大阪市西区の広告代理店「新生企業」(現・伸正)が障害者団体の定期刊行物に適用される割引郵便制度を悪用した郵便法違反事件で、東京都内の障害者団体が制度の悪用を認識したうえで、新生企業側から「寄付金」と称したリベートを得ていた疑いのあることが17日、広告関係者への取材で分かった。
大阪地検特捜部もこうした事実を把握し、障害者団体の関与を解明する方針を固めた。
大阪国税局は同日、平成17年3月期からの3年間で約8700万円を脱税した法人税法違反の罪で新生企業社長、宇田敏代(53)と同社元取締役、阿部徹(55)の両容疑者を特捜部に告発。特捜部は18日にも同法と郵便法違反の罪で両容疑者を起訴する。
また、大阪府警は近く、覚せい剤取締法違反容疑で宇田容疑者を再逮捕する方針。
関係者によると、都内の障害者団体は約5年前、新生企業から割引制度の利用を持ち掛けられた。団体は定期刊行物の製作と発送をすべて自ら行い、新生企業からは広告主の紹介を受けていたという。
割引制度を利用すれば、刊行物に企業パンフレットを同封したダイレクトメール(DM)の郵送料が1通8円(通常1通120円)になる場合もあるが、刊行物の発行部数の8割以上が有料購読でなければならない。ところが、この団体は広告主の無料顧客にすべて発送しており、制度対象外であることを認識。新生企業から1通当たり少なくとも50銭以上のリベートを得ていたという。
さらに、自ら広告代理店に“営業活動”に回り、割引制度を紹介していた。ある広告代理店は「『私たちならDMを安く送れます』と売り込んできた。『問題はない』というので信じてしまった」と話す。
団体幹部は産経新聞の取材に対し「違法性の認識は全くなかった」と話している。
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