医師と助産師との協働を―院内助産所などでシンポ
妊産婦を支える医療者の協働をめざすシンポジウム「安全・安心なお産のための、院内助産所・助産師外来の活かしかた」が3月21日、都内で開かれた。厚生労働省の主催で、宮崎大学の池ノ上克医学部長をコーディネーターに、母親、助産師、医師の立場などを代表する5人がシンポジストとして登壇。助産師の役割や、医師と助産師の協働、今後の産科医療などについて意見を交わした。
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シンポジウムではまず、厚労省の外口崇医政局長が「助産師の方々により専門性を発揮していただくことも重要な柱」などとあいさつ。続いてシンポジストが講演した。
「知ろう!小児医療守ろう!子ども達」の会の理事兼広報担当の平田貴美子氏は、母親の立場から、「女性が自然分娩をしたいと願うのは、女性の本能的なもの」と訴えた。それを実現する上で、「緊急時に医師と連携して対応してくれる院内助産所や助産師外来は、妊婦にとって理想的な形といえるのではないか」と述べた。
続いて、助産師で浜の町病院の上野恭子看護師長が講演。助産師外来の立ち上げから院内助産所開設まで携わった経験を踏まえ、▽助産師の技術の向上▽妊婦の出産に関する意識の向上―などを助産師外来・院内助産所の効果として挙げた。さらに、今後の院内助産のあり方について、▽助産師自身がさまざまな問題をクリアする努力▽医師の協力▽妊婦自身の意識向上―の必要性を指摘した。
同じく助産師の深谷赤十字病院の田島恵子副看護部長は、医師と共有して使える記録用紙の作成など、医師と協働して妊産婦にかかわるために考えたシステムを紹介した上で、「医師、助産師がそれぞれ専門能力を発揮できるチーム医療の展開が、助産師外来・院内助産所開設の重要なポイントだ」と述べた。
小阪産病院の竹村秀雄理事長は、経営者の立場から助産師外来のメリットとして、▽妊産婦・家族の高い満足度▽助産師の意識とやりがい▽助産師としての就職希望者へのインセンティブ▽医師の外来負担軽減―などを挙げた。
最後に日本赤十字社医療センターの杉本充弘産科部長は、助産師の役割について、「妊産婦の異常を早期に発見することが重要。分娩の介助は全体の中では非常に小さなものであり、それにとらわれるような助産師にはなってほしくない」と訴えた。またリスクの高低にかかわらず、すべて医師と助産師のチーム診療が必要で、そのためには「医師と助産師がお互いの専門性を尊重して信頼関係を持つように、日ごろから密接なコミュニケーションを図っていくことがポイントではないか」と述べた。
その後、会場からも質問を受け、シンポジストらが答えた。「医師が助産師外来の必要性などに気付くためには」との質問には、杉本氏、竹村氏が、「出産後の母親からの感想で助産師たちの評価の高さを実感した」と口をそろえた。
最後にコーディネーターの池ノ上氏が、「妊娠、出産の安全と快適性を求めた各種医療者の協働作業、共同体制を、さらに強化する時代が来た」とまとめた。
更新:2009/03/23 21:32 キャリアブレイン
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