定額給付金が二次補正予算の可決の軸になり、何とか可決をしたが、当初は年度末には支給を開始すると言っていた。しかし、総務省は11日に年度末に支給を始める市町村は、全体の25.2%ほどだと発表した。二次補正予算が可決するかわからない時期に、役所はフライング気味に準備をはじめていたが、政府が目標にしていた年度内には支給が厳しい状況だ。そして、二次補正予算は定額給付金が目立っていたが、もちろんそれ以外にもある。だが、定額給付金年度内支給同様、当初の約束とずれが起こっている。
二次補正予算は定額給付金の是非で可決が遅れたが、早急に可決をしなければならないものだった。なぜなら、二次補正予算の生活者への支援には、自治体による雇用機会創出、離職者への住宅・生活支援、妊婦検診の無料化が含まれていたからだ。定額給付金で与野党が争っている中、不況は進み職を失った人たちは、住む場所を同時に失った。政府はネットカフェ難民やホームレスにも給付金を支給するという態度を示したが、各自治体は住民登録していない彼らに支給困難だとしている。
妊婦の健診無料化にも問題が出てきている。二次補正予算で14回の妊婦の無料健診の実施が決まったが、市町村によっては格差があり、国が想定する健診費用(一人当たり約12万円)の60パーセントしか補助しない自治体が二割あり、約70パーセントは四割、80パーセントも四割ある。完全補助率があるのは関東地方の一つの町のみだという。(3月17日付け中日新聞より抜粋)
補助率の低い背景にはやはり各自治体の財政難だ。この調査をした産婦人科医会は「国が示した健診は必要最低限。全国どこでも全額補助されるべきだ」と表明している。妊娠は病気ではないという理由から、完全自己負担。このため経済的に苦しい妊婦は健診を受けないこともあり、産気づいて救急車を呼んだとしても、主治医がいない妊婦はリスクがあるとして病院側も受け入れない。最近では治療費未払いもあり、その恐れがある健診を受けない妊婦は病院側も受け入れることをしたくないという背景もあるようだ。今回の健診無料化は先に書いたように経済的に苦しく健診を受けない妊婦をなくそうと、二年間の期間限定で導入が決定した。
公明党員世田谷区議会議員いたいひとし氏のブログには「妊婦の無料健診が実現する」と書いてあったが、期間限定というものが釈然としない。出産の後は子育てというものがあり、出産以上に金がかかる。根本的な出産や子育て支援をしていかない限り、少子化対策にはならないと思われる。
また、二次補正予算の柱(?)の定額給付金を、税金滞納者は受け取らずに納税しろ。という通達を出した自治体があった。総務省の指摘で撤回したが、この事件や妊婦の無料健診の格差を見ると、地方の財政難が浮き彫りになった気がする。そんな状況に定額給付金を受け取るというのは複雑な心境だ。
(編集部 吉岡 輪)
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【参照】
・3月17日付け中日新聞