違法品がまかり通る現状を、ただ放置しておく訳にはいかない。
著作権者の許諾を得ずに、インターネットに違法配信された映像、音楽ファイルのダウンロードや複製は違法とする著作権法の改正案を、政府が今国会に提出した。
違法ファイルの配信は今も禁じられている。しかし、もとは違法なファイルでも、再配布せずに私的に使う場合、自分のパソコンなどにダウンロードしても直ちに違法とはならない。つまりネットから映像、音楽ファイルを堂々と入手して利用することができる。
その一方で、違法配信の犯人まで
音楽の場合、日本レコード協会の推計では、ネットで違法にやりとりされるものの方が正規品より1、2割多い。音楽業界の市場縮小にもつながっている。
違法ファイルの複製も違法となれば、もう気軽にダウンロードできないはずだ。罰則はないため、効果を疑問視する声もあるが、著作権者側が取り得る法的な手段も大幅に広がることになる。
例えば、ネットから違法ファイルを効率的に集める方法などを紹介した書籍が多数あるが、違法行為の助長として出版や販売を差し止めできる可能性が出てくる。
違法ファイルと知りつつ大量にコピーして利用している人には賠償を求める道も開ける。
利用者も意識を変えて、著作物の適法利用を心がけたい。
法改正案には、著作物を利用しやすくするための緩和措置も複数盛り込まれている。
まず、グーグルのようなネット検索サービスを日本企業が容易にできるようにする。
検索するには、ネット内の多数のホームページのデータを複製してコンピューターに蓄積しなくてはいけない。従来は、これが著作権侵害になるかもしれない、とされていたが、可能と明記した。
過去に放送済みのテレビ番組のネット配信もしやすくする。
これまでは著作者、出演者が見つからず許諾が得られないために配信できない場合があった。そこで、番組の配信料に見合う金額を文化庁に供託すれば、すぐに配信できるようにした。
これらはネット時代のビジネスにも対応した内容だ。海外ではすでに実現している。遅れを取り戻すためにも、改正案を早期に成立させることが大切だ。