「訪問看護10ヵ年戦略」を発表―訪問看護推進連携会議
日本看護協会と日本訪問看護振興財団、全国訪問看護事業協会の3団体で構成する訪問看護推進連携会議は3月20日、東京都内で「在宅ケアの最前線!〜明日の在宅ケアを考えよう〜」をテーマにフォーラムを開き、「訪問看護10ヵ年戦略」を発表した。訪問看護ステーションのネットワーク化による業務の効率化や、訪問看護師の育成・確保などを行うとしている。
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「10ヵ年戦略」は、今後、75歳以上の高齢者や高齢夫婦世帯、高齢者単身世帯の増加が見込まれるとした上で、「家族介護のみを当てにしない『独居モデル』の確立が求められる」と指摘。また、認知症やがん患者の増加、在宅での看取りの重要性の高まりに伴い、医療と介護の両方を必要とする高齢者が増え、「訪問看護のニーズが大幅に増加することが見込まれる」としている。その上で、「国民が最期まで安心して療養生活を送れるよう、他機関・多職種と連携し、24時間365日にわたり療養生活と在宅看取りの支援を行う」ことを“ミッション”として掲げている。また具体的な取り組みとして、訪問看護の利用促進や訪問看護ステーションのネットワーク化、訪問看護師の育成など、6項目から成る“アクションプラン”を設定している。
“アクションプラン”によると、3団体は訪問看護についての問い合わせ窓口を設置し、相談への対応や情報提供を行うほか、医療機関や地域包括支援センターなどとのネットワークを強化し、訪問看護の利用を促進する。さらに、看護職員による居宅療養管理指導の普及を進め、在宅療養者の訪問看護の利用拡大を図る。
また、訪問看護ステーションは小規模事業所が多く、周辺業務に対応する職員が不足しているため、「広域対応訪問看護ネットワークセンター」を地域ブロックごとに設置し、レセプト作成などの請求業務や、利用者や医療機関からの問い合わせ対応、医療材料の効率的な供給システムの整備などを行うとしている。さらにセンターでは、地域の訪問看護ステーションなどとの連携を強化し、夜間帯の訪問分担や専門領域による訪問分担などを行うという。また、在宅ターミナルに対応可能な医師との連携強化や、薬剤師との協力による服薬管理の徹底、医療材料などの円滑な供給を進める。
訪問看護師の確保については、「訪問看護ステーションの廃止・休止の理由として、『訪問看護師不足』を挙げる事業所が多く、訪問看護師の安定的な確保が重要な課題となっている」とした上で、新卒の看護師や再就職者を積極的に採用するため、訪問看護ステーションの受け入れ体制を整備するとしている。また、訪問看護師に必要な基礎的能力を明らかにし、これらの能力を網羅的かつ効果的に習得できる研修を実施するとしている。さらに、訪問看護に関連する認定看護師や専門看護師を10年間で1万人養成することを目標に、都道府県看護協会や看護大学へ養成機関の設置を働き掛けるという。
このほか、訪問看護ステーションと療養通所介護の併設推進や、特養や有料老人ホーム、グループホームなど多様な居住の場への訪問看護の拡大など、訪問看護ステーションの多機能化・複合化により、事業の安定化を図るとしている。訪問看護ステーションの安定的な24時間営業に向けた支援事業や、サテライト事業所の設置も進める。また、潜在ニーズも含めた訪問看護の需要予測方法を確立するとしている。
更新:2009/03/23 21:26 キャリアブレイン
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