2009年3月15日16時49分
火事で全焼した国の重要文化財「旧住友家俣野別邸」=15日午後、横浜市戸塚区東俣野町、本社ヘリから、杉本康弘撮影
全焼する前の旧住友家俣野別邸=07年11月、横浜市提供
15日午前5時ごろ、横浜市戸塚区東俣野町にある国の重要文化財「旧住友家俣野別邸」から出火、木造2階建て約650平方メートルの邸宅と、隣接するプレハブ小屋2棟(計約180平方メートル)が全焼した。人は住んでおらず、けが人はいなかった。神奈川県警が出火原因を調べている。
戸塚署によると、別邸は改修工事中で周辺はフェンスで囲われていた。フェンスにある侵入防止用のセンサーは作動が確認されていないという。プレハブ小屋は工事用事務所と資材置き場として使用されているが、出火当時は無人だった。
横浜市によると、旧財閥の住友家第16代当主・住友吉左衛門友成の東京別邸として、1939(昭和14)年に建設された。柱や筋交いなどを外部に露出させ、その間をモルタルなどで埋める欧州建築様式を基調とした、和洋折衷の建築物。04年に昭和期の住宅建築で初めて国の重要文化財の指定を受けた。
横浜市が一般公開に向け、昨年1月から改修工事に着手、11年3月の完成予定だった。同署によると、火災前日の14日も、約10人が屋根や壁の改修の作業にあたっていたという。
神奈川県内では07年5月と08年1月、今回の現場から数百メートルの距離にある藤沢市大鋸にあった昭和初期の洋館「旧モーガン邸」が焼ける火災が起き、放火の可能性もあるとみられている。