たい焼きにのせた和紙に、墨汁で型を写し取る宮嶋康彦さん。熱いうちに作業を終えるのがコツという=周南市二番町2丁目完成した「魚拓」を店員や客に見せる宮嶋康彦さん=周南市二番町2丁目
たい焼きの魚拓を収集している東京都在住の写真家宮嶋康彦さん(57)が、4月26日から山口市内で「たい焼きの魚拓展」を開く。仕事で全国を巡る中、たい焼きを1個1個焼く店を探してとったこだわりの「魚拓」30作品を展示する。18日には県内では初採集となる魚拓を周南市内の店でとった。
「うまい! これなら魚拓をとるのに力も入る」
周南市二番町2丁目の「やっとこ家」。宮嶋さんは1個120円で買ったたい焼きをほおばると、満面の笑みで言った。「皮が薄くパリッとした食感。自家製の粒あんがしっぽまで詰まっていて、程よい甘さです」
食べ終わると、かばんから水墨画の墨、すずり、たんぽをおもむろに取り出した。もう1個買ったたい焼きに和紙をのせ、墨をつけたたんぽでたたく。10分ほど作業を続けると、目やうろこの形がくっきり現れた。息を吹きかけて乾かし、そっとはがす。見事な魚拓ができていた。いぶかしげに見ていた客や店員も「なるほど」と笑った。
宮嶋さんがたい焼きの魚拓収集を始めたのは約30年前。02年には自慢の作品を載せた「たい焼の魚拓」(JTB出版)を出版している。
魚拓にするのは、1個ずつしか焼けない鋳型で焼いたものに限る。「経済効率を考えず、こだわって焼く心意気が感じられる」からだ。うろこの形や大きさ、あんの種類など、それぞれに違いがあり、「天然物」と呼んでいる。ただ「天然物」を売る店は「およげ!たいやきくん」がヒットした75年ごろと比べると激減し、宮嶋さんが知る限り全国に30店ほどしかないという。
午後6時、「やっとこ家」の閉店後にもう一度訪れ、店主の石田智夫さん(50)からたい焼きへの思いを聴いた。脱サラして2年前に店を始めたこと、県内で「天然物」を売る店は珍しく、ビジネスチャンスと思ったこと……。宮嶋さんは「店の歴史や店主の人生を知ると、たい焼きも一つの文化と感じる」。
県内で魚拓展を開くことになったきっかけも、今や見つけるのが難しい「天然物」を周南市で発見したからだった。魚拓採集を了承した石田さんは「光栄です」と話す。折しも今年は、日本初のたい焼き屋といわれる東京・麻布十番の「浪花家総本店」が創業して100年目。宮嶋さんは全国を回って魚拓展を開きたいと構想している。
魚拓展は山口市下市町のギャラリー「アテリエ セレーノ」(083・923・4141)で5月3日まで開かれる。入場は無料。初日の4月26日には、同市熊野町のニューメディアプラザ山口で宮嶋さんのトークショー(要予約)もある。(伊藤和行)
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