸びて1位に。
でもそのうちAが増えて、抜かれたらそのまま引き離されちゃいました。
Bにも結構投票いただいたんですが、届かなかったですねー。今日最後の集計ではCを抜いたかと思ったんですが。
まあ、そんな感じでした。
いつものことですが、暖かいご声援までいただきましてありがとうございます。

2009.03.15.
なんだか iTunes は起動するたびに新バージョン更新になってる気がする……
というかわたしの CD 購入頻度が減ってるのか!
昔はよく、お店で目をつぶってテキトーに触ったのを買ってみたりしたものですが。本もですけど。
久しぶりにやってみるかなあ。

2009.03.16.
試しに少し書いてみたら、なんかAとBのネタが混ざってきた時の不定期連載。
「まっ――たく――もう!」
 きつく縛り上げられた手足を引っぱり、うめいて、息を継ぐ。
 何百回繰り返したやらもはや分からないが、こいつはなおもそれを続けていた。疲れ果てて、一度眠ってしまった――と思う――ため、時間の感覚も見失っていたが、窓の外は明るい。
 日の高さから、恐らく昼前くらいではないか。
 問題は、何日目の昼前なのかということだが。自分の衰弱具合から察して、まだ一日以上は経っていないとこいつは考えていたし、そう願った――過ぎていたらアウトだ。船が出てしまっていたら。
「だいたい、何時に出航なのよ!」
 声をあげたところで廃屋には誰もいないのは分かっている。さんざん叫んで助けを呼んだあげくに、理解するしかなかった。少し離れたところで眠っているディープ・ドラゴンも、まったく変わらず眠っているままだ。
 ずきずきとまだ打撲に痛む顔面を床に押しつけ、こいつはいったん力を蓄えるため、小休止することにした。
 無理な体勢で蹲り、痺れた四肢を少しでも楽にしようと転がるのだが、どこをどうしようと必ず身体の下敷きになる箇所がある。わざわざそういう具合に縛っていったのだろうかと疑いたくもなる。苛々と、こいつは思い浮かべた――昨夜のことだ。恐らく昨夜だったと思う。
 殴られて意識を失い、目が覚めた時にはもうこの状態で、夜になっていた。
 ちょうど、あいつがこの部屋から出て行こうとしていた時だった。


2009.03.17.その1
洗濯機を始動した後に、靴下を片一方だけ落としてたのを見つけた時のもの悲しさといったら……時の不定期連載。
 こいつはすっかり混乱していた。そもそもが、大きな疑問から解決しなければならなかった。
「わたし、死んでない……なんで?」
 信じられない思いで、うめく。殴られた箇所はひどい痛みだったし、拘束されて身動きが取れなかったが、死んでもいない。
 そいつが出て行こうとしているのを見て、こいつはさらに声をあげた。
「待って! どこに行くの」
 そいつは足を止め、半分だけ振り向いた。
「決着に」
 そして、付け加える。
「終わったら、もどってきてやってもいい」
「……どう言って欲しいのよ、そんなの」
 皮肉で言っているつもりもないのだろうから、なおさらだった。
 立ち塞がるどころか起き上がるのすら無理だ。呼び止めて時間を稼ぐわけでもなかったが、こいつは無視された疑問をまた口にした。
「どうして、わたし、死んでないの」
「俺の勝手だと言いたいところだが」
 つまらなさそうにそいつはつぶやき、そして、完全に向き直って言い直した。
「どうしてこの一年、あいつの殺害を待っていたのかと言っていたな。それと同じ。敬意だ」
「敬意……?」
「俺にとって、致命的に俺の予測を裏切ったのはふたりだけだ。あいつと、あいつ。お前は三人目だ。いや、お前の場合、致命的とは……違うが。裏切ると確信していたところで裏切らなかった」
 そいつは滔々と、よどみなく語ってみせた。表情には疑念ひとつない。嘘はないのだろう――少なくとも、意図的な嘘は。
 きっと、答えるつもりで用意していた答えなのだろう。質問されることを見越して。
 だが、だからこそこいつは床から見上げて、そいつの嘘を見抜いていた。
「それは敬意じゃない。恐怖よ」
 悲しい思いで、告げる。
「あなたは負ける。もどってこれない」


2009.03.17.その2
さてそんなわけで例の募集のアレですが、多数の応募をいただいたようで、ありがとうございますー。
返信の状況はわたしのほうではまだ分からないのですが、募集のほうは締め切らせていただこうと思います。
どうやら無事、全部のタイトルが集まりそうです。
ちょっと全員に返信というのはできなさげな量だそうで、結果は商品の発送をもって……じゃないか。なんて言うんだろう。依頼の?連絡にて換えさせていただきたく存じます。
ともあれ改めまして、ありがとうございましたー。

2009.03.18.
USBメモリのケースが真っ二つに割れた……時の不定期連載。
 だから――
(自力で解いて抜け出さなくちゃ)
 うんざりしながらも、こいつは足掻きを再開した。
(ここまで来て、こんな終わり方なんて……)
 冗談にもならない。
 後ろ手に縛られているため、どんなもので縛られているのか分からないが、一日中引っ張っても捻っても緩もうとしない。足を縛っているのは汚れた革ひもだ。適当にどこかの家具から引きはがして調達したのだろう。
 どうせ身動きも取れないのだが、多少動けたとしても、部屋の中に使えそうな道具もない。ご丁寧に、剣もどこかに捨てられてしまったようだ。
(どうにか……どうにか)
 切り抜けなければ。
(なにができる?)
 気が急く中、考えを巡らせる。
 起き上がりさえできれば、窓から飛び降りられるかもしれない。外は森の中で、人がいないことは変わりないものの、ここにいるよりは通行人に気づいてもらえる可能性が高い。
 あるいは、手首でも折れば抜けられるんだろうか。後ろ手に縛られた状態で、自分の腕を折るほど力を入れられればの話だが。
 と。
 突然、ファンファーレが鳴り響くのを聞いた。
 近くではない。遠い。市内のどこかだろうが。続いて楽隊の演奏が始まる。陽気な曲だが、こいつは安堵と戦慄を同時に味わった。どう考えても時報や定例のものではない。パレードか、式典か。
 市長の誕生日かなにかだと思うほど呑気にはなれなかった。安堵は無論、式典は開拓団の出発を祝うためのもので、それは――確信はないが――計画とあの人の無事を示している。戦慄は言うまでもない。式典が、船を見送るためのものだからだ。


2009.03.19.
道を歩いていたら、親子連れの子供のほうがお母さんを「おっかあ!」と呼ぶのが聞こえました。
ホント、世の中いくらでも予想外のことが起こるな、と思いました。時の不定期連載。
(急いで……)
 しゃにむに力を込める。それこそ本当に腕でも折れないかと。だが関節すら抜けそうにない。
「どうして――」
 無謀をする腕力が足りないことか、縄抜けをする器用さが足りないことか、あるいはなんでもいいから都合の良い奇跡が足りないことか。次々と呪ってから、こいつは床に額を打ち付けた。なんの役にも立たないが、二度、三度とぶつけて叫ぶ。
「どうにか……!」
 打撲の上に自分で頭突きをしているのだから、痛みはとうに限度を超えていた。だが焦燥が体温と動悸を上げて、苦痛を物ともしない。むしろ痺れるような痛みがあって、ようやく理性をつなぎ止めた。
 打ち付けるたび、頭に閃く。
 叫んでも無意味だ――
 既にもう遅い――
 拘束から抜け出したとして、港まで間に合うか――
 どのみち、どうするつもりか――
 船に乗りたいのか?
 ぴたりと、動きを止める。
 はたと思いついた。一番肝心なことを考えていなかった。船は大陸を出るのだ。
(あの人に会おうとは思っていたけれど……)
 俯せに転がったまま、こいつは目をぱちくりした。面食らったような心地だった。
(ついていくの? いっしょに)
 なんとはなしに、首を逸らす。
 視線を上げた先に、ディープ・ドラゴンの寝床があった。
 黒い獣は同じ体勢で眠っている。自分の頭の外にある出来事など気づいてもいないように。一年が経って、少しずつ身体は大きくなっているとしても。
「そうか」
 こいつはつぶやいて、口の端に苦い塩味を感じた――自覚せず、痛みのせいで泣いていたらしい。
「準備ができてるかどうか、分からなかったのは、これだったんだ」


2009.03.20.
3連休かー、世間的には……時の不定期連載。
 これが分からないままなら、どんなつもりでいようと、自分はこのディープ・ドラゴンの状態と変わらない。
 喉元に刃物でも突き付けられたように、動けなくなる。実際に身動き取れず、助けも期待できず、足掻くための動機すら実は曖昧だった。時間もない。じわじわと思い出す、重苦しいさむけがある。
 いや。
(ここで諦めたら、それこそ前と変わらないじゃんか……)
 図らずも、あの時と同じ街だ。
 いくら頭で考えたって駄目だ――どうせ答えなんて出やしない。考えるふりをするのはあいつの詭弁と同じだ。まずは認めなければ進めない。
(分からないんじゃない。怖いんだ)
 拒絶が怖いだけだ。
 会おうとすれば拒絶されるかもしれないから。
「そうか……」
 また繰り返して、目を見開く。
 ドラゴンは眠り続けている。
 一年間、ずっと一緒にいた。しかし、一度も試さなかったことがあった。
 それをするべきだと、考えれば分かるはずだった――が、怖くてできなかったのだ。
「起きて」
 震える声で、こいつはつぶやいた。
「目を開けて」
 ディープ・ドラゴンに反応はない。


2009.03.21.
鞄に貼ってたステッカーがとうとう完全に剥がれてしまったので新しいのを探し中。
でも SPITFIRE のステッカー気に入ってたし、また同じの貼るかなーとも悩み中。
スケートボードなんて乗ったことないけどね!時の不定期連載。
 まだ足りないのだ。こいつは胸中でつぶやいた。
(なんて呼べばいい……?)
 だが考えるまでもない話だった。
『好きにすりゃあいいだろ。誰に決めろってんだよ』
 憮然とした黒魔術士の声で、脳裏に答えるものがある。
 そうか。
 呼べば良かった。
 呼びたいように呼びかければ良かった――呼ばれるのを待っている相手には、そうするべきだった。
 こいつは名前を呼んだ。
 口に出すだけならただそれだけの言葉だが、その感触は心臓を跳びはねさせた。
 ディープ・ドラゴンの耳がぴくりと動くのを見て、こいつはもう一度囁いた。
「……起きて。わたしの声を聞いて」
 黒い獣が頭を上げる。
 ゆっくりと――と感じるほどゆっくりとではなかっただろうが、その目が開く。黒い瞳が光に触れて、何度か瞬きしてみせた。
 やがて獣はこいつの姿を見つけた。手脚を伸ばして立ち上がる。
 嗚咽しそうになる感情を抑えて、こいつは続けた。
「行こう、わたしと……手伝って欲しいの」
 その言葉が引き起こしたことは、さすがにこいつにも予想外だった。
 最初、そいつが近づいてきたのかと思った――が、そうではない。だが視界に占める黒い部分が急速に大きくなったのは間違いなかった。
「そ」
 こいつは絶句した。言葉にはならなかったが、言いたかったのはこれだった。
 ……そういうもんなの?


2009.03.22.
さてそんなこんなでまた小休止。時の不定期連載。
 廊下を通れそうにないそいつがどうするのか、こいつは一瞬考え込んだが、答えを出すより先に当人が壁と天井をぶち破った。革ひもを噛み切ってもらい、ようやく脱した縛めの痕をさすりながら、こいつも後に続く。
 馬か牛ほどの大きさになったそいつが、屋根の上で待っていた。頭を下げたその姿勢がなにを促しているのかは、なんとなく理解できた。
「えーと」
 黒い毛並みの背にまたがって、首のあたりに手を添える。
「掴んでも痛くない?」
 こいつが訊くより先にそいつが跳躍したため、否応もなく毛を掴むしかなかった。
「うわあああああああ!」
 悲鳴か歓声か自分でも分からなかったが、そんなことは余所において、そいつはアーバンラマの街並みを飛ぶように駆け抜けていく――屋根から屋根へ、軽やかに。かなりの速度だ。向かう先には海が見えた。
 楽隊の演奏はもう聞こえなかった。だが港に向かうにつれ、人出がはっきりしてくる。港湾には市民が詰めかけ、ちょっとした祭りになっているようだ。出店や、パレードの列もある。何人かが、空を跳ねる巨大な獣を見つけて、指さしていた。
 そして船は。
 港で最も巨大な建造物だ。見失うことはない。船はもう桟橋を離れ、海上にあった。
 まだ遠くはない。甲板に立ち並んだ人々が、見送りの市民と手を振り合っている。
(まだだ……)
 追いつく。こいつは歯を食いしばって、そいつの身体にしがみついた。
 そいつが桟橋に降り立つと、集まった人々が騒然とした。悲鳴をあげる者もいる。だがこいつは周りに構わず、船の上を見やった。簡単に顔の判別がつく距離でもないが。そこに会いたい人の姿があることを、こいつは疑わなかった。


2009.03.23.

写真を見ていて、そういえばこの寝姿ってなんかに似てるんだよなーとずっと考えてました。
そうだ。鶏肉だ。
ごめん、猫。
猫といえば、この前飲んだワインのこのラベル気に入っちゃいました。

Vinho Verde っていうポルトガルのワインです。
中身も美味しかったですしね!
これの丸い瓶のやつが欲しい今日この頃。

2009.03.24.

鞄、ステッカーが剥がれてこんな感じだったわけです。
あんまり跡がくっきりだと、別の貼るのを拒否されてる感じなんですよね。なので。

貼ってたのを補充しちゃいました。
SPITFIRE っていうスケートボードのメーカーのステッカーです。
スケボゥなんてもちろん全然知りませんが、なんか好きなんですよね、これ。
夜道で振り返るとこっそり忍び寄ってきてそうじゃないですか。
ともあれ、SPITFIRE って言葉が好きです。プロペラがついた飛行機の中でも一番好きです。最近(今さら?)クロステルマンの『撃墜王』を読んでるのでひとしおです。

2009.03.25.

買っちゃいました。可愛いっしょ。
猫ラベルのワインって結構あるらしくて、それ専門の(?)コレクターもいるみたいですね。
気持ちちょっと分かります。

2009.03.26.その1

ジンガロ行ってきました。
これ、なんて言うんでしょうね。馬サーカス? 乗馬パフォーマンス?
あ、公式には騎馬スペクタクルか。確かにそんな感じなんですが。
動物を使った舞台ってなかなかないですよね。しかも馬。
装置も内容も豪華です。
花嫁衣装の美女が白馬に乗って走ってたりしましたから、間違いありません、豪華です。
でも木場公園遠いです。あらゆる駅から徒歩15分って感じです。歩いてて不安にさせられます。だって橋かかってるんですよ公園に。木場公園大橋だとかなんとか。
公演中、馬上からなにか投げてるなーと思ったら、チョココインでした。2枚獲得。

2009.03.26.その2
で、メールマガジンが始まったそうです。
トップページに登録/解除用のスイッチみたいなのも出来ました。
よくは分からないんですが、これで出来るはずです。
でもコンピュータのすることなんて信じたらいけません。機械は敵です。見つけたら殺せ、それがたとえお前の親でもな!
ていうか出版社のほうから「これをトップページに張ってくれればいいだけですから!」と送られてきた短いソースひとつ満足に張れず、散々すったもんだしたからわたし拗ねてます。
原因はうちの極端に古ーいホームページビルダーのせいだったみたいですが……ていうかいまだホームページビルダーで更新してるわたしがおかしいのか。