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2009年03月20日(金)

【読書録】 サルでもできる弁護士業

どの分野でもマニュアル化が進んでいるのですな。

色んな分野が少ない人で回せるようになれば、あまった人で新たな分野をつくる。

もっと多様な働き方、生き方、自由へとつながればいいな、と思います。


この国が法治国家など笑止千万、それをいうなら立派な放置国家だと私は言いたい。 9頁


以下に弁護士の4つの役割をあげてみよう。

1 法律についての知識を人々に教え、伝える

2 人々から個別に相談を受け、紛争の発生を予防する

3 紛争が発生した場合に、解決にあたる

4 国民の立場に立った法を創造する

21頁


ところで、弁護士が一年間に処理する事件の数はどれくらいだと皆さんは思うだろう?

じつは、たったの三〇〜四〇件なのだ。月に三件弱という、何ともお寒いかぎりの実態ではないか。弁護士の処理能力や生産性に関しては後に詳述するが、とにかく弁護士が二万人いようが三万人に増えようが、この状態ではとても国民の法的なニーズに対応することなど不可能である。 23頁


ただし、法案をつくり、法律を制定するとなれば、当然法律知識が必要である。欧米などは、じつに政治家に弁護士出身者が多いのだが、それも当然のことであろう。ヒラリーもオバマももとは弁護士であるが、もちろん他にもたくさん弁護士が政治家になっている。 24頁


弁護士の料金を比較できる「弁護士.com」のようなサイトがある 32頁


このような組織のなかでは、当然、競争という概念は生まれない。事実、これまで長い間、弁護士会は広告規制や報酬規程で弁護士の競争を排除してきたのだ。皆同じように年間三〇〜四〇件ほどの仕事をこなし、報酬料は二千〜三千万でほぼ同じ。相談料も三十分五千円で統一されている。すべてが横並びでお手々つないで仲よく……、というのが弁護士会の方針であり、弁護士たちであった。 36頁


弁護士こそは在野精神をもち、一般の人たちとともにその悩みや苦しみ、問題に向かっていかねばならない。そこには当然洗練された社会常識、良識が必要とされるであろうし、時にはドロドロとした人間や社会の実相をありのままに受け止めることができるような、懐の深さも必要なのだ。 42頁


冷戦が終結して二十年近く。もはや共産主義イデオロギーは終焉したといってよいなかで、いまだにその幻影を引きずっているのが日本共産党であり、その支配下にある日弁連と弁護士会なのだ。 46頁


そして六十年前にできたこの法律が、さまざまな形で弁護士を縛りつけてきたのである。なかでも、弁護士法の第七十二条はその最たるものだろう。

第七十二条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)

「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない」

簡単にいうと、弁護士の資格をもたない者が報酬を得ることを目的として法律事務を取り扱い、それを継続的な業とすることを禁止したものである。

つまり、ここからは、二つの事柄がいえる。ひとつは、裁判業務にかぎらず、法律相談、調査、鑑定、契約書の作成、交渉、法律文書の作成など、およそ法律に関することはなんでも弁護士だけしか取り扱ってはいけないということ。二つめは、弁護士が具体的法律業務を処理するにあたって、弁護士以外のスタッフや専門家に任せてはいけない、極端にいうと、聞き取りも調査も、文書作成の補助も含め、一切他人に任せてはいけないということだ。 56頁


この二つの経路以外にも、一般の方にはあまり縁がないだろうが、やや特殊な経路として、最高裁判所の裁判官の職に就いていた者は弁護士の資格をもつことを認められている。また、司法試験合格後に国会議員、内閣法制局参事官、大学や大学院の法律学の教授や准教授を五年以上経験した者、あるいは司法試験合格後に公務員や民間人として立法作業や契約書などの作成に従事した期間が通算七年以上の者、特別考査に合格し検察官として五年以上在職した者は、日弁連の研修を修了し、法務大臣がそれを認定すれば、弁護士の資格が与えられる。 61頁


私は、多重債務の分野だけでなく、医療過誤、交通事故、知財など、これまでマニュアル化に向かないといわれてきたあらゆるジャンルで、マニュアル化を進めている。そうすることによって、弁護士の生産性を数十倍〜百倍にまで高めることができるし、そこに法律以外の専門家も入れるとまさに鬼に金棒で、ありとあらゆるジャンルの事件を難なく少ない弁護士たちがこなしていけるのである。 96頁


こうした共産党の野望に対して、敢然と立ち向かった人物がいた。佐藤栄作総理大臣の時代に最高裁長官に就任した裁判官、石田和外(かずと)氏である。右翼系であり、強硬派として知られていた彼は、青法協系の裁判官を徹底して排除していったのである。 98頁


私の友人に昆吉則氏がいる。「官」が管理する日本の農業を農業生産者自身がリードする新しい農業に改革すべきだと提言し、「農業経営者」というビジネス誌を発行している人物だ。

<中略>

「これからはメイド・イン・ジャパニーズではなく、メイド・バイ・ジャパニーズ」というのが昆氏の持論で、たとえば、オーストラリアで静岡茶を栽培して世界に輸出したり、ウルグアイで日本米をつくってアメリカに輸出する計画を進めたりしている。寿司人気のアメリカでは、ウルグアイ産の日本米は評価が高いそうだ。 151頁


日本の経済が戦後ここまで発展してきた大きな理由は、モノづくりに対する情熱と技術が高かったことが挙げられる。その根底を支えていたのは、大企業ではなく、むしろ中小企業であった。日本全国の小さな町工場が、それぞれに世界水準の技術力をもち、どこにも負けない製品や部品をつくっていた。

だからこそ、トヨタが成功し、ソニーが成長したのである。

そんな優秀な中小企業だが、企業経営に多様化、複雑化、グローバル化が求められる現在、それへの対応手段がなく、競争力を失い、倒れてしまうケースが続出しているのだ。誠に由々しき問題ではないか。

さらに大都市圏と地方との地域格差がいわれるようになって久しいが、地方の地場産業を支えているのは多くが中小企業だ。こうした地方の中小企業の元気がなくなれば、地方から活気が失われ、さらに地域格差が広がるのである。 174頁


弁護士は自由でなければいけない 189頁


西田研志(けんし) 『サルでもできる弁護士業』 幻冬舎 2008.12

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