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【ゆうゆうLife】介護職員 「たん吸引」解禁に期待 医療側からは慎重論も (3/3ページ)
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■介護職員、技術面などに残る不安
点眼や浣腸など11項目は17年、医療行為でないと介護職に解禁されたが、「研修がない」などの問題は放置されたまま。このため、介護職は必ずしも「たんの吸引」などの解禁に積極的でないようだ。法律違反で生じる精神的負担は軽減されても、技術などの不安は残る。
八戸大学の篠崎良勝専任講師が行った調査でも、知識や技術が不十分と考える施設職員が目立ち、「正しい行為がどのようなものか分からない。教育や技術習得の機会がない」「基本的知識があってはじめて実践できるもの。素人同様の介護職員が医療行為を行う根拠がない」などの声が上がった。
介護職に認めるなら、知識や技術を身につける研修が不可欠。篠崎講師は「介護職は今、業務を超えた仕事を行っており、『素人が看護師不足を補っている』と感じている。単に介護職にさせればいいのではない。研修義務化による安全面の担保と、業務を増やす対価として報酬面での評価も必要だ」と話している。
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■制度のあり方、議論を
政策研究大学院大学の島崎謙治教授の話 「たんの吸引といっても、咽頭(いんとう)の奥まで吸引するか、手前かで危険性は異なる。しかし、たんの吸引が必要な高齢者を前に、介護職が後ろめたさを感じながら行っている状態を放置する方がむしろ危険。見て見ぬふりをするのではなく、正面から制度のあり方を議論すべきだ。
看護師配置を手厚くすべきだとの指摘もある。しかし、費用がかかり、看護師不足のなか、特養に十分に配置できるかは疑問だ。在宅ヘルパーには、一定条件下で認めているのだから、経緯を踏まえ、介護職に認める範囲、研修、責任管理体制などについて、関係者が知恵を出し合うべきだ」
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