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【長野】

「複数の要因が作用」 田川高生自殺で調査委が最終報告

2009年3月18日

田川高校の生徒が自殺した問題で調査結果を報告する委員=塩尻市の塩尻総合文化センターで

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 塩尻市の県立田川高校2年の男子生徒=当時(17)=が昨年3月、教室で自殺した問題で、同校が設けた調査委員会(委員長・小林正信虹の村診療所長)は17日、最終報告をまとめ、発表した。補習課題の達成が困難で進級できないと考えたことや、女子生徒との友人関係に悩んだことなど、自殺は「複数の要因が作用した結果」と結論づけた。

 また、1年時に男子生徒が携帯サイトの掲示板で嫌がらせのような書き込みをされ、心理的な衝撃を受けて一時不登校になったが、自殺との「直接的因果関係は見いだせなかった」とした。

 調査委は医師や弁護士、臨床心理士、田川高校の唐沢敏校長ら8人で構成。男子生徒のメモやブログへの書き込み、遺族らへの聞き取りを基に、いじめの有無や自殺前後の状況などを調べた。

 報告書では、自殺に直接結び付く複合諸要因の背景に、抑うつ気分があったとも指摘。携帯サイトの書き込み問題以後、「抑うつ性気分障害」に陥り「閉塞(へいそく)的な状況の中で追い詰められた」とした。

 一方で、補習の指導のあり方、携帯サイト書き込みへの対応、継続的なメンタルケア体制、教師間の連携など、学校側の対応も検証し、「(学校側の)認識や対応が必ずしも十分とは言えなかった」と指摘。

 同様の事件防止のため、教職員の情報交換を密にする▽ケアが必要な生徒の把握と適切な指導・対応ができる校内体制の充実▽心理的支援をするピアカウンセリング教育の実施−などを提言した。

 唐沢校長は「もっと生徒一人一人に関心と注意を向ける姿勢が必要だった」と述べた。また、生徒が自殺した日の記者会見で、校長が「これまで大きなトラブルは聞いていない」と述べたことに対し、遺族から1年時の携帯サイトの書き込み問題が欠落しているとの疑念が示されたことを明らかにし、「情報が十分に把握できていないまま伝えたことで、ご遺族の心情を深く傷つけた」と謝罪した。

 

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