「もう、お金には振り回されない」

もう、お金には振り回されない

2009年3月24日(火)

子供の教育費は親の責任?

1/3ページ

印刷ページ

 春になると子供の教育費について尋ねられることが多くなります。
 「子供の教育費はいくらを目標にためたらよい?」
 「子供1人を育てるのにいくらかかる?」
 「公立進学コースと私立進学コースでは最大どれだけの差?」

 これらの話を通して「2人目の壁」という言葉の存在を知りました。働きながら子育てをしている女性が2人目の出産を考え始めた時、様々な壁が立ちはだかるというのです。長時間労働の夫には協力を求められず、子育てと仕事の両立に対する不安を前に、「1人だって大変なのにこれ以上無理!」と立ちすくむ女性の姿が浮かび上がります。

教育に対する公的支出はOECD中最低の日本

 実は、2人目の出産を躊躇する大きな理由の1つに「教育費負担の重さ」を挙げる方も大勢いらっしゃいます。FP(フィナンシャル・プランナー)として相談を受ける際にも、「子供の教育費のことを考えると、とても子供は産めない」とか「本当は3人くらい欲しいけど、経済的には1人が限界」といった声が多く聞かれます。

 日本に住んでいると、当たり前のように「子供の教育費は親の責任」と思ってしまいます。でも、先進諸国では教育費は公費で賄われる割合が高く、親の負担は全くないか、あってもわずかというのは珍しくありません。

 たとえば、スウェーデンでは大学の学費は誰もが無料であるばかりでなく、返済不要の教育手当が年間48万円程度支給され、必要に応じて年間最高85万円程度の学生ローンが受けられます。このローンは定年まで借りられます。

 そのため、日本のように高校を卒業してそのまま大学入学というコースだけでなく、一度就職した後に入学するとか、市の成人高校で学習をし直してから入学するコースがあります。私の知人は昨年からスウェーデンの大学に留学していますが、外国人も学費は無料で、生活にかかるお金も少なくて済むので、安心して勉強に励めるそうです。

 ドイツやフランスの大学も学費無料、英国は年間19万円程度かかりますが、4割の学生が学費免除を受けているそうです。米国は47万円くらいですが、奨学金の制度が発達しているようです。日本は国立大学の初年度納入金が82万円程度、私立大学が131万円程度ですから、親の負担の重さは断トツです。しかも金利が低い国の教育ローンは縮小されており、親の所得制限があります。



This week's information



Keyword(クリックするとそのキーワードで記事検索をします)

「ライフ・投資」分野の関連情報


Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
内容は…
この記事は…
0件受付中
トラックバック

著者プロフィール

内藤 眞弓(ないとう・まゆみ)

フィナンシャルプランナー。1956年香川県に生まれ、日本女子大学英文科卒。13年間、生命保険会社での営業を経験した後、独立系のフィナンシャルプランナー集団「生活設計塾クルー」(毎月マネーセミナーを開催)のメンバーに。家計運営に次々と新しい考え方を取り入れ、それぞれの生活スタイルに合った家計運営術をコンサルティングしている。著書に『医療保険は入ってはいけない!』、共著に『新版 生命保険はこうして選びなさい』『年金はこうしてもらいなさい』などがある。

ページトップへNBOトップページへ

記事を探す

  • 全文検索
  • コラム名で探す
  • 記事タイトルで探す

全体

  • 投資・金融
  • アジア・国際
  • 経営
  • 政治・社会
  • 中堅中小
  • ライフ・健康
  • IT・技術

Business Trend

  • ライフ・投資
  • 企業戦略
  • 経営とIT
  • 仕事術

編集部よりお知らせ

  • 日経ビジネスオンラインは2009年1月15日に
    リニューアルしました。 詳細はこちら
  • 全記事の閲覧には会員登録(無料)が必要です。
  • 会員には最新記事をメールでお知らせします。

Business Trend 一覧