北朝鮮が4月4〜8日に発射すると通告した長距離弾道ミサイル(北朝鮮は人工衛星と主張)問題で、政府は23日、ミサイルなどが日本の領土・領海に落下する場合に備え、自衛隊法に基づき初の破壊措置命令を閣議決定をせずに出す方針を固めた。同法82条の2第3項に基づき、事態の急変に備え浜田靖一防衛相があらかじめ期限を定め非公表で迎撃を命令する方法で行う。
政府は週内に河村建夫官房長官、中曽根弘文外相、浜田防衛相による3閣僚会合を開き最終決定する。
政府内では、閣議決定した上で浜田防衛相が自衛隊に命令する方法も検討されたが、その場合、弾道ミサイルなどがわが国に飛来する恐れがあると認められる場合に限られる。
今回のケースでは、「北朝鮮は国際機関に人工衛星打ち上げを通告している。ミサイルが日本に向かって飛んでくるという立場はとれない」(政府高官)との意見が強まった。北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議や拉致問題への影響も考慮し、いたずらに刺激すべきではないとの判断も働いたとみられる。
3項を適用する場合、防衛相が破壊措置命令を出したことは公表されない。しかし、今回は北朝鮮が発射を明言していることから、記者会見などで命令を出したことを事実上認めることを想定している。【坂口裕彦】
◇政府高官「当たるわけがない」
北朝鮮の長距離弾道ミサイルに対し政府がミサイル防衛(MD)による迎撃を検討していることについて、政府高官は23日、「撃ってきたら当たるわけがない」と述べ、迎撃は難しいとの認識を示した。
ミサイルは発射から7〜8分で日本に到達するとされているが、同高官は「見ているしかないのではないか」とも語った。【仙石恭】
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