着陸に失敗し、炎上したフェデックス80便(23日午前7時43分、成田空港で)=大谷秀樹撮影 |
23日午前6時49分頃、千葉県・成田空港のA滑走路(4000メートル)で、中国・広州発の貨物機フェデラルエクスプレス(フェデックス)航空80便(MD11型機、乗員2人)が着陸に失敗し、炎上した。
機体は滑走路の左側に外れ、裏返しになった状態で全焼、ともに米国人の乗員2人は搬送先の病院で死亡が確認された。事故当時、滑走路には最大瞬間風速20メートルの強風が吹いており、国土交通省では、同機は突風にあおられバランスを崩したとみている。
同省によると、成田空港の航空機事故で死者が出たのは初めて。国内では、3人が死亡した1996年のガルーダ航空機事故以来の惨事となった。
同省によると、死亡したのは、ケビン・カイル・モスリー機長(54)とアンソニー・ステファン・ピノ副操縦士(49)。2人とも炎上した操縦席で見つかった。運輸安全委員会は調査官6人を成田空港に派遣し、調査を開始した。
この事故の影響でA滑走路は正午現在も閉鎖されており、日本航空と全日空が計36便の欠航を決めるなど、国際便などの発着に大きな影響が出ている。
同機は着陸時にバランスを崩し、数回バウンドし、滑走路に左の主翼などが衝突。さらに機体を左に大きく傾けながら滑走路を外れ、横転した。衝突の衝撃で、主翼内部にある燃料に引火したとみられる。
成田航空地方気象台は、事故当時、高度約500メートル以下でウインド・シア(気流の乱れ)が発生するとの気象情報を出し、注意を呼びかけていた。事故機の直前に着陸した9機も、ウインド・シアが発生していると管制官に通報。管制官はフェデックス機に注意を呼びかけていたという。
A滑走路では同日午前6時50分、航空機の進入方向からみてやや左側から、平均風速13・5メートルの向かい風の北西風が吹いていた。午前6時30分と同7時には、最大20メートルの瞬間風速が記録されていた。
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