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着陸失敗のMD11型機、海外でも横転事故…難しい操縦性

3月24日3時11分配信 読売新聞


着陸失敗のMD11型機、海外でも横転事故…難しい操縦性

投光器をあて、作業が続くフェデックス航空80便の墜落事故現場(3月23日午後6時36分、成田空港で)

 強風下での着陸時に何が起きたのか−−。

 成田空港で23日、死者2人を出した米フェデラルエクスプレス(フェデックス)貨物機の炎上事故は、空港周辺に発生していたウインド・シア(気流の乱れ)が事故につながったとの指摘がある一方で、専門家の多くは「事故を起こしたMD11型機は、操縦が難しい機体」と口をそろえる。同型機は、過去に海外で今回の事故と同様、着陸に失敗して横転する事故を起こしており、運輸安全委員会は同型機の操縦特性にも注目して、調査を進める方針。

 事故が起きた23日朝は、成田航空地方気象台が空港周辺でウインド・シアが発生していると注意を呼びかけており、A滑走路(4000メートル)には最大瞬間風速18メートルの強風が吹いていた。

 悪条件下で着陸を試みたフェデックス機は、滑走路に接地後、2度バウンドして横転し、滑走路を外れて裏返しになって炎上。ともに米国人の機長(54)と副操縦士(49)が死亡した。

 同じMD11型機を巡っては、米ニュージャージー州のニューアーク国際空港で1997年7月、フェデックス社の貨物機が着陸に失敗して横転、炎上する事故が起きていた。この事故によるけが人はなかったが、99年には香港国際空港で、中華航空の同型機が着陸に失敗し、3人が死亡する事故が起きている。同型機の操縦経験がある国内航空会社の現役機長は「“玉乗り”と呼ばれるほど、ほかの航空機と比べて安定性が悪い航空機。着陸時の軌道修正も困難だった」と語る。

 この機長によると、同型機の着陸時には、他の航空機よりも速度を出す必要があり、「スピードが出ている分、着陸時の細かい操縦は難しかった」と指摘。航空アナリストの杉浦一機さんも、「性能はいいが、ちょっとした操作で姿勢が大きく変わる。他の機種に比べ、操縦がきき過ぎる傾向がある」と話す。

 23日の事故では、フェデックス機に対し強い向かい風が吹いていたが、風速や風向が急激に変化するウインド・シアによって機体の揚力が変化し、操縦が困難になった可能性が指摘されている。これに加え、同型機の操縦特性が事故に結びついた可能性もある。

 国交省によると、23日は事故機の着陸前の午前6時2分から同46分の間に9便がA滑走路に着陸していたが、いずれも無事着陸し、トラブルはなかった。9機はいずれもMD11型機ではなかった。運輸安全委員会と千葉県警は23日、全焼した機体や現場のA滑走路などを現場検証した。A滑走路の航空灯9灯が破損するなど滑走路上には、機体が激しく接触した跡とみられる無数の傷が残っていた。

 千葉県警は特別捜査班を設置し、業務上過失致死容疑でフェデックス社関係者から事情を聞く方針。

最終更新:3月24日3時11分

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