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» 2009年03月13日 07時00分 UPDATE
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開成や灘などの“名門”がグラリ――東大合格者2ケタ減の理由 (1/2)

東京大学の高校別合格者数が明らかになった。昨年185人の東大合格者を送り出した開成高校だが、今年は56人減の129人。同じ名門私立中高一貫校の中には合格者数を伸ばした学校もあり、明暗を分ける結果となった。

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 東京大学の高校別合格者数(前期日程、速報)が12日までに明らかになった。今年最大の話題は東大受験の超名門、開成高校の合格者数が昨年より56人も激減したこと。同じ首都圏の名門私立中高一貫校の中には順調に合格者数を伸ばした学校もあり、明暗を分けた。その背景には“ゆとり教育”の弊害があるようだ。

開成の座がグラリ

 1982年から28年連続で東大合格者数トップを維持している開成の座がグラリと揺れた。詳しいランキングは12日発売の「サンデー毎日」などの週刊誌も詳報しているが、ベスト30に入った首都圏、関西圏の名門中高一貫校の中では灘、海城、桐朋も2ケタ減となった。いずれの高校にも共通するのは2002年度に本格スタートした「新課程」(ゆとり教育)を受け、高校からも生徒を募集し始めたという点。1学年400人の開成の場合、高校からの“途中入校組”は100人に上る。

 合格者数を集計した「大学通信」のゼネラルマネージャー、安田賢治氏は、「以前から進学塾関係者の間では、新課程で高校から入学した生徒たちの学力低下が問題になっていた。中学からみっちり鍛えられている生徒と、中学での勉強が不十分なまま高校に入った生徒の差は大きい」と語る。

 同じ首都圏の中高一貫校でも中学受験でしか入れない桜蔭(4位)、栄光学園(5位)が、いずれも2ケタ台で合格者を増やしたことからも、その差は歴然。安田氏は「今年の現役は、“ゆとり二期生”にあたる。中学時代の勉強不足がボディーブローのようにじわじわときているようだ」と分析。優秀な子供が中学から私立に流れてしまうのは、かつて東大合格トップを誇った日比谷や西など名門都立が伸び悩む一因でもあるという。

 一方、ラ・サールや久留米大附設など地方の伝統校、大分上野丘や札幌南などの公立校が数を伸ばしているのも目を引く。地方における東大志向の高まりはここ数年顕著だが、その理由のひとつに東大が05年から行っている地方での学校説明会があるという。

 「東大が自ら出向き、垣根を低くすることで地方の優秀な受験生を獲得しようという戦略が奏功した。これまで、東京の中高一貫校にはかなわないと思っていたが、いざ挑戦してみたら受かったという身近な先輩を見て後輩たちも自信を深めている。ずっと地元にいるなら九州大や東北大などかつての帝大でもいいが、世界で活躍したいとなるとやっぱり東大。そういう志向が受験生に広がっている」(安田氏)

 ソフトバンクの孫正義社長や堀江貴文元ライブドア社長らを輩出した久留米大付設の白水孝典進路指導部長も「保護者は安定志向で子供を医学部などに入れたがるが、生徒たちは関東に目が向いており、東大志向が強い。東大に行って『何かやってやるんだ』というモチベーションの高さを感じます」と話す。

yd_tokoy.jpg 今年も地方の高校生が多く胴上げされた東大の合格発表=10日、東京都文京区本郷の東大構内
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