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2008年12月26日
0斉藤守彦の特殊映像ラボラトリー ][ 第3回2008年特殊映像総決算! ]
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「特殊映像ラボラトリー」

第3回 2008年特殊映像総決算!(3)
【2008年の邦画特撮映画】

斉藤守彦

 特撮映画…とはいうものの、昨今ではCGやVFX技術の進歩によって、一般映画にも特撮技術やその応用が使われることも多く、果たして「特撮映画」とはどのような作品を指すのか、判然としづらい。故にここでは「特撮技術をセールスポイントにした作品」と定義したい。
 
[未だ根強い、「仮面ライダー電王」の人気] 

 なんといっても2008年の特撮映画は、東映の「仮面ライダー」シリーズの好稼働ぶりがエポックだ。2007年夏に公開された「劇場版仮面ライダー電王/俺、誕生!」が、興行収入13億円と、平成ライダー・シリーズの劇場版としては、2003年の「仮面ライダー555/パラダイス・ロスト」の15億円、2002年の「仮面ライダー龍騎/EPISODE FINAL」の14.3億円に次ぐ歴代3位の成績であったことから、「電王」の人気の高さは証明されていた。TVシリーズは2008年1月で終了したものの、さらなるビジネス・チャンスを狙った東映ビデオは、OVとして「仮面ライダー電王&キバ/クライマックス刑事」を、金田治監督で製作。当初この作品が、東映系の4月番組として公開されるはずだったが、東映の子会社T・ジョイが配給権を持つ「モンゴル」が、浅野忠信のオスカー・ノミネートという話題性から採用されてしまい、「仮面ライダー電王&キバ」は、中規模マーケットである東映αチェーンでの上映となった。
 全国136スクリーンでの上映ながら、「仮面ライダー電王&キバ」はオープニングから多くの観客を集め、週末の興行ランキングのトップに輝くヒットとり、最初の1週間で原価を回収。最終的に興収7.4億円をあげるという快挙をなしとげた。8月公開の「仮面ライダーキバ/魔界城の王」「炎神戦隊ゴーオンジャー」は、興収9億円と前年を4億円下回ったが、10月に再度登場した「さらば仮面ライダー電王」が、これまた中規模マーケットでの展開にもかかわらず興収7.2億円を見込む好稼働ぶりで、変わらぬ電王人気を印象づけた。2008年の東映は、3つの「仮面ライダー」番組で、計23.6億円を稼いだことになる。

●「さらば仮面ライダー電王」(2008年10月公開)=7.2億円(見込み)
●「劇場版仮面ライダーキバ/魔界城の王」「炎神戦隊ゴーオンジャー/BunBun!BanBan!劇場BANG!!」(2008年8月公開)=9億円
●「仮面ライダー電王&キバ/クライマックス刑事」(2008年4月公開)=7.4億円

[明暗を分けた 「大決戦!超ウルトラ8兄弟」と「ギララの逆襲」]

 「仮面ライダー」シリーズの宿命的ライバルといえば、「ウルトラマン」シリーズだが、予想を上回るヒットとなった2006年の「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」に続いて、昭和と平成のウルトラマン及び出演者たちが共演する「大決戦!超ウルトラ8兄弟」が、松竹の配給により9月13日から公開された。

●「大決戦!超ウルトラ8兄弟」(2008年9月公開)=8.4億円
●「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」(2006年9月公開)=6.055億円
●「ULTRAMAN」(2004年12月公開)=1.5億円

 結果的にウルトラマン映画の興行収入新記録を樹立した「大決戦!超ウルトラ8兄弟」だが、これは前述した観客の保守性が大きく作用していると言っていい。ウルトラマンたちの共演はもとより、今回はV6長野博の出演が大きな話題となり、ファミリー層、ウルトラマンティガ・ファンの動員に拍車をかけた。なおウルトラマンダイナに変身するアスカ・シンを演じたつるの剛士は映画公開時、歌唱ユニット・羞恥心でブレイクし集客に貢献したが、撮影時にはまだ羞恥心は始動しておらず、思わぬサプライズとなった形だ。
 
 松竹を幹事会社とする製作委員会が製作し、トルネード・フィルムが配給した、河崎実監督の「ギララの逆襲/洞爺湖サミット危機一発」は、当初の予定を繰り上げて7月26日から公開されたが、興行的には奮わなかった(→「特殊映像ラボラトリー・2/河崎実監督ロング・インタヴュー」参照)。
 これも松竹が製作・配給した「ゲゲケの鬼太郎/千年呪い歌」は、前作の興収23.45億円を大きく下回る14億円にとどまった。前作の明るいトーンとは逆に、ダークでアダルトな雰囲気を強調した作品にしたことで、ファミリー層を遠ざけたことが原因と思われる。
 「猟奇的な彼女」などで知られるクァク・ジョエンが監督した、ギャガ・コミュニケーションズ配給「僕の彼女はサイボーグ」は、5月31日から公開され、興収7億円をものにした。主演は今年出演作が立て続けに公開された綾瀬はるかだが、彼女が演じたサイボーグ(アンドロイドだと思うのだが…)のキュートさは、今年の特撮映画界での収穫のひとつだと、個人的に言い切らせてもらおう。

 単館及び小規模公開作品では、小中和哉監督が“和製「ある日どこかで」”を目指した、秀逸なファンタジー「東京少女」、アメリカ資本による「片腕マシンガール」「東京残酷警察」などが登場。また「小さき勇者たち」で特技監督を務めた金子功が監督した「THE MASKED GIRL/女子高生は改造人間」は、「『仮面ライダー』の第1話を、女子高生主演で、まんまリメイクした」(監督談)という、特撮オマージュにあふれた作品だ。

【2008年の洋画アニメ&特撮映画】 に続く

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posted by animeanime at 2008.12.26
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