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【主張】高齢者医療 抜本見直しでなく改善で

2009.3.23 03:36
このニュースのトピックス世論調査・アンケート

 麻生内閣が政権公約に掲げた高齢者医療制度の見直しについて、舛添要一厚生労働相直属の有識者会議「高齢者医療制度に関する検討会」が最終報告をまとめた。

 明確な方向性を示したのは高齢者の不評を買った「後期高齢者」など名称の変更だけだ。批判が強い75歳での線引きや、財源、運営主体など制度の根幹部分については各委員の意見を列挙しただけに終わった。

 制度見直しは、舛添氏が昨年9月に制度堅持の政府方針を突如翻して始まった。舛添氏は「年齢による一律区分はやめる」「世代間の反目を助長しない」などの見直し方針を掲げ、国民健康保険と一緒にして都道府県単位に再編する私案を提示して議論も牽引(けんいん)してきただけに、最終報告は尻すぼみと言わざるを得まい。

 むろん、多くの国民が納得するよりよい制度とするために見直しの検討を続けることは大事だ。だが、現行の高齢者医療制度は発足から1年近くたち、国民の理解は進んできた。日本医療政策機構が1月に実施した世論調査では、現制度の骨格維持を求める人が半数を占めた。現制度維持派は70歳以上が他の年代層よりも多い。

 最終報告が意見集約できなかったことは医療保険制度の設計が一朝一夕にはいかないことも改めて浮き彫りにした。医療保険制度改革は関係団体の利害がぶつかる。現高齢者医療制度も少子高齢化が進み医療費が膨らむ中で、制度をどう維持させるか関係者が何年も議論を重ねてまとめ上げた。

 現役世代の負担が重くなり過ぎないように財源の半分を税金でまかない、高齢者にも応分の負担を求めたり、高齢者と現役世代の負担割合を明確化したりしたのも、限りある財源の中での知恵だ。

 政府・与党内では税投入割合をさらに増やすことも検討されているが、批判をかわそうとするあまり制度の趣旨を大きくゆがめてはならない。今後は4月上旬をめどに政府・与党の見直し案がまとめられるというが、拙速に結論を出すことは避けるべきだ。

 現高齢者医療制度については、高齢者向けの「かかりつけ主治医」が対象医療機関の約1割にとどまるなど、いまだ課題は少なくない。度重なる保険料の軽減策で制度がより複雑化もした。政府・与党には、抜本見直しよりも現制度のさらなる改善を優先させるよう求めたい。

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