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【埼玉】

『所持金300円』『助かった』 反貧困ネット 健康相談や食事提供 大宮の『派遣村』

2009年3月22日

会場ではカレーや中華丼などが提供された=さいたま市大宮区で

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 埼玉版「派遣村」が二十一日、大宮駅前の鐘塚公園に開設された。年度末を迎え失業者が増加傾向にある中、職を失った人など百人以上が訪れ、炊き出しの提供を受けたり、「ネットカフェに泊まるお金もない」と弁護士などに相談したりしていた。派遣村は二十二日も午前十時から午後五時まで開かれる。 (水越直哉)

 主催したのは、弁護士や司法書士らでつくる反貧困ネットワーク埼玉(委員長・川井理砂子弁護士)。会場には、健康相談や多重債務相談などの各ブースが用意され、医師や弁護士などの専門家がアドバイス。学生や会社員ら約二百人のボランティアが人員整理などに当たった。

 十一月に自動車製造工場への派遣を打ち切られたという男性(37)は「家も仕事もなくなった。所持金は三百円しかない。どうしたらいいか」と言葉少な。大宮区の女性(58)は、「働いていたすし屋が昨秋に倒産した。ハローワークでも職が見つからない」とため息。「これからも(派遣村を)時々やってほしい」と話した。

 炊き出しの中華丼を食べたパート女性(58)は「食費も切り詰めないといけないし、助かる」と満足そう。派遣の仕事がなくなったという男性(47)は「ネットカフェに連泊したけど、もう泊まる金もなくなった。今晩どうしたらいいか」と悩みを打ち明けた。

 同ネットワークによると、派遣村開設に先立って県と市に宿泊場所確保を要請したが、「用意できない」という回答だったという。

 

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