選挙貢献が受注直結 小沢氏側、業者操る 西松事件
■名簿かき集め 「選挙でどれだけ汗をかいたかが仕事の受注量につながる」 小沢氏の地元・岩手県などの業界事情について、複数のゼネコン関係者は口をそろえ、具体的な「汗」の中身をこう証言した。 談合が盛んに行われていた1990年代後半から2006年ごろ。岩手、秋田両県での選挙が近づくと国政、県政を問わず、小沢氏の秘書から応援要請がきた。秘書の中には大久保秘書や、西松建設がダミー団体を使って献金を始めたとされる時期に会計責任者だった前任の公設秘書の姿もあった。 選挙が始まると、事務所には100人を超す建設関係者が出入り。票読みの土台となる名簿集めが重要視された。西松建設などの準ゼネコン級だと1000人程度。各社は下請け、孫請けの業者を総動員して名簿をかき集めた。 選挙後、業者を待っていたのは小沢氏側による“査定”だった。貢献度が高ければ、受注したい工事について相談に乗ってくれた。「仕事が欲しかったので、選挙は必死でやった」。あるゼネコンの幹部は振り返った。 ■恩義に応える 公共工事を狙う業者は献金でも競った。小沢氏側は巧みに「情報」を操った。小沢事務所の事情に詳しい政界関係者が明かす。 建設業者でも、大型工事の幹事社を務められるゼネコンは数社。小沢氏側は各社の担当者を個別に岩手県奥州市や東京・赤坂の事務所などに呼び出し、工事に関する情報を提供したという。 会社ごとに担当秘書を決め、業者同士の接触も避けるようにさせていた。その仕組みを「各社は、うちだけに教えてくれたと思い込む」と関係者は解説する。受注業者は小沢氏側が動いてくれた印象を持ち、献金という形で恩義に応えた。 その一方で、小沢氏側と直接的なかかわりを持たない建設業者も献金していた。複数の業者は「業界内での調整を邪魔されたくなかった」と意図を説明した。 建設業界との関係について、小沢事務所は「現在捜査中の案件であることに加え、担当者不在で取材に応じることができない」としている。
2009年03月22日日曜日
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