2009年3月23日8時46分
名古屋港からアフガニスタンに向けて麻薬ヘロインの精製過程に使われる原料物質の無水酢酸約1.4トンを密輸出しようとしたとして、パキスタン国籍の男(33)が関税法違反(無許可輸出未遂)の疑いで愛知県警に指名手配された事件で、県警などは22日までに、関係先として、無水酢酸を調達したとみられる30代社長の経営する神奈川県内の会社など数カ所の捜索令状を取った。23日に捜索して全容解明に乗り出す方針だ。
警察当局によると、社長は日本人で、国内の数社を通じて無水酢酸計約20トンを購入し、うち約1.4トンをパキスタン国籍の男性(43)が経営する中古車販売会社(愛知県弥富市)に運び込んだとみられている。警察当局は、無水酢酸を運び込んだ経緯や販売の実態について、社長から事情を聴く方針だ。
この事件では、中古車販売社社員のパキスタン人の男が、税関の許可を得ないでトラックの燃料タンクに隠した無水酢酸約1.4トンを2月24日に名古屋港から密輸出しようとしたとして、同法違反の疑いで県警に指名手配された。すでに国外逃亡したとみられる。部下のパキスタン人男性(41)も共犯容疑で翌25日に逮捕されたが、3月17日に嫌疑不十分で釈放された。
このパキスタン人男性と、同僚のインド国籍の男性が県警の調べに対し、「日本人が無水酢酸を入れたドラム缶を会社に運び込んだ」などと供述したことなどから、社長の関与の疑いが出てきたという。釈放された男性らは、無水酢酸を指名手配された男らと一緒にタンクに移し替えたと供述したという。
無水酢酸をめぐっては2月に同港で約0.9トンが、横浜港で約2トンが税関に発見、押収される密輸出未遂事件が相次いでおり、警察当局は会社社長と他の事件との関連についても調べる。