全国の方言研究者で組織する医療・看護・福祉と「方言」研究グループ(岩城裕之代表)が医療や福祉関係の分野で利用できる方言データベースを開発した。23日に弘前学院大学で開かれた研究報告会で紹介され、関係者や市民ら約40人が理解を深めた。本県でも若い世代での共通語化が進み、津軽で育った人も津軽弁が分からないという現状を抱えており、データベースが円滑な対応に役立つと期待される。
 報告会では同研究グループの大分大学の日高貢一郎教授、呉工業高等専門学校の岩城裕之准教授、弘前学院大学の今村かほる准教授が各地の現状と方言例を報告。開発した方言データベースの紹介、方言ビデオ、外国人看護師のビデオインタビューを放映した。
 同グループは2006年度から津軽弁、広島弁など各地の方言集を参考に聞き取り調査を実施。看護師を目指す学生へのアンケートのほか、地元医師からチェックを受け方言データベースを開発。
 データベースでは津軽地方の医療現場でよく聞く「いで(痛い)」「へづね(苦しい)」などの言葉の意味や各地の方言約400語をインターネット上で検索できるほか、一部の単語は発音を聞くこともできる。
 津軽弁を担当した今村准教授は「医療現場では方言を話すより、細かいニュアンスを正しく理解することが求められている」とし、方言データベースについて「県内の医療現場だけでなく津軽弁を話すお年寄りを診察する首都圏の医療機関で働く人、医療現場で働く外国人にも役立つのでは」と話す。
 岩城代表は「データベースに例文や会話集を掲載し、投稿意見も活用したい」などと述べた。
【写真説明】開発した方言データベースについて報告する岩城代表