川口市で昨年11月、乗用車とワゴン車が出合い頭に衝突して親子3人が死亡した事故で、自動車運転過失致死罪などに問われた川口市赤井1、会社役員、芝塚直美被告(34)に対し、さいたま地裁は19日、懲役10年(求刑・懲役11年)を言い渡した。佐藤基裁判官は、「極めて危険で無謀な運転だったことは明らか」と述べた。
判決に先立ち、被害者参加制度に基づき公判に参加した遺族女性が意見陳述し、「なぜ幸せに満ちていた家族がこんな目に遭わなければいけないのか」と涙ながらに語った。その後、検察側が「犯行態様は限りなく危険運転致死罪に近い」と懲役11年を求刑。弁護側は情状酌量を求めた。
判決などによると、芝塚被告は08年11月3日夕、交際相手の男性らと焼酎の水割りを6、7杯飲んだ後、川口市戸塚東でワゴン車を運転、信号待ちの乗用車に追突して逃走。約3分後、一時停止を怠って交差点に進入し、川口市西立野の会社員、佐藤光則さん(当時43歳)の乗用車と出合い頭に衝突し、佐藤さんと同乗の妻、高校1年の長女の3人を死亡させた。佐藤裁判官は、「夫に、他の男性に会ったことがばれることを恐れて追突事故の現場から逃げ、交差点に突入した身勝手な犯行で過失は重大」と述べた。【飼手勇介】
毎日新聞 2009年3月20日 地方版