「桜」

 

桜の花が

花弁が開くことが怖い

ハナヒラク

木の芯から
にじむような
赤い色が

ゆっくりと

ほころぶのを

想像すると

体中に
曲がった痛みがあるような


硬い枝の細胞が
変化し
やわらかくなり
ハナヒラク

すぐに
散ることだろうが

その
短い間
目を
閉じていなければ

怖くてしかたがない

変化するものが

色づくものが

百の目で

こっちを見ている