県が今年度内の導入を目指してきたドクターヘリが25日から運航を開始する。暫定配備先の八戸市立市民病院から出動する専用ヘリが、重傷・重篤患者らに初期治療を施し、短時間で医療機関に搬送できるといったメリットがあり、救命率の向上が期待されている。同病院は同日午前8時半から要請に対応する。
 ヘリは通常300―500メートル上空を時速200キロで運航。現場まで直線飛行できると想定した場合、八戸市から約140キロ離れた深浦町までの飛行時間は約45分。約120キロ離れた中泊町小泊地区は約40分で、弘前や五所川原両市の中心部(いずれも八戸市から90キロ前後)には25分前後で到着する。実際には地形や気象状況により、飛行時間は延長・短縮する。
 運航業務は中日本航空(本社・愛知県豊山町)に委託。出動時は操縦士のほか医師、看護師らが搭乗する。
 出動要請は現場で救急隊員が必要と判断した際、同病院に対して行う。ヘリは現場にほど近い臨時の離着陸場で救急車から患者を引き受け、主要な救急病院に搬送する。
 有視界飛行を基本とし、運航時間帯は午前8時半から午後5時(日没前)まで。
 24日は青森市内で県ドクターヘリ運航調整委員会が発足。初会合では医療、消防関係者らが相互の連携や、事後検証部会で搬送例を定期的に検証することなどを確認した。
 一方、青森市の県立中央病院では2009年度にヘリポートを整備、10年度中には救命救急センターを新築する方針で、それに伴いヘリは県病に移管される。
 また10年7月には弘前大学医学部付属病院に高度救命救急センターが整備される予定でヘリは弘前、青森、八戸の救命救急医療拠点三カ所を結ぶ役割も担う。