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きょうのコラム「時鐘」 2009年3月25日
なるほど筋書きのないドラマである。韓国を破って連覇を達成した野球のWBCは、緊迫した戦いだった
ドラマの千両役者はイチロー選手。山あり谷ありでなく、「谷しかなかった。最後に山に登った」という言葉がいい。敗者復活のややこしい迷路をくぐり抜けて手にした喜びである WBCはシーズンの前哨戦。連覇達成で、低迷する野球人気のばん回を期待する声がある。そうなると結構なのだが、シーズンではまず見られない一流選手の気迫や闘志が、存分に見られたWBCだった。肝心の食事の前に、おいしいデザートを堪能してしまったような気がする 公設秘書の起訴が決まり、小沢一郎代表にも注目が集まった日だった。寝耳に水の秘書逮捕で、イチロー選手の言葉を借りれば、小沢代表は「谷」からの続投である。対する麻生政権も不人気の谷を歩み続けており、早晩、互いに谷から山を争う戦いとなる もっとも肝心の大一番の前に、政治とカネという毒まんじゅうを見せつけられた。筋書きのないドラマに酔った後だけに、代わり映えしそうにない政治ドラマのお粗末さが際立つ。 |