2009年3月22日18時49分
ゴール後、笑顔の楠田昭徳さん=22日午後、東京都江東区、細川卓撮影
22日の東京マラソンで、さいたま市のガソリンスタンド店員、楠田昭徳さん(65)が「52日連続フルマラソン完走」のギネス記録を達成した。1月30日から始め、昨春に48歳のイタリア人男性がつくった記録を1日更新。この日はこれまでで一番速い3時間55分35秒だった。
ゴールすると涙のあふれる目をタオルで押さえ、しばらく言葉が出なかった。「幸せです。支えてくれた人たちのおかげ」。前日までは自宅近くの公園が舞台だった。1周1キロ足らずのコースを45周半。ギネス申請に必要な1周ごとの計測や撮影、体のケア、給水、伴走……。走るごとに支援者が増えていった。
2月下旬、左足すねが肉離れを起こし5時間半かけてゴールした。「激痛が続けば難しかった。神様が守ってくれたのかも。あきらめなくて本当によかった」
楠田さんは立教大時代に箱根駅伝に4度出場、マラソンも6度走った。卒業後の74年、米国に住むゴーマン美智子さん(73)のボストン・マラソン優勝に感動し、彼女と会う。75年の同マラソンに挑んだ。挑戦の報告を受けてきたゴーマンさんは「42.195キロを走り続けることは体力以上に精神的に大変。52日連続なんて神業です」。
連日挑戦を見守った妻の貴子(きみこ)さん(61)は涙ぐみながら「私は不可能と思いましたが、『人間、死ぬ気になれば何でも出来る』が主人の口癖。すごい人です」。楠田さんは「急に走らなくなったら体に悪い。あすもハーフマラソンぐらいは走ります」と元気に話した。(杉山圭子)