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JFEテクノリサーチ、衝撃エネルギの吸収性に優れた軽量中空鉄球を開発

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2009/03/24 19:32
浜田 基彦=日経Automotive Technology
図1 TEC-BALLとその断面
図1 TEC-BALLとその断面
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 JFEテクノリサーチは、衝撃エネルギの吸収特性に優れた軽量中空鉄球「TEC-BALL」を開発した(図1)。直径3〜4mmで肉厚が70〜100μm、見かけの密度が0.8〜0.9g/cm3という水に浮くほど軽い鉄球で、衝撃エネルギの吸収性や断熱性、防振性に優れている。自動車用の衝撃エネルギ吸収材(バンパ周り、センターピラーなど)や、エレクトニクス関連装置の防振材(半導体製造装置、顕微鏡など)に向けて実用化を進めており、今後、各種産業分野への適用も進めていく。

 TEC-BALLは、製鉄プロセスから発生する酸化鉄を主原料に成分を調整し、還元・焼結して製造する。主原料に酸化鉄を使っていることから、安価に量産できる。また、空隙部分が大きいにもかかわらず、単球の圧縮強度は150〜250Nと大きな値を得ることができる。先行して商品化が進む発泡アルミニウム合金と比べて、空隙サイズの均一化、圧縮強度に優れ、コストも安いことから広い適用範囲が見込まれている。

 また、TEC-BALLは球形で流動性が高く、複雑な形状の隙間に充填して使える。さらに、型を用いて樹脂接着剤やろう付け、焼結などによって中空鉄球同士を接合することで、より大きな衝撃エネルギ吸収性を確保できる(図2)。型をつけたまま使うほか、型をはずして任意な形状を持つ十分な強度の接合体としても使える。金属めっきしたTEC-BALLを加熱して接合体とし、接合体の見かけ密度0.6g/cm3で、圧縮時応力12MPaという数字も実現している(図3)。

 TEC-BALLと、その接合体は空隙率が大きく、その結果熱伝導率が小さく、防振に有利という特徴も持つ(図4)。この特徴を生かせばエレクトロニクス関連装置の防振材にも使える。

図2 TEC-BALLとその接合体、右は型をつけたままの状態
図2 TEC-BALLとその接合体、右は型をつけたままの状態
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図3 TEC-BALL接合体の圧縮特性
図3 TEC-BALL接合体の圧縮特性
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図4 ステンレス鋼板にTEC-BALLを挟んだパネルと、通常の鋼板の振動減衰特性
図4 ステンレス鋼板にTEC-BALLを挟んだパネルと、通常の鋼板の振動減衰特性
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