2009年3月22日1時7分
【パリ=国末憲人】脱税の温床などとして批判されるタックスヘイブン(租税回避地)の新たなブラックリストを経済協力開発機構(OECD)が作成したと、スイスのターゲス・アンツァイガー紙(電子版)が17日報じた。列挙されたのは46カ国・地域。4月にロンドンで開かれる金融サミット(G20)に向け、これらの国・地域に圧力をかけるためとみられる。
OECDはこれまでもリストを公表してきたが、記載されたのはリヒテンシュタイン、モナコ、アンドラの3カ国だけ。実態に合わないとの批判が強かった。
同紙はOECDのグリア事務総長が5日、ダーリング英財務相に送った書簡を入手。その中に、OECDに非協力的な国々のリストがあったという。
同紙が掲載したリストには、従来の3カ国、これまでしばしば問題視されてきたカリブ海諸国などに加え、ベルギー、オーストリアといった欧州連合(EU)加盟国や自国のスイスも含まれていた。アジアでは、香港、マカオ、フィリピン、シンガポールなどが指摘された。
金融サミットでタックスヘイブン問題は主要議題の一つとなるとみられる。特に独仏は、これらの国や地域の活動が金融界のモラルを低下させているとみて、厳しい態度で臨む方針を表明。これを受けて12〜13日、多くの国がOECDなどに協力する意向を示したところだった。リストはこれらの意向表明の前に作成されたとみられる。
タックスヘイブンは、法人税などがなかったり極端に安かったりする国・地域。銀行口座の秘密性も高く、税金逃れに利用されているとの批判がある。