Print this Post Article Lists Back

ソニーが韓国で「PS3」の販売を中止したワケ

 「申し訳ございません。プレイステーション3(PS3)は現在在庫切れとなっているため、お買い求めできません」

 ソニー直営のショッピングモール「ソニー・スタイル」のスタッフは、「1週間前からPS3の在庫がなくなった。来月ごろにはまた入荷すると思うが、正確にいつから販売できるかは分からない」と話しています。

 ソニーの「PS3」は、任天堂の「Wii」と似たような家庭用ゲーム機です。しかし今、韓国では購入できません。ソニーのゲーム機の販売代理店であるJ&Kの関係者は「最近、一般の販売店にはPS3を供給していない」と話しています。韓国国内にPS3の在庫がない上に、ソニー側も製品を供給しないため、販売中止に追い込まれたというわけです。

 ソニーが製品を供給しないのは、ウォン安円高が理由です。韓国におけるPS3の販売価格は44万8000ウォン(約3万500円)ですが、日本での販売価格は3万9900円です。韓国での販売価格が安いため、韓国を訪れる日本人観光客が現地で日本製品を買い求めるという珍現象も起きています。

 これはソニーだけの問題ではありません。インターネット・ショッピングモールの関係者は、「キヤノンのDSLR(デジタル一眼レフカメラ)の“5D Mark Ⅱ”も品薄状態になっている」と話しています。韓国のネット上でのこの製品の最低価格は345万ウォン(約23万5000円)で、日本よりも30万-40万ウォン(約2万-2万7000円)も安いのです。ソウル・竜山の電子商店街(秋葉原のような電気街)では、米アップル社の最新型のiPod(携帯型デジタル音楽プレーヤー)を7万-17万ウォン(約4800-1万2000円)ほど値上げしましたが、ソニーやキヤノン、任天堂、ニコンといった日本メーカーの製品もこれに続くといううわさが広まっています。

 ソニーのある社員は、「韓国へ輸出した製品が日本に流れ込む“逆輸入”に悩まされている」とえています。しかし、だからといって韓国での価格を引き上げれば、韓国の消費者離れが懸念されるため、簡単に値上げを決断できないといいます。こうして右往左往しているうちに販売中止という事態に至ったというわけです。このようなソニーの悩みは理解できますが、韓国での販売中止という状況には苦々しい思いがします。

ソン・ホチョル記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る