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【記者手帳】著作権保護、その遠く長い道のり

 今週、韓国著作権団体連合会の著作権保護センターは興味深いニュースを発表した。昨年取り締まりを受けた違法コピーや海賊版のDVD(厚さ約1センチ)が32万9451点に上り、これらをすべて積み上げればソウル市江南区道谷洞にある超高層マンション「タワーパレス」(263.7メートル)の11.5倍に相当する、高さ3046メートルに達するというのだ。また、違法な複製本(厚さ3センチ)は1万7811点を積み上げれば、ソウル市内の南山の2倍に相当する、高さ534メートルになるという。

 わたしたち韓国人が把握している、著作権に対する認識はまだこの程度の水準だ。芸術が持つ価値をマンションや山の高さ、またはお金に換算すれば、一般の国民が受け入れやすいという考えだ。だが、著作権はわたしたちの日常においてもっと身近なところにある。

 カラオケ(オフライン)で選曲するときも、コンピューター(オンライン)で映画をダウンロードして見るときも、また、個人のブログに詩人の詩を無断で掲載するときも、著作権問題が発生しているのだ。歌手キム・チュジャの往年のヒット曲『あなたは遠いところに』の本当の作詞家が誰なのかをめぐる著作権訴訟は、2007年に最高裁でユ・ホの勝ち、シン・ジュンヒョンの負けと明暗を分けたが、これもわたしたちの認識の欠如と関係がある話だ。

 文化体育観光部は、「著作権を守れなければ国が滅びてしまうかもしれない」と強調する。ところが、韓国社会が著作権に対して疎いのは、後手後手に回っている著作権政策も一因として挙げられる。09年の1年間で見ると、294億ウォン(約19億3000万円)の著作権関連予算のうち、教育・広報予算は50億ウォン(約3億3000万円)。著作権取引所など流通環境の構築に124億ウォン(約8億1000万円)、著作権登録・鑑定に60億ウォン(約3億9000万円)、取り締まり・保護に60億ウォンを割いているのに比べ、かなり少ない。文化部の関係者は「映画をダウンロードする瞬間、自動的に別の共有サイトにその映画がアップロードされ、法を犯すケースも多い」と言う。だが、その「犯罪構造」を実感している人は果たしてどれほどいるのだろうか。

 韓国の成人は、著作権に関する教育をほとんど受けてこなかった。今年から初めて、小学校1・2年生の教科書で、それもわずか1ページ分の内容で著作権について学ぶようになった。「著作権の取り締まり」と「著作権教育」の間にこれほど大きな時差が生じているせいで、韓国人がこの“時差ぼけ”から解消されるにはしばらくかかるかもしれない。

文化部=朴敦圭(パク・トンギュ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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