「国名を変えてほしい」。グルジアのワシャゼ外相が今月十日、中曽根弘文外相と都内で会談した際、「グルジア」はロシア語の読み方だとして不快感を示し、見直しを強く求めたという。
旧ソ連の指導者スターリンの出身地として知られるグルジアだが、二〇〇三年の「バラ革命」と呼ばれる民主化運動で親欧米路線を強めた。ロシアとの対立は深まり、昨年八月には武力衝突を起こした。呼称変更を求める背景には、強い反露感情があるようだ。
グルジアのアルファベット表記は「GEORGIA」。英語読みでは「ジョージア」となる。米国に同じ州があり、混同されかねない。米映画にもなった名作「風と共に去りぬ」の舞台である。
一方、グルジア語では「サカルトベロ」と呼ぶそうだ。ただ、これも元の呼称と違いすぎてわかりにくいといった指摘があり、外務省は苦慮している。
国名の変更で知られるのはビルマだ。ちょうど二十年前、クーデターで政権を掌握した軍事政権が国名の英語表記を変更したことから、日本語の呼称もミャンマーとなった。大きな政変を経て、自ら国名を変えた例だ。
グルジアのケースは、日本での読み方の変更にすぎないのかもしれない。それでも、ロシアと米国という大国の間で揺れる厳しい国情を映し出している。