本ウェブサイトでは、JavaScriptおよびスタイルシートを使用しております。
お客さまがご使用のブラウザではスタイルが未適応のため、本来とは異なった表示になっておりますが、情報は問題なくご利用いただけます。
NECは、C&Cをとおして人々の相互理解に貢献することを企業理念としています。この理念を形にするために中央研究所では、これまでITとNWの技術研究を推進してきましたが、その中心は距離、時間、情報量といった物理的障壁の打破や、サービスの利用効率・多機能化を追求する技術革新の積み重ねでした。文字や音声、映像などの情報を忠実に効率よく伝え利活用することに対して技術は次々と課題を解決しユビキタス社会を実現してきました。しかしながら人と人が相互理解を図るために行うリアルタイムなコミュニケーションの場面では、成熟しつつあるユビキタス社会においてなお、技術は人間の持つ高度で繊細な能力を支援できるレベルに十分到達しているとは言えません。今後、コミュニケーションのための技術の進化は、従来の物理限界や効率・機能の追求から、人と人の相互理解をやさしく支援する方向に変わっていくものと考えられます。
こうした潮流の変化を捉えて、当研究所では、人と人が出会い、コミュニケーションをきっかけとしてコラボレーションを行うという、これまで人間の裁量のみによって行われていた協創プロセスに、技術が積極的に関与する世界を目指したヒューマンコミュニケーションの研究を推進しています。特に知的生産性の高い先進諸国においては、多様なスキルを持った異分野の人々が交流することで新たな知恵を生み出すことが重視されていますが、こうした環境を支えるための革新的なコミュニケーション技術の開拓に挑戦するのがヒューマンコミュニケーションの研究です。
図1 リアル空間でのコミュニケーションを創出するActiveAvatar
ここで、研究活動の一端をご紹介します。先に述べた協創プロセスにおいてまず求められることが、人と人がリアル空間で出会いコミュニケーションを始めるきっかけを作ることです。この環境を技術で実現しようと試みたのがActive Avatarというシステムです(図1参照)。オフィスや展示会の休憩コーナーや、セミナーやイベント会場における懇親会などにおいて、そこに集まる多様な人々に対して共用ディスプレイに表示されるアバターがコミュニケーションのきっかけを作ります。Active Avatarシステムは共用ディスプレイの前に居るユーザーの位置情報をセンシングすると、ユーザーの名前や所属、トピック情報をアバターと一緒に表示すると共に、ディスプレイのタッチパネルを用いてお互いのプロフィール情報をその場で簡単に交換できる仕組みを提供します。我々はこのシステムの有効性を評価するために、実際のオフィスやイベント会場、異業種交流会などでフィールド実験を行っています(写真参照)。また、こうした人間のコミュニケーション行動に直接的に働きかける技術は、その効果測定において、工学的な手法だけではなく、社会科学や認知科学などを含む新たな手法が取り入れられます。
写真 Active Avatarのフィールド実験の様子(社内展示会休憩コーナー)
我々はこのActive Avatarを独創状態から協創状態への入り口として位置付けています。この入り口の向こうには、リアル空間とサイバー空間を連携させながらコミュニティの輪を広げる仕組みや、そこでのコラボレーション活動が生み出すアイデアを育て磨いていく環境が用意されます。 こうした研究活動は、これまでNECが培ってきたNW技術、メディア処理技術、ヒューマンインタフェース技術、センシング技術など多くの資産を柔軟に組合せ活用するとともに、社会心理学系を含む国内外の大学・研究機関との連携によるオープンイノベーションによって推進しています。