医療介護CBニュース -キャリアブレインが送る最新の医療・介護ニュース-

医師の転職ならCBネット |  医療介護CBニュース

政府(厚労省他)


3月18日の中医協

ソーシャルブックマーク: Yahoo!ブックマークにに追加 はてなブックマークに追加 この記事をlivedoorにクリップ! この記事をdel.icio.usに登録する

 中央社会保険医療協議会(中医協)は3月18日、診療報酬改定結果検証部会と調査実証委員会、薬価専門部会を開いた。検証部会では、特別調査のうち年度内に集計することになっていた「外来管理加算の意義付けの見直しの影響調査」など3調査の結果(速報)を公表。また、調査実施小委では、6月に実施する「医療経済実態調査」の実施案と要綱案を了承した。薬価専門部会では、2月23日の参院本会議で再任案が否決され、部会長を退任した前田雅英氏(首都大学東京都市教養学部長)の後任に、遠藤久夫会長が選出された。部会では、2008年の薬価制度改革で積み残しになっていたもののうち「薬価維持特例」がテーマになり、日本製薬団体連合会(日薬連)側は薬価維持特例の導入をあらためて主張した。しかし、診療、支払い側からは「(特例の導入により)大企業が一人勝ちする」などと疑問視する意見が相次ぎ、議論は進展しなかった。中医協終了後、厚労省の磯部総一郎薬剤管理官は、「業界側には(制度導入のメリットに関する)説明責任があるが、納得させられていない」「業界側に応じてもらえないと、この問題を議論できない」と、業界側の対応に不満を示した。

【関連記事】
外来管理加算見直し、病院への影響強く
医療実調、公表は速報値のみに−中医協小委
前田氏の後任に遠藤会長−中医協薬価専門部会
2月18日の中医協

■「時間の目安は必要なし」が患者の過半数
 検証部会が提示した「外来管理加算の意義付けの見直しの影響調査」の結果(速報)によると、昨年10月末現在、同加算を算定しているのは病院の96.5%、診療所の87.9%。再診患者延べ人数に対する同加算の算定数を診療科別に見ると、呼吸器科75.8%、循環器科61.6%、消化器科59.0%などで高かったのに対し、眼科2.1%、精神科6.2%、耳鼻咽喉科15.0%などでは低かった。同部会は、調査報告書案を総会に報告する。

 また、算定患者1人当たりの平均診療時間は病院で7.3分、診療所で7.5分。診察時間の分布では、病院、診療所共に「5分以上6分未満」が最多(病院41.0%、診療所40.0%)で、「10分以上15分未満」が続いた。

 経営上の影響に関して自由記述を求めた結果では、「外来管理加算を算定できなくなった患者が増えたため、減収となった」といった意見が228件で最多。このほか、「従来から診療時間は十分時間をかけているので、特に影響はない」(28件)、「懇切丁寧な説明と5 分以上に拘ったため、患者の待ち時間が増え、延べ患者数が減った/患者からのクレームが増えた」(15件)なども多かった。
 一方、同加算を算定する患者に、昨年4月以降の診療内容の変化を聞いたところ、「3月以前と変わらず分かりやすい」が全体の86.9%を占めた。外来管理加算で、時間を目安とすることに対しては、「時間の目安は必要でない」が55.8%で、「必要」(33.8%)を上回った。

 一方、後期高齢者診療料を届け出ている全国の医療機関3500施設を対象に実施した調査では、昨年11月に同診療料を算定したのは10.5%で、算定施設の54.0%が「在宅療養支援診療所」だった。地域別の算定状況を見ると、千葉35.7%、岩手27.8%、新潟24.0%などで高かったのに対し、長崎(0%)、三重(3.4%)や、和歌山、徳島(5.9%)は低かった。
 後期高齢者診療料が新設されてよかった点を患者に聞いた質問では、「治療方針など今後のことが分かりやすくなった」が35.3%で最多。「よかったと思うことはない」(31.8%)、「医師から受ける症状などの説明が分かりやすくなった」(31.3%)も多かった。
 気になった点や疑問点に関する質問では、「気になったり疑問に思ったことはない」が49.7%と最も多かった。

 終末期相談支援料の調査では、終末期の診療方針などの話し合いを「実施していない」が病院で56.1%、診療所(在宅療養支援診療所以外)で77.8%に上り、共に「実施している」を上回った。一方、在宅療養支援診療所では「実施している」が52.3%で、「実施していない」(47.7%)を上回った。実施しなかった理由としては、「対象患者がいない」がいずれの施設でも最も多かった。
 話し合い結果をまとめた文書の提供状況は、いずれの施設も「提供していない」が最多だった。

 「外来管理加算見直し、病院への影響強く」も併せてご覧ください。

■法人立の病院・診療所・薬局、税引き後損益も集計−医療実調
 一方、調査実施小委員会では、6月に実施する「医療経済実態調査」の実施案と要綱案を了承した。従来、調査実施の翌年に公表していた本報告については集計せず、今年10月の速報値に公表を一本化することになった。保険者の財政状況を把握するために実施する「保険者調査」でも同様の扱いにする。
 医療機関等調査では、法人が開設する病院や診療所、保険薬局の税引後の損益状況も集計する。ただ、医業による収入とそれ以外の収入を区別することが難しい個人立の場合には、税引き後損益の集計は見合わせる。

 これらの内容は、月内に開く中医協総会で正式に決める。調査票は5月中旬に送付し、7月中の回収を目指す。

 病院調査票では、「準7対1一般病棟入院基本料の算定状況」など3項目を追加する一方、既存の項目から「現有の医業用建物の建築(改築)年月」や「介護療養型医療施設分の許可病床数」「福利厚生費」を削除するなど、調査内容を簡略化する。従来の単月データに合わせ、年間での損益状況なども集計するのに伴い、作業量が増えるため。

 削除項目の候補には、「資産・負債に関する項目」や「税金に関する項目」も挙がっていたが、最終的に存続が決まった。「資産・負債に関する項目」について厚労省は、速報の段階では集計せず、中医協の議論などで必要に応じて提出する方針だ。

※「医療実調、公表は速報値のみに−中医協小委」もご覧ください。

■日薬連の提案「やや不確か」
 薬価専門部会では、日薬連が主張する薬価維持特例の導入の是非を話し合った。薬価維持特例は、一定の要件を満たした特許期間(再審査期間)中や、保険医療上不可欠な新薬については、ある範囲内で薬価を維持する仕組み。日薬連側は、革新的創薬開発を促し、未承認薬の開発促進につなげるためには特例の導入が必要だとし、10年度に制度導入して12年度の薬価改定時に初回の特例を実施するよう主張している。

 日薬連側は、製薬メーカーによる未承認薬・未承認効能への取り組みを促すため、制度導入後に中医協で進捗状況を検証する形などを新たに提案した。また、特例導入による12年度の影響額が1190億円に上るものの、国が目標に掲げている後発品の数量シェア30%が達成されれば2785億円の削減が見込めるため、制度改革に伴う影響額は、全体として1595億円の効率化につながるとする試算結果を提示した。試算ではこのほか、17年度の後発品シェアは40%に達するため、特例を導入しても財政上は3368億円の削減が見込めるとしている。

 意見交換では、診療側の藤原淳委員(日本医師会常任理事)が「先発品で利潤を上げ、後発品との競争の中で同じような形になれば、大企業の一人勝ちになってしまう。後発品を育てる上でどのような視点が働くのかが見えない」と指摘した。
 また、山本信夫委員(日本薬剤師会副会長)は、業界の取り組み状況を中医協に報告するとの提案に対し、「それぞれの企業によって対応は違う。企業間の差はどのようにして見るのか」「今回、(後発品シェアについて)40%まで進んだ数字を出しているが、かなりの努力をしなければならない」などと指摘した。

 日薬連側の禰宜寛治委員(武田薬品工業株式会社コーポレートオフィサー業務統括部長)は、「業界からの拠出金や人的支援により、未承認薬や未承認効能などの課題に、1社や2社ではなく、業界全体として全力で取り組む」と説明。後発品促進については「業界団体がネットワークの中核になり、後発品に対する信頼をさらに高めるため、検討に着手し、具体策を取りまとめている」と答えた。

 支払い側の対馬忠明委員(健保連専務理事)は、「実際にどの程度の医薬品が(特例の)対象になるのか」について説明を求めた。また、後発品の促進については、「12年度(数量シェア30%)までは、特例があろうがなかろうがやることになっているのに、(財政影響の試算で)それを差し引いているのはピンとこない」と指摘した。
 日薬連側の長野明委員(第一三共株式会社常務執行役員信頼性保証本部長)は、「(特例の対象は)最大に見積もって、金額ベースで新薬の50%」と回答すると、山本委員が、特例の対象について「薬に関わっている人には理解できるかもしれないが、全体としてはまだまだ理解しにくい」とした。

 席上、遠藤部会長は「一委員としての意見」と断った上で、「わが国の産業界で医薬品産業が中核になるべきだというのはその通りだが、そのための産業施策として、薬価や診療報酬を使うのは間違っている」などと強調。その上で、日薬連側の提案に対し、「国内マーケットの魅力を高めれば、国内での開発がきっと進むだろうというレベルで、やや不確かな感じだ」との認識を示した。
 特例に関しては、患者への直接的なメリットを確保するため、▽革新性があり、かつ日本が最初に申請した医薬品▽国際共同治験を経て国内で上市された医薬品−を対象にすべきとの認識を示した。


更新:2009/03/23 14:35   キャリアブレイン

この記事をスクラップブックに貼る


注目の情報

PR

ログイン-会員登録がお済みの方はこちら-

CBニュース会員登録メリット

気になるワードの記事お知らせ機能やスクラップブックなど会員限定サービスが使えます。

一緒に登録!CBネットで希望通りの転職を

プロがあなたの転職をサポートする転職支援サービスや専用ツールで病院からスカウトされる機能を使って転職を成功させませんか?

キャリアブレインの転職支援サービスが選ばれる理由

【第54回】和田耕治さん(北里大医学部・衛生学) 医師や看護師への暴言・暴力、女性看護師へのセクハラやストーカー、コンビニ受診、治療費踏み倒し―。 数年前から、医療現場ではいわゆる「モンスター・ペイシェント(患者)」問題が深刻化し、医療従事者たちを疲弊させている。その中でも、特に目立つのが一部の患者 ...

記事全文を読む

 労働環境の悪化などが原因で、勤務医から開業医の道を選ぶ医師がいる中、「病気の発生を未然に防ぐ予防医学や公衆衛生などの分野も魅力があります」と話すのは、財団法人岩手県予防医学協会で常務理事を務める十和田紳一さん。同協会は、岩手県内全域をカバーする健診センターの中核施設であるため、検査・健診結果などの ...

記事全文を読む

新機能のお知らせ

看護師の離職阻止に一役―24時間対応の院内保育所

現在、「潜在看護師」は全国で55万人に上ると言われており、離職防止の観点から、24時間対応の院内保育所のニーズが年々高まっています。

>>医療番組はこちら


会社概要 |  プライバシーポリシー |  著作権について |  メルマガ登録・解除 |  スタッフ募集 |  広告に関するお問い合わせ