【社説】上水道への過剰投資により水道代が4.5倍に
国会予算政策処は今回提出した報告書で、「水資源公社が水道水の浄水施設を必要以上に建設し、その経費を水道料金に上乗せしてきた」という事実を明らかにした。水資源公社が水道水を供給するに当たり、取水と浄化を行うための経費は1995年の時点で1トン当たり63.9ウォン(現在のレートで約4.3円、以下同じ)だったのが、2008年にはそれが286.6ウォン(約19.6円)へと4.5倍にも跳ね上がった。これは同期間の消費者物価上昇率(57%)を6倍も上回る上げ幅だ。
水道水は地方自治体が河川などで取水し浄水処理を行う地方上水道と、水資源公社がダムから取水して浄水を行う広域上水道に区分されている。06年末の時点で水資源公社が保有する広域上水道施設の処理能力は、1日当たり1648万トンに達したが、実際の水道水生産量はその51.9%の855万5000トンだった。つまり、施設のほぼ半分を遊ばせていたのだ。広域上水道の稼働率は90年の時点でも82.6%にとどまっていた。
設備の稼働率が下がれば、水道水を生産するための費用(単価)は当然上昇する。このように広域上水道が供給する水の単価が高くなると、財政的に余裕のある自治体では自ら取水・浄水施設を建設し始めた。ソウル市の場合、99年の時点で水資源公社が保有する八堂ダムを通じて供給を受けた水道水の量は1日116万4000トンに達したが、06年にはそれを22万5000トンにまで減らした。その一方で、八堂ダムから蚕室までの間の漢江から取水する量は増やした。八堂ダムから蚕室までの区間には、漢江の汚染源となる10の河川から水が流れ込んでいる。そのため漢江から直接取水される水は、八堂ダムのものより当然汚れている。ソウル市民は比較的汚染されていない八堂ダムの水があるにもかかわらず、汚染された漢江の水から作られた水道水を口にしているのだ。
このような過剰重複投資が起こるのにはいくつか理由がある。一番の問題は、広域上水道から水の供給を受ける自治体が、水道水の需要予測を実際よりもかなり多めに見積もる傾向がある点だ。その原因として、広域上水道への設備投資の費用を政府と水資源公社がすべて負担する点が挙げられる。次の問題は、行政による業務の二元化だ。広域上水道計画は国土海洋部が、地方の上水道は環境部が担当しているため、全体的な受給調整が効率的に行われていない。三つ目は、水資源公社が遊休施設の減価償却費や予想収益までをも水道水の原価に上乗せしている点だ。公社としては、施設が過剰かどうかは関係ない。建設費がかさんでも水道水の価格さえ引き上げれば良いため、投資を適正水準へと調整すべき必要性を感じていないのだ。
部処(省庁)間での異なった意見を調整するために閣議や次官の会議があり、また長官や次官が協議を行っても解決しない場合には首相室が調整に乗り出すことになっている。今回の上水道問題を通じて、このようなシステムが全く稼働していなかったという事実が改めて明らかになった。国会予算政策処が「広域上水道への過剰投資は道徳意識の欠如が原因であり、政府が犯した過ちの実例」と指摘したのはまさにその通りだ。
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