看護師等養成所への補助金増額などを要望―日医
日本医師会(唐澤祥人会長)は3月25日の定例記者会見で、厚生労働省に対し「看護職員養成にかかる要望書」を提出したことを明らかにした。要望書では、看護師等養成所への補助金増額や、准看護師・看護師の資格取得への補助を雇用対策として行うことなどを求めている。【関連記事】
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要望書は、医師不足・偏在に対しては医学部定員増の対策が打ち出されているが、看護職員の不足も深刻だと指摘。「厚労省の看護施策は、専門性の高い看護職員の育成に重点を置いているが、量的な確保は喫緊の課題」「離職防止だけではなく養成力の強化も重要」と訴えている。
また、各地の医師会が戦後、看護職員の養成に携わり、地域医療を支えてきたと強調。一方で、看護職員の養成は、看護師等養成所運営費補助金や医師会からの多額の繰入金で「かろうじて成り立っているのが現実」としている。さらに、看護職員の養成に関する規制が厳しく、養成を断念せざるを得ない所も出てきていると指摘している。
具体的には、(1)看護師等養成所運営費補助金の増額及び早期交付(2)入学時の定員の緩和(3)母性・小児看護学実習の柔軟な対応(4)看護教員養成講習会の通信教育の再開等(5)看護師等養成所校舎の耐震改修費補助(6)雇用調整者が准看護師・看護師資格を取得するための支援―の6項目を要望している。
羽生田俊常任理事は会見で、(1)について、「医師会立の養成所では、補助金が運営で大きな比率を占めている」と指摘。国からの補助金は減っていないが、都道府県からの補助金は減っており、「各看護学校の運営状況が、最近は特に厳しい」として、国の補助金増額を求めたと述べた。また、補助金が現在は「年度の終わりの方」に交付されるため、早期の交付を求めたところ、「従来よりも早くしてもらえるとの回答があった」とした。
(2)については、医師会立の養成所では入学後、家庭や経済的な事情、適性の問題などが原因で、「かなりの学校で中途退学者が多く出ている」と説明。定員より10%程度多く受け入れても、卒業時には定員を割るのが現状であり、また定員の110%を超える生徒がいた場合、厚労省からの指導が入るとして、定員超過についての規制緩和を求めたとした。
(3)では、少子化で母性・小児看護の対象となる妊産婦・小児が減るとともに、産科を閉鎖する医療機関が増えているため、実習施設の確保が難しくなっていると指摘。特に男子学生の実習の受け入れが難しいとした。その上で、母性・小児看護学実習について、ビデオやITなどを活用した学習を認めるよう求めたとした。
また(6)に関して、派遣切りなどで雇用が不安定になる中、介護人材を確保するため、資格取得の補助金を出すなどの対策が取られているが、「介護のみならず、看護の分野でも人材不足が深刻だ」として、准看護師・看護師資格を取得するための支援をするよう要望したと述べた。
更新:2009/03/25 21:27 キャリアブレイン
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