■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 2003/8/20 No.197 週刊メールジャーナル 読者数11392人(前回) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ●世論調査は怪しい? 時代錯誤の「自民党政治」は持たない (会員制経済情報誌『現代産業情報』8月15日号より転載) 日本の政治家の中国詣でが止まらない。福田官房長官が首相名代として訪中 し、小泉首相訪中の地ならしをしたかと思えば、中国の李外相の来日を小泉首 相はもろ手を挙げて歓待する。 歴史認識問題や靖国参拝問題をそろりそろりと脇に追いやり、「未来志向の 日中関係」などと美辞麗句を並べ立てても、日本の対中戦略を構築できるわけ がない。 日本国内での在日中国人の犯罪に目をつむり、対中外交を小泉内閣の基盤を 強固にする道具にしてはならない。 福田官房長官らが訪中するより、中国の政治家多数を日本に招き、新宿・歌 舞伎町を視察させることから始めるべきだろう。現実を直視してこそ、価値の ある戦略を構築できるというものだ。 そんな基本的政治姿勢がわからない日本の政治家だから、中国だけでなく、 欧米からも馬鹿にされるのだ。 その典型の政治家が亀井静香前政調会長である。彼が訪米した際、米国政府 関係者はいろいろな機会に亀井氏を試し、「やはり日本のダーティーな部分と 結びついている可能性が高い」と結論づけた。それを証明するパーティーが先 日開かれた。 亀井氏の出版記念パーティーのことだが、銀座の大物ママの人脈に連なる朝 鮮出身女性を挨拶に立たせたのだが、この女史の周辺には日本の闇勢力とも関 係する人物が多く、いかにも亀井氏のパーティーの賓客に相応しい。 そう言えば、この女史の人脈を森喜朗前首相も利用しようとして一時話題に なったことがある。 そんなこともあってか国民から徹底的に嫌悪され、首相退陣に追い込まれた 森氏は、今や小泉首相の後見役を気取って、政局のキーマンなどと持ち上げら れている。 「青木幹雄参院幹事長と森さんが政局の鍵を握っている」と、政治評論家を 自称する永田町芸者たちに囃されると、満面に笑みを浮かべ、日本の政治を語 る。 冗談もほどほどにして欲しい。日本の宰相失格の烙印を押された森氏と、派 閥内及び参院内での勢力維持しか考えないギャンブル大好きの青木氏が、日本 の政治を動かすなどということがあってはならないのだ。 森・青木両氏の個利個略を牽制するかのように動き回る野中広務元幹事長と 古賀誠前幹事長もまた私欲だけの政治家と国民の目には映る。 古賀氏が自分の大物ぶりを誇示するように、小泉対抗馬として同世代の政治 家を自民党総裁に擁立しようとすれば、一方の野中氏は橋本派内の予備選挙を 口にし、時代錯誤の派閥政治から一歩も脱却できない醜悪さを見せつける。 その実、野中氏などは総裁選に名乗りを上げている亀井氏や橋本派中堅を全 て降ろして河野洋平元外相で一本化しようというシナリオも用意しているよう だ。 自民党で首相になれなかった唯一の総裁経験者である河野氏ならば、党中を まとめられ、自分のコントロールが効く人物だと考えているのだろう。これが、 彼の言う「秘策」で、小泉VS河野の総裁選を仕掛けようとしている。 9月20日の総裁選で小泉氏が勝とうが、また一本化できた場合の河野総裁 の誕生となろうが、今のままでは自民党が新民主党に勝てる可能性は高くない。 大手マスコミは盛んに電話調査を繰り返し、与野党伯仲を演出して見せるが、 現実は大きく異なっている公算が強い。 電話調査は固定電話を対象にしているが、減少する一方の固定電話に出る国 民だけを調査しても現実から大きく乖離しているかもしれないのだ。 7000万台に普及した携帯電話利用者をどう把握するのか、マスコミの電 話調査はこの課題を解決していない。 自民党のいわゆる実力者が世間にメッセージを発信すればするほど、自民党 支持者を減らしているという現実が証明される日はそう遠くはない。 【編集後記】 自民党の反小泉派閥が総裁選の候補者絞りをめぐって大混乱している。 本来であれば、(いまさら理想を言っても詮方ないが)「反小泉」を言うな ら「小泉改革のどこを、どう変えるのか」を明確にし、その実行に相応しい人 物を担ぎ上げるべきだが、それが出来ないのが自民党の体質だ。 第1、派閥そのものが政策集団ではなく、利権とカネに繋がる親分・子分の 関係集団なのだから政策で纏まれるはずがない。 したがって派閥自体「反小泉」で固まっているわけではない。当選1、2回 組は“小泉人気”を利用しなければ当選もおぼつかない事情があり、内心は政 策的には「小泉が妥協」か「小泉に妥協」かで纏まって欲しいというのがホン ネだ。 最大派閥の橋本派では、参院の自民党リーダー青木幹雄氏と派閥の実質的ボ ス野中広務氏との軋轢を、派閥の事務総長村岡兼造氏が仲裁しようとして会食 の機会を設けたが、亀裂がかえって深まったといわれる。 名乗りを上げた3人が、政策らしい政策も出せないでいるのは、実力者らか ら「待て」と言われているからだが、政策通の若手らは党の政策づくりプロジ ェクトに引っ張りだされたりして股裂きの格好になっている。 かつては政策集団といわれ第2勢力を誇った加藤派を割って出た堀内派は、 小泉氏の経済政策転換を条件に小泉支持を打ち出していたが、小泉氏が事実上 拒否したことから、堀内光雄会長を担ぎ出すべく急遽経済政策のとりまとめを 始めた。 しかし経済官僚などを呼び込んでの勉強会を開いたものの、デフレ対策など では難航しているといわれる。 堀内派のボス古賀誠氏はもともと構造改革に批判的だ。「マニフェストと言 っても要するに“公約”だろ」と、昔ながらの(選挙対策だけの)公約論を言 って憚らない江藤・亀井派の江藤隆美会長(引退を表明)と同じ発想で、派閥 利権に予算のばら撒き容認派だ。 本誌今号では、河野洋平氏担ぎ出し論を紹介したが、高村正彦氏や平沼赳夫 氏担ぎ出し論もまことしやかに伝えられる。 要するに、政策論はそっちのけで、「反小泉」の多数派を形成する主導権を 握るための派閥間、実力者間の駆け引きが続いているに過ぎないのだ。 亀井静香氏の行動は、それがハッキリするまでの時間繋ぎの当て馬に過ぎな い、という見方が当たっているようだ。 これだから、「マニフェストなんか自民党には出来っこない」と本誌は指摘 したのである。 ___________________________________ このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発 行しています。( http://www.mag2.com/ ) 配信を希望または中止されたい 方はこちらでどうぞ。 http://www.mail-journal.com/touroku.htm ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 週刊メールジャーナル 2003年8月20日 第197号(水曜日発行) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社 〒130-0026 東京都墨田区両国2-1-4 第2西村ビル303 ホームhttp://www.mail-journal.com/ メールadmin@mail-journal.com 転載・再配布等には事前にメールジャーナル社に許可をお取り下さい。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ |