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グリコ森永事件25年「彼らの目的は何だったか…」元刑事、悔しさにじませ (2/3ページ)
■グリコ・森永事件 昭和59年3月18日に江崎グリコの社長が誘拐された事件に端を発する、一連の食品企業恐喝事件。「かい人21面相」を名乗る犯人グループは、その後、青酸化合物を混入した製品を店頭にばらまくとして、企業に現金などを要求。一方で報道機関に警察を揶揄する挑戦状を送りつけ、“劇場犯罪”という言葉を生んだ。犯人グループは60年8月に突然、終結宣言を出して動きを停止。平成12年2月に28件すべての事件で時効が成立し、警察庁指定事件で初めて未解決となった。
◆グリコ・森永事件をモチーフの一つとした小説「レディ・ジョーカー」の著作がある作家、高村薫さんの話
グリコ・森永事件が起きたのは昭和59年という、私たちがすっかり戦後の豊かさに慣れ親しんだ時代だった。この事件は、表面上は身代金目的誘拐や企業恐喝に見えても、背景には犯人と被害者という単純な関係では決して片づけられない何かがあることを私たちに感じさせた。
グリコ・森永事件に続きイトマン事件、そしてバブル崩壊後の一連の不良債権問題や総会屋事件が明るみに出た。経済が発展するなかでお金を回してきたはずなのに、その循環のどこかに巨大な穴が開いていて、お金がどこかへ流出している。そうしたことが分かって初めて、この国の経済活動はいったいどうなっているのかを、日本人は真剣に考えるようになった。
戦後の繁栄の中で私たちは企業活動を通して生きてきた。そこには見えない闇もあったのだということが、少しずつ分かるようになったが、この事件については結局、その背景にある薄気味悪さを、私たちはきちんと言葉にできないでいると思う。