2009年3月25日 10時11分 更新:3月25日 13時10分
秋田県藤里町で06年に起きた連続児童殺害事件で殺人と死体遺棄罪に問われ、1審・秋田地裁で無期懲役の判決を受けた畠山鈴香被告(36)の控訴審が25日、仙台高裁秋田支部で開かれた。竹花俊徳裁判長は、1審判決を支持し控訴を棄却した。また、1審同様、畠山被告の長女彩香ちゃん(当時9歳)に対する殺意を認定した。
事件は06年4月9日、彩香ちゃんが橋から落とされて殺害されたほか、翌5月に畠山被告方の2軒隣に住む米山豪憲君(当時7歳)が絞殺され、同県能代市内の米代川沿いの草むらで遺体が発見された。弁護側は彩香ちゃん事件について「事故であり、殺意はなかった」と改めて過失致死罪の適用を求めていた。
1審判決は、畠山被告が橋の上で彩香ちゃんをとっさに突き落としたと認定。豪憲君については、自宅に招き入れた際、元気な姿への嫉妬(しっと)心などから殺害を決意したと判断したが、いずれも計画性はなかったとした。検察、弁護側がともに量刑不当などとして控訴していた。
畠山被告は1審で、彩香ちゃんへの殺意を否定する一方、豪憲君殺害を認めたが、控訴審で豪憲君殺害について「自分がやった認識はある」としながら「事件当時のことは思い出せない」と供述。両事件の時の記憶を失っており、豪憲君殺害の動機も分からないと内容を後退させた。
弁護側は「健忘は、防衛機制が働いて事件の記憶が押し込まれた結果」と主張。これに対し検察側は「記憶を失ったとしている主張は信じがたい。豪憲君の遺族感情も考えれば死刑判決以外は考えられない」と主張していた。【野原寛史】