岡山空港発着の全日空の札幌線が今月末で運休となる。いったん六月から九月まで季節運航で再開した後、路線が休止される予定だ。長年、岡山空港の主要な路線だっただけに、残念だ。
この路線は観光客が主体で、ビジネス路線に比べて採算性はよくないという。だが、各地と札幌を結ぶ路線の中で利用率が特に悪いわけではない。そんな疑問を投げかけると航空会社は、東京・羽田空港での乗り継ぎ方式への転換を強調した。
自転車の車輪を思い浮かべればいい。中心部分のハブから放射状に多くのスポークが出ている状態だ。航空業界で「ハブ・アンド・スポーク」方式と呼ばれる。拠点となる空港に路線を集中し、地方同士は拠点空港で乗り継ぐことになる。
規制緩和が進んだアメリカで顕著になった手法だ。航空会社にとっては運航効率を高められる。利用者にも直行便より利用できる便数が増える利点はある。
実際、四月からの乗り継ぎで岡山―札幌間は、行きが四便、帰りが三便あり、乗り継ぎ割引も設定された。ただし、所要時間は最大で従来の二倍程度かかる。
このところ、地方と地方を結ぶ航空路線が次々廃止されている。背景に、東京一極集中が進むいびつな国土構造があるのも確かだ。札幌線の運休には、割り切れなさが残る。