消防庁と厚生労働省の調査によると、2008年に重症以上の傷病者を救急搬送した際、受け入れ先の医療機関が見つかるまで4回以上照会した事例が、全体の3.6%(1万4732件)を占めた。前年は3.9%だった。医療機関が受け入れを断る事例は、首都圏、近畿圏などの大都市部に集中してみられる傾向がある。
照会回数が6回以上の事例は5138件、11回以上は903件あった。2008年に最も照会回数が多かった事例をみると、東京都の40歳代男性が食道静脈瘤(りゅう)破裂を起こした際に49回の照会が必要となり、3時間近く待たされた。手術中、患者対応中として受け入れを断る医療機関が多かった。なお、2007年に最も多かった照会回数は50回だった。
妊婦や出生後1週間未満の新生児の救急搬送では、受け入れ先を4回以上照会した事例が4.6%(749件)あった。前年は4.8%。東京都の30歳代の妊婦が早産となった事例では、受け入れまでに26回目の照会が必要となり、2時間あまり待たされた。救急搬送時に照会した医療機関の多くが処置困難(設備/人員不足、または症状が手に負えない)として受け入れを断った。
小児傷病者の救急搬送では、受け入れ先を4回以上照会した事例が2.8%(9146件)を占め、前年の2.7%から悪化した。東京都の10歳代の子供で、30回照会が必要となる事例があった。球技の試合中の骨折で、多くの医療機関が処置困難として断った。
医療機関が受け入れを断った理由をみると、重症以上の患者や妊婦、新生児は処置困難が2割程度で最も多く、小児傷病者については専門外として断る割合が27.5%だった。また手術中、患者対応中との理由も多かった。
■関連情報
・消防庁のWebサイト http://www.fdma.go.jp/