激しく燃え上がる坊ガツルの野焼き=昨年4月
由布市湯布院町塚原で四人が死亡した野焼き事故を受け、竹田市は「火入れ条例」の順守を強化する考えを示した。一方で、景観保護などのために毎年野焼きを実施している坊ガツル野焼き実行委員会(弘蔵岳久会長)は「条例を守れば野焼きは存続できない」と反発。波紋が広がっている。
竹田市の条例では、乾燥注意報が出れば、火入れは禁止。同市は「心苦しいが人命尊重の観点から、注意報が出れば野焼きを許可することはできない」と、二十八日に野焼きを予定していた実行委員会に法令順守の徹底を伝えた。
これに対して実行委員会は「今の時季は晴れれば乾燥注意報が出る。実質『野焼きをするな』と言われたに等しい」と不満を示す。二十四日夕、臨時の役員会を開き、注意報発令時でも、これまでの実績を踏まえ、実施の判断は地形や状況を熟知した現場に任せるよう、市に条例の改正を求めていくことにした。
市と話し合いができていないことから、実施予定日を四月四日に延期することにした。「野焼きを途絶えさせることはできない」とし、ことしは法令を順守した上で、小規模に日を分けてでも実施する方針を打ち出した。
また、乾燥注意報の基準についても矛盾を指摘。大分地方気象台によると、湿度は大分市での観測がそのまま全県統一のデータとなっている。「大分市と地形も標高も違い、雨も多いのに一緒だなんて納得できない」と話した。
弘蔵会長は、熟練した経験者で組織し、最大で幅四十メートルの防火帯確保や延焼防止のジェットシューター(携帯型消火器)約六十台を準備するなど、これまで安全第一に実施してきたことを強調。「条例改正に結びつくよう、モデルケースとなるような野焼きを実施したい」と話している。
【ポイント】坊ガツル
くじゅう連山の中心にあり、ラムサール条約にも登録されている湿原。古くからの伝統だった野焼きが途絶え、原野化していた湿原に高山植物を呼び戻そうと、2000年、実行委員会が32年ぶりに野焼きを復活させた。
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